95𝘻 𝘉𝘦𝘴𝘵 𝘧𝘳𝘪𝘦𝘯𝘥

やはり…シュガヒョンは敏い。 メンバーに気づかれないように宿舎の外に出たのに… やっぱり… シュガヒョンには隠せないや…。

シュガヒョンは、車の助手席の扉を開いて、 僕を座らせた。 そしてシュガヒョンは運転席に乗り込んだ。 シュガヒョンは、細くて、真っ白な腕でハンドルを握ると、車を道路に 出すために、ミラーを見ながらバックした。 僕は窓を開ける。 普段なら、窓を開けると、人にバレてしまうから、 シュガヒョンに怒られるけど、 今日は、僕の気持ちを察してくれたのか、 シュガヒョンは、何も言わない。 僕は、窓から入り込んでくる、涼しい風に 髪をなびかせた。 運転しているシュガヒョンの横顔は、凄く綺麗で、 でも、どこか切ないような表情をしていた。 すると、おもむろにシュガヒョンが 音楽を掛けた。 『 お 前 の 小 指 み た い に、僕 ら は 相 変 わ ら ず だ お 前 の す べ て を 知 っ て い る お 互 い 信 じ る だ け で い い 忘 れ な い で い つ か こ の 歓 声 が 止 む 時 留 ま っ て お 前 は 僕 の ソ ウ ル メ イ ト 永 遠 に ず っ と こ の 場 所 に 留 ま っ て お 前 は 僕 の ソ ウ ル メ イ ト 7 回 の 夏 と 寒 い 冬 よ り 長 く 数 多 く の 約 束 と 思 い 出 よ り 長 く 』 『 Friends：친구＿BTS より 』

涙が、あふれ出てきた。 僕は、声を詰まらせて、泣いた。 窓から入り込んでくる風が目に染みる。 スピーカーから流れ込んでくる歌詞に心が染みる。 Friends…。 これは、僕とテヒョンが、 お互いのためだけに…作った曲だ。 僕たちが出会ってからの思い出とか、関係を、 一冊の本にまとめたような… 僕たちにとって大切な、宝物である、この曲。 忘れられない、思い出がよみがえってゆく。

普段は…塩なのに… こういう時だけ… こういう時だけ…こんな優しくなるなんて… ずるいよ…。 僕は… 僕は、あきらめなくても…いいのかなぁ…？ テヒョンに、 「愛してる」 って、伝えることを… 諦めなくっても、いいのかなぁ…？

シュガヒョンは、何も答えず、 建物の中に入っていった。 僕は、泣きながら、シュガヒョンの後をついていった。 その建物の中には… たくさんのお花が並んでいた。 そこは、お花屋さんだった。

シュガヒョンは、店員さんと話していた。 すると、店員さんは、店の奥の方に行き、シュガヒョンは こっちに戻ってきた。

すると、先ほどシュガヒョンが離していた、 店員さんが奥から戻ってきた。