テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

一覧ページ

LINE１３１７

第1話 - あ

2023年11月15日

#スカッと

タナカトシキ

マイコ

アキラ

マイコ

今日の夜ご飯なんだけど、冷凍庫にある餃子にするね

アキラ

え、また冷凍食品かよ？

マイコ

だって、今日もやること多いし、帰ったら疲れてると思うもん

マイコ

家事してさらにエネルギー消費したくないから

アキラ

そうやっていうけどさ...帰るのって6時とかだろ？

アキラ

そこからご飯なんて作れるじゃん

マイコ

そんなこと言うなら、アキラが作ってくれたらいいじゃん

マイコ

料理は女がやるものじゃないでしょ

アキラ

俺はマイコの代わりに料理すること、沢山あるだろ

アキラ

俺が残業なしで帰れた時だけだけど

アキラ

俺だって、さすがに21時とかに帰った時にがっつり料理なんてしねーよ

マイコ

自分も料理するのが面倒なら、文句言わないでくれる？

アキラ

いや、文句って言うかさ...

アキラ

栄養面も気にして俺は言ってるんだけど

アキラ

さすがに、何日も冷凍食品食べてたら体壊すぞ

マイコ

そんなことない、って身をもって私が証明できるけど

マイコ

だって、私大学4年間、ずっと外食か、コンビニとかスーパーの総菜とお弁当で生きてたもん

アキラ

え！？マジかよ...

アキラ

料理は一回もしてこなかったの？

マイコ

そうだよ

マイコ

この時代、コンビニも家から近い距離にあるし、

マイコ

深夜営業してるスーパーも多いんだから、それを利用してあげないと...

マイコ

経済も回んないじゃん？

アキラ

いや、別に毎日使わなくても、十分経済は回るよ

アキラ

とにかく、夜ご飯はなるべく作るようにしてくれ

アキラ

俺もなるべく手伝うからさ

マイコ

手伝う、って何？

マイコ

その言い方、やっぱり自分はメインで家事はしなくていい、って思ってるんでしょ？

アキラ

だから、思ってないってば

マイコ

信じらんない。そう思ってるんだったら、今日私が夜ご飯作らなくても文句言わないで

マイコ

分かった？

アキラ

ほんと...家帰っても自分がやりたいことしてるだけじゃん

アキラ

忙しい、っていうけど、帰ったらテレビ見たり、雑誌見てくつろいでるだろ

マイコ

仕事から疲れてるんだから、明日のために休息取るのは大事なことでしょ

マイコ

料理して時間が無くなるくらいだったら、私は休息の方を優先するから

アキラ

俺だって、仕事で残業したらすげー疲れてるけど、

アキラ

副菜とか、野菜系のサラダは手作りするよ

アキラ

それくらいはやってみないか？

マイコ

優しく言ってるつもりかもしれないけど、私からしたらやれ、って言ってるようにしか聞こえない

マイコ

私は自分が今日はやりたくない、って思ったらやらないから

マイコ

そのつもりで帰ってきて

アキラ

あのさ、少しは話し合う気を持てよ

マイコ

話し合いなんて、する必要ある？

マイコ

私は冷凍食品で十分、って言ってるんだから、もうそれでいいじゃん

マイコ

以上！この話は終わりね

アキラ

勝手に終わらせるなよ...

アキラ

あとさ、もう1つ言いたいことあったんだった

マイコ

何？

アキラ

今日のお昼ご飯、あれどういうつもりだよ？

マイコ

え？焼きそばパン3個？

アキラ

手抜きすぎだし、またコンビニの総菜パン、って...

アキラ

弁当箱に入ってるから、てっきり手作りなのかな、って思ったら...

アキラ

騙されたよ

マイコ

だって、袋のまま入れたら持って行く時にばれちゃうからさ

マイコ

弁当箱に入れれば、食べるギリギリまで蓋開けないから、

マイコ

ぐちぐちと文句言われることもないじゃん？

マイコ

だから、今日は袋から飽きて、切って入れて...少し手間をかけてあげました～

アキラ

マイコ...少しは料理練習しよう、って言う気にならないの？

アキラ

ずっとそんなんじゃ、絶対に自分が後悔するだけだぞ

マイコ

後悔なんて、するわけない

マイコ

私は今までこうやって生活してきたんだし、

マイコ

同棲したからって、自分の生活リズムを乱されたくはない

マイコ

イヤなら、アキラが中心に料理してよ

マイコ

私は仕事を頑張るから

アキラ

仕事は俺もしてるんだから、家事は2人でやるもんだろ

マイコ

洗濯ものとか掃除は誰かに頼まないとできないからやるけど、料理は基本しないから

マイコ

コンビニご飯と外食でも、約6年間、こうして元気に生きてるんだから、問題ないって

アキラ

そんなこと言って、今後子供ができたらどうするんだよ？

マイコ

その時になったらちゃんと料理の練習するから大丈夫だよ

マイコ

育児が始まったら仕事は休み取れるし、その時に料理の練習をしたらいいじゃん

アキラ

育児で大変で、料理の練習なんてやってる暇ないと思うんだけど

マイコ

まさか、育児に関しても私だけに任せるつもり？

アキラ

そんなわけないだろ！

アキラ

俺もするよ

アキラ

だけど、苦手なことは早いうちから克服しておいたほうがいいじゃん

マイコ

アキラも助けてくれるでしょ？

マイコ

今は仕事に集中したいし、体力温存と自分の時間を楽しむ時間だから

マイコ

料理はしない、って決めてるの

マイコ

もう、私の気持ちは揺るがないから

マイコ

何言っても無駄だよ

アキラ

あっそうかよ

アキラ

じゃあ、俺が自分で必要なものとか作るわ

マイコ

ほんと！？

マイコ

うれしい～

アキラ

ただ、マイコが妊娠して俺も家事を手伝うことになった時には、料理の練習してくれよ

アキラ

子供の体のこともあるんだから

マイコ

それは当たり前でしょ

マイコ

私も、そこまでバカじゃないから

アキラ

分かってるならよかったよ

アキラ

じゃあ、今日もたぶん遅くなるから

アキラ

先に寝てて

~週末の日曜日～

アキラ

マイコ！

マイコ

え？何？

アキラ

俺が金曜日の夜に作り置きしておいた鮭のムニエル、全部食べたの！？

マイコ

あ～あれ？

マイコ

昨日のお昼ご飯と、夜ご飯で食べたよ

マイコ

すごいおいしかったね～

マイコ

やっぱり、アキラの方が料理上手だね

アキラ

そんな褒められても、何にもうれしくねーよ

アキラ

俺が加工した食品ばかりじゃいやだから、作っておいたのに

アキラ

なんで、全部食べるんだよ！？

マイコ

そんなに怒ることじゃなくない？

アキラ

作らないで、食べるだけの方からしたらそう思うよな

アキラ

でも、俺だって時間使ってんだよ

アキラ

それを何にも考えずに食べるなんて...お前、本当に最低だぞ

マイコ

そこまで言わなくてもいいじゃん

マイコ

今度、私たちの家にアキラのお母さんとお姉さんが来るときは、私も何か出すからさ

アキラ

俺だけに任せるつもりだったの？

マイコ

いや、別にそういうわけじゃないけど...

マイコ

一応、言っておいただけ

アキラ

ちなみに、何作るの？

マイコ

うーん、姪っ子ちゃんも来るんだよね？

マイコ

まだ5歳だっけ？

アキラ

うん、そうだね

マイコ

そしたら、定番のから揚げでも買ってこようかな

アキラ

え？手作りにするんじゃないの？

マイコ

そんなことしないよ

マイコ

揚げ物だし、料理初心者には難易度が高いじゃん？

アキラ

親戚の集まりなんだから、少しはちゃんとするかな...って...期待して損した...

マイコ

買ったものだったら失敗もないだろうし、絶対に姪っ子ちゃんも気に入ってくれる！

アキラ

ただの手抜きじゃん

アキラ

俺に恥ずかしい思いさせるなよ

マイコ

大丈夫だって

マイコ

ちゃんとから揚げチェーン店で買ってくるから

マイコ

お皿に盛ればそれっぽく見えるって

アキラ

もう、マイコが恥かいても俺は知らねーからな

マイコ

大丈夫だって

マイコ

そしたら、今から予約しておこ～

～来週の週末～

アキラ

マイコ

アキラ

もう、俺ら食事終わって片づけてるところだけど

アキラ

いい加減、期限直して戻って来いよ

マイコ

別に、機嫌が悪くて戻れないんじゃないし！

アキラ

そんなにショックだった？

アキラ

姪っ子に「このから揚げまずい」って言われたことが

マイコ

別に、そういうわけじゃないけど...

マイコ

でも、まずいとかそこまで言わなくてもいいじゃん、って思ったの

アキラ

子供って正直だよな～

アキラ

思ったことはすぐに口に出しちゃうから

アキラ

まずい、はストレートだよなぁ...俺でも傷つくわ

マイコ

失礼だよ...あそこまで言わなくてもいいのに...

アキラ

でも、実際にマイコは何も作ってないじゃん

アキラ

ただお皿に盛っただけでしょ？

アキラ

そりゃ～まずい、って思われてもしょうがないでしょ

アキラ

それに、姪っ子の方が料理が好きで、マイコが出て行ったあと手伝ってたよ

マイコ

え？そうなの？

アキラ

うん、幼稚園でやった料理教室がきっかけで俺の姉ちゃんの手伝いをするようになったみたいでさ

アキラ

お菓子作りで自分でクッキーも焼けるし、包丁も使えるんだって

アキラ

まだ野菜の大きさとカはばらばらみたいだけど、

アキラ

姉ちゃんが仕事から帰ってきたあとも手伝ってくれるみたいだから、

アキラ

かなり助かってるらしいよ

マイコ

へ～そうなんだ...すごいね

アキラ

マイコ、5歳に負けてどうするんだよ？

アキラ

「ママが作ったから揚げの方がおいしい～」って言われてもしょうがないぞ

マイコ

さすがに、あれには傷ついたんだけど...

アキラ

悔しいなら、これから本気で料理頑張りなよ

アキラ

っていうか、今日買ってきたやつ、本当にあそこのから揚げ屋さんのものなの？

アキラ

俺も食べたけど、なんか全然そんな感じしなかったから

マイコ

私、ミスして予約する日にちを間違えちゃったんだよね

マイコ

それで、急いでスーパーの冷凍食品コーナーで冷凍のから揚げを買ってきたの

アキラ

なるほど

アキラ

そういうことね

アキラ

どうりで脂っこいし、パサパサだし...

アキラ

冷凍した肉、って感じだったな

マイコ

やっぱり...？

マイコ

私も、そう思ったんだよね...

アキラ

思ってたんだったら、強がってちょっとは悔しがって変わる態度見せろよ

アキラ

姪っ子に辛口コメントされて、傷ついたからいきなり家出るなんて...

アキラ

そんなガキみたいなことして、恥ずかしいと思わねーの？

マイコ

別に、ガキでもいいもん

アキラ

ほんとにそう思ってる？

アキラ

俺の姉ちゃんも、26歳で料理できないのは終わってるね、って言ってたけどね

マイコ

え...ほんとに？

マイコ

お義姉さん、そんなこと言ってたの？

アキラ

うん、かなりびっくりしてたよ

アキラ

大丈夫？このまま新米のママになって

マイコ

子供を産んだ時には、母性が高まって料理も頑張りたい、って思うようになるもん

マイコ

私なら、子育てくらいしっかりできるから

マイコ

世の中の料理ヘタなママでもちゃんとやってるんだもん

マイコ

私が本気を出せば、ちゃんと美味しいもの、作れるんだから

アキラ

じゃあ、また今度親戚で集まった時に、手作り料理してよ

マイコ

え？また親戚の集まりがあるの...？

アキラ

姉ちゃんが、また一緒にみんなで集まりたい、って言ったからさ

アキラ

近いうち、また親戚どうして集まるんじゃないかな？

アキラ

母さんも、かなり喜んでたし

アキラ

マイコの両親はマイコの料理のできなさに呆れてたな

アキラ

俺も、やっぱり、恥ずかしい思いすることになったよ

アキラ

なんとなく、予想はしてたんだけどさ

マイコ

さすがに、悔しいかも...

アキラ

じゃあ、これからしっかり料理する？

アキラ

まあ、マイコのお母さんに連絡するように言われたんだけどね

マイコ

連絡、って…？

アキラ

今日から夜ご飯は、マイコの当番になったから

マイコ

え！？なんでいきなり決めてんの！？

アキラ

俺が決めたんじゃないよ

アキラ

マイコのお母さんが、

アキラ

「こんな子でごめんね。これからはマイコに夜ご飯作らせて」って

アキラ

それで、メニューとか毎日写真撮って送ってくれ、って言われた

マイコ

写真とか...今までの手抜きが全部ばれる、ってこと？

アキラ

まあ、そういうことだな

アキラ

それで、早速今日の夜からスタートするらしいから

アキラ

しっかり料理の実力つけれるように、頑張って

アキラ

俺も、応援するからさ

～後日談～

アキラ

その後、マイコは母親の厳しい言葉を浴びるのが嫌で、毎日必死に料理を頑張っていました

アキラ

怒ると本気で怖い母親に怯えたマイコは、

アキラ

わずか１か月ほどで50のレシピをマスターしたみたいです

アキラ

それなら最初から頑張ればいいのに...と思うところはありますが、

アキラ

気持ちを持ち直してくれて、とにかくよかったです

この作品はいかがでしたか？

0件

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう！

タナカトシキ

プロフィール

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい！がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

LINE１３１７

第1話 - あ

関連するタグ