すみれ
二人は目を覚まし、自分の体の異変に気付き愕然とした。
体の内側から何か得体の知れない物が湧き上がってくる感覚があったからだ。
「まさか、また?」
「そんなはずはないわよ、だってあれはずっと昔の話でしょ?」
「でも、それ以外考えられないじゃない!」
二人の体はみるみると変化していき、やがてそれは人の形を留めないものへと成り果てた。
「どうしよう、これじゃあ外に出られない」
「それに私たちが人間だったころの記憶も薄れていっている気がするわ」
「うん、このままじゃいけないよね。何とかして止めないと」
「だけど一体どうやって止めるつもりなの?こんな姿になってしまったらきっと誰にも理解されないと思うけど」
「それでもやるしかないんだよ」
「……そうね」
こうして二人は記憶を失いながらも、なんとか自我を保ち続けようと抗い続けた。
しかしいくら足掻いても無駄なことだということを悟ったのか、二人は徐々に諦め