月曜日 午前8時15分。
すっきりと晴れた気持ちのいい朝。
坂を上がると学校が見えてきて、
同じ制服の学生もちらほらと出てきた。
太宰治
〇っ〇ーーー!!!
神崎〇〇
うげっ
後ろから陽気な声が聞こえて、
振り返ろうとすると体に衝撃が走る。
デカイ何かが飛びついてきた。
太宰治
お早う愛しの幼馴染♡
神崎〇〇
お早う鬱陶しい幼馴染
神崎〇〇
歩きにくいから離れてくれる?
莫迦みたいに元気な此奴は太宰治。
小学校の頃からの幼馴染だ。
信じたくないが、其れが事実だ。
太宰治
釣れないなぁ
太宰治
週の始めからそんなに暗いようじゃ、運も去ってしまうよ?
神崎〇〇
誰の所為だと思ってんの
太宰治
……??
神崎〇〇
とぼけるな
はぁ、と思わず溜息を吐く。
これも私にとっては当たり前で、日常だ。
神崎〇〇
ゴールデンレトリバーみたく突進してくるのヤメテくれない?
神崎〇〇
それ許されるの可愛い犬だけだから
太宰治
彼の生き物の何処が可愛いんだか
太宰治
そのゴールドなんちゃらと一緒にしないでくれない?
神崎〇〇
ゴールデンレトリバー
神崎〇〇
…犬嫌いはホント理解出来ないわ
あんなに可愛い生き物の何処が厭なのか。
まあ好き嫌いは人それぞれ、か。
神崎〇〇
ってかそろそろ離れろし
太宰治
厭だよ、君モテるだろ?
太宰治
他の男に牽制しないと
神崎〇〇
牽制する意味も理由も判らないんだけど
神崎〇〇
先ずモテないし
神崎〇〇
皮肉?
太宰治
マサカ
真逆〜
真逆〜
神崎〇〇
全く…
私の腕に自身の其れを絡めて歩く太宰。
歩きにくいったらありゃしない。
其れに、女子の目も気になる。
まあこれも何時もの事だ。
私は半ば諦めて校門をくぐった。