午後もまあまあ忙しく、
先輩達が茶化しに来たり
めんどくさい中年客が来たり
父兄が めちゃくちゃな文句を 言ったりと
それなりに色々あったのだが
それすらもう忘れてしまうほど
夜
嫌な目に
剣持刀也は遭った。
剣持刀也
ガッくん!!!!
伏見ガク
…とやさぁん
剣持刀也
何だソレ…来んなっ!やめ…
家に帰ると
・・ メイド服を着た彼氏が
お出迎えしてきたのだ。
僕に着せるならまだわかる
いや、わからないが。
何をしているんだコイツは。
パッツパツの似合わない メイド服を着た彼氏は
しょんぼりと肩を落とし、 しゃがみこんだ。
剣持刀也
何してるんですか
伏見ガク
………。
伏見ガク
とやさんに着てもらおうと
買ったんだけど……。
買ったんだけど……。
どんな具合になるか着てみたら 脱げなくなったと言う。
馬鹿なのか
わざとなのか。
もう僕にはコイツが分からない。
剣持刀也
ハサミで切ろうとか
そういうことはしないんですね
そういうことはしないんですね
伏見ガク
あ。
ただの馬鹿だった。
やっぱり切るのは……と ゴネるので
そっと チャックを下ろしてやると
するりとメイド服は脱げた。
伏見ガク
とやさん……アリガト。
剣持刀也
はい、寝ますよ
文化祭一日目は 軽いトラブルがあったものの
ガッくんが馬鹿を 晒しただけで
特にとんでもないことは 起きなかった。
と、 僕だけは思っていた。
僕だけまた 何も知らなかったのだ。
もくもくの
こんにちは
または
こんばんは
または
こんばんは
もくもくの
もくもくのでございます
もくもくの
何やってるんでしょうね
剣持刀也
ほんとにね
もくもくの
はい。
もくもくの
変態ちゃんを
生み出してしまった
生み出してしまった
剣持刀也
恥ずかしいですよ
剣持刀也
純粋に怖い。
もくもくの
ねー!
もくもくの
やばいねー!
伏見ガク
勝手なことを
言うなぁぁぁあッ