桃
──ってことがあってさ〜

赤
へぇ〜めるちゃんってそんなこと言うんだ

水
意外やな

桃
俺も最初聞いた時にはビックリしたで

桃
真面目なこと言えるんやって

お昼休み。みかさたちはいつも通りの場所に来て昼食を取る。
黄
まぁメルトあれでも学年2位やけん、頭悪いとは言いきれんのよな

桃
え"、あれが学年2位?

紫
超失礼じゃんそれ。そうだよ。いつも俺負けてるもん

桃
ほへぇ〜

水
腰抜かしたみたいな声するやん

桃
っていうか、もう冬になったけどまだここで食うん?

紫
晴れてる日はいつも食ってるよ

桃
お前らの肌屈強やねんな。俺寒いと耐えれんくて中入ってしまうわ

赤
じゃあ俺がぎゅーであっためる?

桃
ロゼからそんな言葉が出るとは思わんかった…

赤
本気で引くのやめてね??

桃
まぁいつかは強制的にこうなるかもだから

桃
訓練として慣れていくよ

それからいつも通り会話が弾み、皆が弁当を食べ終えた時に、みかさはある提案をする。
桃
ねぇ、お前ら俺にこの村のいい場所教えてくれたし

桃
次は俺が案内してやるよ、俺の地元

黄
マジ?お前のおごり?

桃
しゃーなしな

黄
っしゃあ行く!ぜってぇに行く!

赤
金に目がないな〜……

桃
みんな行くん?

紫
俺も行く〜

水
おごりなら行くで

赤
俺ももちろん行くよ

桃
じゃあメルトも誘っとくね

紫
…あー、多分、メルト無理だと思う

桃
え、なんで?

紫
何でって…うーん…

桃
(苦手な人間でも、避けるのはどうかと思うけどな…)

桃
みんなたまにだけど、メルトが村に縛り付けられてるというか

桃
監禁されてるような発言するよな。なんでなん?

水
心音そろそろええ頃かもしれへんな

紫
まぁ…そうか。そうだね

桃
なんの話ししてるん?

紫
みかさ、今からする話は、外部に漏らさないで欲しい

紫
家族…は多分知ってるかもしれないけど、友達とか

紫
この村にいる以外の親戚とか

桃
おん、まぁええけど

紫
まず、この村には、"妖"って存在がいるんだよ

桃
あー前にらぴすとらいとが言っとったやつか

水
物盗むとかの話したときな

紫
みかさはなんとなく、座敷わらしとか河童とか

紫
昔話に出てくるようなものを想像してるかもしれないけど、そんなモノじゃない

紫
人を殺すんだ

桃
…ん?

紫
ここまでで質問ある?

桃
その妖ってやつは、人を殺すの?

紫
うん

桃
…信じ難いんだけど、逸話とか伝説じゃなくて?

紫
ちゃんと証拠があるやつだね

桃
…じゃあ、話続けて

紫
その妖は、とある洞窟の中にある、あの世と繋がっている穴から入り込んでくる

紫
心底腹を空かせているから老若男女問わず食い散らかすんだ

紫
それを対処…除霊できる人がいるんだけど、毎回は頼れない

紫
昔の村人たちはどうしようかと考えた末に

紫
人間を生贄として穴に放り投げた

紫
すると妖の出没が一切なくなり、人々は一定期間平和に過ごすことができた

桃
…つまり、生きた人間をあの世に繋がる穴に落として

桃
妖がその人間で腹を満たしたってこと?

紫
そうだね。どう?

桃
どうって…みんなこれ信じてるん?

水
まぁな。母さんも父さんも、親戚全員信じてるからな

赤
逆に信じてない方がおかしいしね

黄
みかさはまったく分からんて思っとうけど、俺ら一回見たことあるっちゃん

桃
生贄にされる人間?

黄
いや、妖や

赤
ありゃ酷かったなぁ。元同級生も殺されちまったし

水
俺の家半分削れたで

紫
大暴れしてたよね〜

桃
…………

初めは、何かのカルト宗教に染められていると思っていたが、親しくしている学友が真剣に話し合っているのを見て
みかさは自分が彼らを疑っているのがおかしく思えてきた。
紫
その生贄は限られた血筋の青少年しか選ばられないんだ

紫
そして、選ばれた者は親や家族と引き離され、別々に育てられる

紫
名前は籠禊(かごはら)。贄を出す代わりにここに一定の地位を得ていた者たちだ

紫
でも最近になって、その血筋が途絶えてしまった。生贄に出しすぎたんだ

桃
じゃあ、また妖が湧くんじゃないの?

紫
だから、代わりを作ったんだ

紫
それ相応の、珍しい人間を

桃
…まさか

紫
そのまさかだよ。メルトが今回の生贄なんだ
