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SCP

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SCP

1 - 590

♥

601

2021年09月07日

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SCP-590 君の痛みを知る人

…ねぇ、なんて名前?

なにしてるの?

私は部屋の中にいる少年に声をかける

見た目は至って普通で、10代くらいの子

まぁ、私と同じ施設にいるんだし普通ではないんだろうけど

私はこの SCP収容所 に来たばかりで、どんなSCPがいるのかいまいち分かっていない

SCP-509の部屋には、子供番組が流されているテレビだけが置かれておりそれ以外には何も無い

扉の隣には1人の警備員がいる

私は職員となり、仕事として590の所へ来た

んー…?
……だぁれ?

私ね、ゆうっていうの

君は誰?何してるの?

特に何もしてないよ

…名前かぁ…

僕、590って名前だよ

…?あ、いや、違くて

えっと、なんて言うのかな……

数字じゃなくて、私みたいな感じのだよ

……ごめんね

僕は名前付けられちゃだめなの、だから590以外の名前はないよ

…じゃあ、590くん

ん?

君はどうしてここにいるの?

どうしてだろうねぇ

僕もわかんないや

……そっか

あ、そうだ

夕さん

なぁに?

どこか、怪我したりしてない?

調子悪いなぁとかここ痛いなぁとか、精神的な事でもいいよ

んー……

あ、さっき突き指したところが痛いかな

じゃあ、突き指したところ見せてもらってもいい?

え?あ、うん

ちょっと触るね

わかった

590は私の指に触る

すると、指の痛みはなくなっていた

…いたく、ない

590のオブジェクトクラスはsafe

……治癒?

そんな感じw

ねぇ、また怪我したり調子悪くなったりしたら来てよ

治してあげる

分かった、ありがとうね

またねぇ

うん、ばいばい

それから私は、自分の体を痛めた時は必ず590の所へ行った

…590、いる?

どうしたのー?

ちょっと怪我治して欲しくて…

……その、骨折?

…治せる?

っ………もちろん!ちょっと、触るね、

うん

私は仕事の途中で骨を折ってしまった

階段を急いで駆け下りたのがいけなかった

590に申し訳ないなぁと思いながら治癒されていく自分の足と、治癒してくれている590を交互に見る

治癒されていくにつれて590は顔を顰めていた

……590、どうしたの?

なんもないよぉ

私と話す時は笑ってくれる

その顔は、いつもと同じはずだった

私はいつからか、怪我がなくても590の所へ行くようになっていた

無意識に精神的な傷があって治されていた事もあったが、最近はただ590と話したいという理由だけで行動していた

ここの人達は私に厳しくする中、590だけは優しく笑いかけてくれた

今日も、私の目を見て笑ってくれる590の所へ行く

今日は警備員がいない

…休憩中……?

そう不審に思いながら声をかけた

590、

返事が聞こえない

590……?

どうしたの、590

…ぁぁぁぁああああ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ……!!!!!!

っ…590……なに、どうしたの

ぁ、あ……ゆう、さん

そうだよ、夕だよ

…っ………

私を呼びながら見せてくれた姿はとても痛々しかった

至る所に痣があり、普通の人ではありえないほどの血が出ていた

…590、それどうしたの?

……ごめんね、ちょっと待ってて

え、まって、よ

590は私の言葉を聞かず部屋の奥へと消えていった

次戻ってきた時は傷が全て隠されていて、いつもと同じ笑顔だった

……590

夕さん来てくれてありがとぉ、怪我したの?見せて?治すよ

590

…なぁに?

…無理、してたでしょ

治癒っていうのも嘘、全部自分に傷を移してただけなんでしょ?

……えへへ、知られちゃった

嘘ついててごめんね夕さん

……わた、し

590の事、好きだよ

っ…仕返し?w
そんな嘘つかないでよーw

嘘じゃない

私に優しく笑ってくれる590が好きだよ、本当に

………そっかぁ

じゃあ

もう夕さんとはお別れだね、悲しいなぁ

そう放った590は、少し涙目だった

……え

…ごめんね

僕はただの君の痛みを知る人

使われるだけの道具で…愛されちゃだめなの

僕は誰の…友達にも、家族にも……恋人にもなれないんだよ

590に好きを伝えた次の日

私は別の職務への異動が行われた

私に微笑んで、傷を治してくれる人はいなくなった

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コメント

2

ユーザー
ユーザー

えぇ…悲しすぎて…

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