母
伊鶴
俺は嘘つきだ
本当はΩなのにαとして生きてきた
それも代々仕えてきた松水家の次期当主の従者として
松水家は日本で五本の指に入るほどの大企業で我が一族、高鷹家はその従者として長年仕えている
だから兄弟もいない俺はΩでも松水家に仕えなければならなかった
それがこの家の者としての義務だったから
最初はαばかりの家に行くのは怖かったがそれは英忠にあって変わった
英忠
伊鶴
英忠
伊鶴
英忠
太陽のようだと思った
それからずっと仕えているうちに英忠は使用人にも優しく誰にでも平等な人間だとわかった
掃除をしているメイドにも
英忠
と、声をかけ
学校では生徒会長として業務をこなし皆から愛されていた
そんな英忠に俺はいけない事だと思いながらも段々と引かれて行った
英忠に仕えて早5年俺たちは23歳になっていた
高校を卒業してからというもの俺は英忠の仕事のサポートをしていた
英忠
伊鶴
英忠
伊鶴
こんな会話が日常茶飯事だった
そしてこの頃には俺は英忠の事を愛していると気づいていたがこの日常に十分満足していた
例え従者としてでも英忠の近くに入れることが
俺の幸せだったんだ
だから忘れていたのだ、自分が何なのかを
いつものように身支度を整え松水家の屋敷に出向くといつもは無いはずの白い車が門の前にあった
伊鶴
犯人をみつけようと足早に屋敷の中へ入り英忠の書斎へと向かった
伊鶴
軽くノックをして中に入るとそこにはスーツを着ている英忠と可愛らしい服を着た女性が向かい合ってソファーに座っていた
伊鶴
英忠
邪魔をしては行けないと思い部屋から出ていこうとすると英忠に呼び止められた
英忠
美夜
頭が真っ白になった
伊鶴
どうしよう
頭が回らない
伊鶴
何とか捻り出した言葉もなんだかおぼつかない
今自分がどんな顔をしているのかすら分からない
ただ一つだけ分かることはこの場に居てはいけない、
という事だけだった
伊鶴
そう言って逃げるように書斎をあとにした
英忠
伊鶴
英忠
伊鶴
英忠
危ない、ぼーっとしてた
伊鶴
伊鶴
英忠
伊鶴
どうしよう英忠は何も悪くないのにきつく当たってしまう
英忠
英忠
英忠
伊鶴
あの後半ば強引に英忠に書斎に引っ張られ小一時間程ひたすら美夜さんの話をされた
この状態を地獄以外の言葉で表せるだろうか
いいや無理だ
好きなやつが好きな人の女の子の話をしてるんだ辛くないわけが無い
英忠が話すその内容は全て俺とは正反対だ
英忠
伊鶴
英忠
そう言って立ち去ろうとすると英忠に呼び止められた
伊鶴
英忠
英忠
伊鶴
英忠
英忠
伊鶴
頭が真っ白になった
なんだって?Ω?美夜さんがΩ?
あのα一族の清麗グループの娘が?
伊鶴
英忠
英忠
伊鶴
続
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