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木崎砂姫(きさき さき)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
翌朝、わたしはいつものように妹から起こされた。
しかしまぶたは重い。
昨日本土から帰るなり母親に絞られたせいで、睡眠時間がまるで足りていないのだ。
有り難いお説教の理由はもちろん、土曜日帰らなかった件である。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
眠い目をこすり、眼鏡をかけながら欠伸を噛み殺す。
フラフラの頭のままベッドを降り、自室の扉を開く。するとそこには、今日も完全無欠にかわいい我が妹が立っていた。
木崎砂姫(きさき さき)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
反応しつつも、どこか現実感のない足取りで進んで行く。
とりあえず顔を洗おう。そうすれば意識もはっきりしてくるはずだ。
そう思い、洗面所に向かおうとした時だった。
木崎砂姫(きさき さき)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
砂姫から謎の感謝を示された。
しかし、砂姫はわたしの困惑には気付かず話を続けた。
木崎砂姫(きさき さき)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
ある少年の顔が脳裏に浮かび、何とも歯切れの悪い返事をしてしまった。
週末、尊君と何かあったのだろうか?
その疑問に応えるように、砂姫は笑顔で言った。
木崎砂姫(きさき さき)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
ごめん、尊君。本当にやるとは思わなかったんだ……。
それから三十分ほど後、わたしは通学路を奈琴と共に歩いていた。
天樹奈琴(あまぎ なこと)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
隣を歩く奈琴が、何やら失礼なことを言い出した。
というか、
木崎姫歌(きさき ひめうた)
天樹奈琴(あまぎ なこと)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
どんな女だ。
わたしは精々、「愚民共、苦しみ悶える様をわたしに見せてみろ」くらいにしか思っていないぞ。
天樹奈琴(あまぎ なこと)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
何故か、奈琴が残念なものを見る目でわたしを見ていた。残念なやつには向けられたくない視線である。
しかしまあ、機嫌が悪いというのはあながち間違っていないかもしれない。
吾蓮が入部し、今日からは嫌でも部活を開始しなくてはならない。
バスケをすること自体は、まあ問題ない。
しかし、
木崎姫歌(きさき ひめうた)
そんなことを考えながら歩いていると、前を歩く集団の中に巨塔(バベル)を見つけた。
集団の中にいて頭一つ、いや、頭二つ分くらいは抜けている。
それを見てわたしは、
木崎姫歌(きさき ひめうた)
フレンドリーに声をかけた。
すると、巨塔(目測190㎝)は振り向いた。スカートを翻しながら。
矢臣(やおみ)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
巨塔の名は矢臣(やおみ)さん。
通称・やおみん。大きく出た前歯と、185㎝という超長身が特徴の少女だ。
その身長を買われ、女バスの特待生として入学してきた生徒である。中学時代に県大会で戦ったこともあり、それがきっかけで友人となった。
矢臣(やおみ)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
天樹奈琴(あまぎ なこと)
三人横並びになって歩き出す。
左からやおみん(身長185㎝)・わたし(身長175㎝)・奈琴(身長150㎝)の順で歩いているので、歪な階段のようになっていた。
矢臣(やおみ)
天樹奈琴(あまぎ なこと)
矢臣(やおみ)
天樹奈琴(あまぎ なこと)
そう言ってランラン踊り出す奈琴。
黙っていればかわいいのだが、相変わらず奇行が目立つ。
木崎姫歌(きさき ひめうた)
天樹奈琴(あまぎ なこと)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
イラッとしたのでほっぺたをつねってやった。
天樹奈琴(あまぎ なこと)
おお、相変わらず伸びる。まるでゴミ、ゴムのようだ
矢臣(やおみ)
天樹奈琴(あまぎ なこと)
木崎姫歌(きさき ひめうた)
矢臣(やおみ)
天樹奈琴(あまぎ なこと)
楽しい登校風景だった。