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ねぇ、お兄ちゃん
…………
どうして、話してくれないの？
…………
“答えて”、お兄ちゃん
……話しちゃいけないから
誰が決めたの？
……お母様達
私達、仲良くしちゃいけないの？
……うん
私、お兄ちゃんのこと好きだよ。
その髪の色も、目の色も、かっこいいよ。
私、お兄ちゃんが好き。
お兄ちゃんは？
私のこと、好き？
……す、き……？
うん。
私ね、お兄ちゃんともっと仲良くしたいの。
お兄ちゃんのことが大好きだから！
……“すき”……。
……ありが、とう？
えへへ、どういたしまして！
……ぼくも、好き
それ、ほんと！？
私も好きだよっ！
わ……！
あのね、好きなものにはね、ぎゅーってしたくなるの！
好きなもの……
だから、お兄ちゃんにもぎゅーっ！
……うん、ぎゅー……
これからも、ずっと仲良くできたらいいのになぁ……
……うん
一緒にごはんを食べて、一緒に遊んで……。
きっと楽しいよ！
お母様が、許してくれないよ
そしたら、私がお母様を“せっとく”する！
私は、一人じゃなくてお兄ちゃんと遊びたいって。
お母様、きっと許してくれるよ！
……そうだね
ほら、お手手繋いで一緒に行こ！
うん
女の子と男の子が、何か話をしている
これは、何時の夢だろう
温かくて、心地が良い
ずっとこのままでいられたらいいのに
「お兄ちゃん」
そう呼ぶ声は、 とうの昔に消えてしまった
「ぼく」も、もういない
「……ごめん」
何故だか、“また”そう言いたくなった
でも、優しく「ぎゅー」を してくれる人はいる
笑ってくれる人も、 「好き」と言ってくれる人も
「あの時」と同じ、温かさを感じた
これは、何だろう
……………………
……そろそろ、夢から覚める時間だ
カナタ
ん……。
カナタ
……冬真……？
冬真
おはようございます。
冬真
早くしないと、学校遅刻しちゃいますよ？
そう言う人は、優しく微笑んだ
これが、“オレ”の新しい日常
オレが、行き着いた場所
窓からは、快晴の空が見えた
電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
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