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紅乙女の恋

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紅乙女の恋

1 - 紅乙女の恋

♥

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2019年09月13日

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吉原には誰もが惚れると噂の遊女がいた

白い肌に頬は紅をひいたように紅く

その姿から「紅乙女」と呼ばれた

禿

玉菊様、初会のお客様です

玉菊

わかりました

弥太郎

これが…紅乙女…

弥太郎

確かに綺麗だ

玉菊

慣れていないというのが見てわかった

幼い顔立ちの彼は私にはない純粋さを持っていた

弥太郎

弥太郎って言います

玉菊

弥太郎

玉菊!また来たよ

玉菊

弥太郎

次来たら3度目だ

弥太郎

そうしたら君の声がやっと聞けるね

玉菊

3度目の逢瀬を迎えると花魁はやっと目を合わせ話すことができる

それがルールだ

弥太郎

玉菊!

玉菊

ようこそおいでくんなまし

弥太郎

っ…

弥太郎

やっと声聴けた

玉菊

っ!

たかが声一つでこんなにも嬉しそうにしてくれた客はいただろうか

仕事も忘れときめく

弥太郎

やっぱり思ったとおりの声だ

弥太郎

透き通った綺麗な声

玉菊

玉菊

そんなこといいなすんな

弥太郎

あ、照れてる可愛いな

玉菊

それからも彼は通い続けた

不思議な事に一度も床に入ろうとはしなかった

玉菊

床に入っておくんなんし

弥太郎

しないよ

玉菊

どうして…

弥太郎

君が大切だからだ

玉菊

っ…

弥太郎

こんな所に来ておいて何言ってるんだって感じだよね

玉菊

弥太郎

一目惚れだ

弥太郎

お金もっと貯めたらさ君を買っていいかな?

玉菊

っ!?

玉菊

ほんざんすか…?

弥太郎

うん

弥太郎

ここにいるより君を幸せにする自身あるよ

玉菊

主さん…

玉菊

素敵な事をおっせえす

弥太郎

っ!?

弥太郎

買われてくれるのかい?

弥太郎

本当に?

玉菊

ほんざんす

弥太郎

ああ、嬉しいな

弥太郎

待っていて君を迎えに行くから

玉菊

あい

あれから数年

良いところの息子である僕でも

彼女のような人気の花魁を買う金を集めるのは苦労した

弥太郎

やっと会えるんだ…!

町人

おい、聞いたか?

町人

何をだよ

町人

「紅乙女」の事だよ

弥太郎

っ!?

弥太郎

玉菊…玉菊がどうかしたのか!?

町人

一条様…!

弥太郎

話を聞かせてくれ

町人

なんでも、「紅乙女」…玉菊様が

死んだらしいです

弥太郎

っ…ああ

弥太郎

そんな…

町人

一条様!?

弥太郎

嘘、だろう

町人

なんでも流行り病を患ったとか

弥太郎

もっと、会いに行けばよかった

弥太郎

こんな最後になるなんて…!

それでも彼女を忘れられず店の前へと足を運ぶ

弥太郎

玉菊…

禿

あ!

禿

弥太郎様ですよね?

弥太郎

君は…?

禿

玉菊様の禿です

弥太郎

玉菊は…

禿

少し待っててください

パタパタと忙しなく店の中へ入っていった

弥太郎

っ!?

弥太郎

どうして、

玉菊

お待ちしておりました

弥太郎

玉、菊…

玉菊

あい

弥太郎

死んだんじゃ…

玉菊

あれは…嘘ですね

弥太郎

嘘…?

玉菊

貴方に買われると決めた日から

玉菊

あまり客を取らなくなったんです

玉菊

それが町人の中では死んだことになっていたんでしょう

弥太郎

そうだったのか…!

玉菊

弥太郎様

弥太郎

…ああ

玉菊

わっちを買ってくんなまし

弥太郎

もちろんだ!

弥太郎

行こう、玉菊

玉菊

あい!

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