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あの後コメントがものすごい速さで流れてリスナーにメチャクチャ突っ込まれた。
挙げ句の果てには切り抜きまで…。
僕はまた思わず大きなため息をこぼした。
隣でスヤスヤ眠る葛葉の頭を撫でてそっと腕の間から抜けるとベッドの横にあるクローゼットを開けた。
パジャマを脱いでハンガーにかける。
白の肩出し長袖と黒のスキニーデニムパンツに着替えるとそっと部屋を出た。
僕は顔を洗って髪を整えるとキッチンに向かった。
ガシャリと音を立てて冷蔵庫を開くと卵、納豆、ネギ、豆腐が残っていた。
どれも賞味期限が近い。
食べられなくなる前に食べてしまおうと全て取り出してフライパンに火をつけた。
キッチンのカウンターにある観葉植物に霧吹きで水をやっているとちょうどフライパンが温まってくる。
僕は卵をボウルでとかして醤油、砂糖、出汁を混ぜるとフライパンに卵を流し込んだ。
ジュワァッと音がして香ばしい香りが漂ってくる。
僕は鼻歌を歌いながら卵を巻いて隙間にまた卵を流す。
二、三回ほど繰り返すと形の良い厚みのある卵焼きができた。
卵をまな板の上に乗せて半分に切った。
お皿に盛り付けると今度は鍋を取り出して湯を張った。
ブクブクと音を立てて沸騰すると小さく切った豆腐とネギを鍋に投入した。
本当はワカメとかも欲しかったけれど今日はないから仕方がない。
ふんふんと鼻歌を歌いながら味噌を湯に溶かす。
味見をして濃すぎず、薄すぎずなのを確認すると黒いお椀に味噌汁を入れた。
納豆、味噌汁、卵、白米をテーブルに並べる。
葛葉の分はラップをして置いておいた。
僕は席について慌てて食べ始めた。
本当はゆっくり食べたいんだけど叶くんとオフコラボがあるから急がなきゃいけない。
ご飯と味噌汁を口にかき込んでよく噛まずに飲み込むと食器を流し台に置いて、付箋に『食べてね』と言う手紙だけ置いて鞄を持つと走って家を出た。
叶くんの家はとても近かった。
歩いて15分ほどのところにある大きなマンション。
ドキドキしながら部屋のインターンホンを鳴らした。
『はい、今開けるね』と声がして出迎えてくれた。
叶
刀也
叶さんは、『よろしくね?』と微笑んで手を差し出した。
僕はその手を握って挨拶を交わすと家に上げてもらった。
刀也
叶
言いながら撮影部屋まで案内してもらった。
叶
その言葉に僕は力強く頷いた。