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昼下がりの教室。 窓から差し込む陽が、机の上に落ちる。 蝉の声が遠くでじりじりと鳴いていた。
教師
教師の声が響いた。 その瞬間、クラスの一部からクスクスと笑いが漏れる。
生徒
生徒
生徒
俺──天川 照(あまかわ てる)は、頭を机につけたまま、何も言わなかった。 というより──言えなかった。
なぜなら今、俺の意識は
天川 照
真っ暗な空。紫色の月。崩れかけた城壁の影に、黒い獣が蠢いていた。 鋭い爪と赤い目。闇の魔物──“ダーク・ベア”。
リュシア・ヴァルフェン
少女の声が空気を裂く。白銀の剣を構えた少女──リュシア・ヴァルフェン。 異世界の戦士にして、俺の“相棒”だ。
天川 照
俺は腰の短剣を抜いた。魔法の詠唱は──不要。 すでに動きは頭の中で、何度も“再構築”してある。
《影刃術・リライト》
光の帯が一瞬きらめき、魔物の動きが止まった。
リュシア・ヴァルフェン
天川 照
リュシア・ヴァルフェン
俺は苦笑する。
天川 照
現実の教室に戻る。目をうっすら開けると、教師はまだ何かを話していた。 周囲はノートを取っているけれど、俺にはまるで“音”が届かない。
この世界では、俺は“できないやつ”で、“ただの居眠り常習犯”。 だけど──
リュシア・ヴァルフェン
不意に、耳元で声がした。 ん? 先生じゃない。クラスメイトでもない。 ……女の子の声だ。
リュシア・ヴァルフェン
俺は顔を上げた。 ──そこには、リュシアがいた。
天川 照
リュシア・ヴァルフェン
リュシア・ヴァルフェン
天川 照
リュシア・ヴァルフェン
天川 照
机の上に、黒い光の亀裂が走った。 教室の空間が“歪む”。 現実と異世界が、今、重なろうとしている。
つづく──