騒がしい魔性の女たち

――ピタッ

突然、中也の動きが止まる

そして、その背後から

もうひとつの気配が降りてきた

「やめたまえ、中也」

「彼女たちは“ただの獲物”ではない」

黒いコート。白い手袋。柔らかな声。

森鴎外

ポートマフィアの首領が 自ら姿を現した

鴎外は視線を糸の海へ向ける

灯が片目を細めて微笑む

朱鷺の声が、繭の中から聞こえる

鴎外はそれを聞くと満足げに微笑む

空気が、また静かになった

森鴎外と中也が去ったあと――

糸の海がほどけ、 朱鷺がゆっくりと姿を現す

灯がすっと寄ってきて、 ハイタッチを求めた

朱鷺はやれやれと笑う

2人はハイタッチをする

朱鷺は帰ろうと歩き出すと

灯が思い出したようにいう