Episode1-守りたいもの-
敦盛
お鈴
敦盛
お鈴
敦盛
敦盛
お鈴
敦盛
敦盛
お鈴
敦盛
お鈴は、昔から俺の身支度を整えてくれる、武家奉公人の一族の末裔である。
お鈴は、幼い頃に両親を戦で無くしており、辛いことも苦しい事もあったろうに、今の今まで1人で俺の事を支えてきてくれている。
お鈴の、綺麗に整った顔立ち。
美しくて、思わず奪ってしまいたくなるような唇。
純粋に輝くお鈴の目は、まるでこの世のけがれなどひとつも知らないかのように美しかった。
お鈴
敦盛
敦盛
お鈴
お鈴
お鈴
お鈴
敦盛
敦盛
お鈴は、とても苦しそうに、こちらを見つめる。
その目はどこまでも美しかった。
お鈴
お鈴
敦盛
俺は、ビックリした。
武士の家に生まれた以上、人を殺めるのが苦しいなどとは言えまいと、ずっと心に伏せていたもの。
それを今、お鈴に見透かされてしまった。
敦盛
お鈴
お鈴
お鈴
必死に作り笑いをするお鈴に向かって、俺はこう言う。
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
お鈴
お鈴
お鈴
敦盛
敦盛
敦盛
お鈴
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
俺は、お鈴を抱き寄せる。
華奢な肩。
服の上からでも感じる、お鈴の温もり。
幼い頃からずっと感じていた感情。
俺の…守りたいもの。
お鈴
お鈴
敦盛
敦盛
お鈴
敦盛
敦盛
敦盛
俺は、衝動的に動いてしまった体を、お鈴から離そうとする。
お鈴
すると、お鈴が俺の事をぐっと引き寄せた。
お鈴
敦盛
お鈴
お鈴
敦盛
お鈴
お鈴
お鈴
お鈴
お鈴
お鈴
敦盛
お鈴
お鈴
敦盛
敦盛
俺は、お鈴の肩をもう一度、ぐっと抱く。
敦盛
敦盛
敦盛
お鈴
お鈴の目から涙がこぼれた。
お鈴
お鈴
お鈴
この温もりが、
ずっと、ずっと、続けばいいと、
この世の全てを、俺の命さえを差し出しても構わないから、
お鈴を守りたいと、
そう思った。
敦盛
ちゅ…
俺は、お鈴の美しい唇に、俺の唇を重ねた。
柔らかくて、暖かくて。
それでいて、どこか切なくて。
きっともう、こんな事する事は無いのだろうと、
そんな事を考える。
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
お鈴
お鈴
お鈴
お鈴は、この世のものとは思えないほどの美しい笑顔で、
俺に笑いかけてくれる。
敦盛
と、今まで以上に強く思った。
それから数日後の事。
平家と源氏の戦いは、壮絶さを増し、平家は完全に敗戦を目の当たりにしていた。
敗戦と分かっていても、誰も「敗戦する。」なんて口にしなかった。
敦盛
お鈴
敦盛
敦盛
敦盛
嘘だ。
本当はいつ死ぬか分からない。
いつ俺の首が飛んでもおかしくない。
でも、お鈴の事を少しでも安心させられるなら、
それでよかった。
お鈴
不意に、お鈴が俺に向き直って言った。
お鈴
お鈴
お鈴
敦盛
敦盛
本当は、「死ぬな」と言われると思った。
敦盛
お鈴
きっと、「死ぬな」と言わなかったのは、お鈴の優しさだ。
俺がついた、お鈴のための嘘ですら、お鈴は見抜いてしまうのだろう。
俺が、いつ死んでもおかしくないと思っている事。
それが分かっているから、「死ぬな」なんて、意味を果たさないようなことは言わなかったのだろう。
そんな事を考える俺の前に、武家奉公人がすっと出てきた。
武家奉公人の男
武家奉公人の男
敦盛
敦盛
俺は、お鈴の方を見る。
いつ見ても美しい人だ。
お鈴
敦盛
お鈴
お鈴
お鈴は、目から大粒の涙をこぼしながら
やっぱり、いつまでも、どこまでも美しい笑顔で俺を見つめていた。
敦盛
敦盛
お鈴
お鈴
お鈴
お鈴
美しいお鈴のその時の顔を
俺はこれから先ずっと
忘れる事はないのだろう。
俺は、馬に乗って戦へと向かう。
道中、昨日の晩に書いたお鈴宛の手紙を思い返す。
敦盛
そんな事を考えては、お鈴の顔を頭に思い浮かべるのであった。
Episode2-直実との決戦-
戦は、思った通りの敗戦だった。
平家は、武士の大半を失い、体制を立て直すために海へと引いた。
俺も、皆と同じように、沖へ向かって馬を泳がせる。
直実
不意に後ろからかけられた声。
振り向かなくても、源氏の武士である事は確かだった。
直実
直実
敦盛
直実
武士にとって、敵に背中を見せるというのは、プライドをズタズタにするようなもの。
増してや、俺は平敦盛。
将来は軍を率いて行かねばならない存在。
振り向かない訳には
いかなかった。
頭に、お鈴の笑った顔が浮かび上がる。
敦盛
敦盛
敦盛
俺はそう呟くと、勢いよく、馬を引き返させる。
今日だけで、何人の人を殺めただろう。もうこれ以上無駄な殺生などしたくない。
陸に上がった途端、俺よりも随分と歳をとっているそいつは、俺をぐいと引っ張り、馬から引きずり落とした。
そいつは、勢いよく刀を抜き、俺の首に冷たい刃をあてる。
敦盛
ここで俺が剣を抜けば、確実に勝てる。
俺の頭に浮かぶ、お鈴の言葉。
お鈴
お鈴
敦盛
敦盛
そんな事を考える俺のかぶとを、そいつはぐいと持上げる。
首を切り落とすのに、かぶとが邪魔だったのだろう。
俺の顔を見たそいつは、酷く驚く。そして、何を思ったか、こんなことを言ってきた。
直実
直実
直実
直実
敦盛
直実
直実
直実
俺は、武士として、ずっと意地を貼ってみせる。
いかなる時も、武士らしく、勇ましくありたい。
今思えば、それは幼い頃から植え付けられた、固定概念だったのかもしれない。
俺は、質問をしてきたそいつに、質問を返す。
敦盛
直実
直実
聞いたことのない名だ。
もしかすると、随分位の低いものなのかもしれない。
敦盛
位を上げるために俺の首を取ろうとしているのかと、そんなことを考える。
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
直実
直実
直実
直実
直実
直実
しばらくの沈黙の後、直実は後ろをちらりと見る。
向いた先には、敵軍の源氏が、50騎ほどの大群で詰め寄ってきていた。
直実は、それを見て、ぐっと涙を堪えつつ、こう言った。
直実
直実
直実
俺は、お鈴に心の中で謝る。
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
俺は、そこまで想うと、
ぐんと声を張って直実に言い放つ。
敦盛
と。
Episode3-手紙-
お鈴
私は、あの日、敦盛様と唇を重ねたあの場所でへたりこみ、じっと敦盛様の座っていた場所を見つめる。
敦盛様が亡くなったと聞いてから数日。
私の心はいつまでも暗い闇の中でいた。
お鈴
お鈴
お鈴
がっくりと肩を落とす私の元に、あの日敦盛様に支度が出来たと伝えに来た武家奉公人が現れる。
武家奉公人の男
武家奉公人の男
お鈴
私は、その武家奉公人から手紙を受け取ると、すぐに封を開けて読んだ。
その字は、幼い頃から見慣れた字で、いつ見ても美しい字だった。
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
敦盛
私は、涙が止まらなかった。
お鈴
お鈴
お鈴
お鈴
お鈴
私の心が敦盛様に届いたのだろうか。
朝からずっと雨を降らせていた雲が、消えてゆき、
代わりに、敦盛様の笑顔によく似た
眩しすぎるくらいの太陽が、私の濡れた顔を照らした。
-あとがき-
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
ちょーちょー。(作者)
コメント
1件
めっちゃ勉強になりました!