儚い君と＿

俺の名前は鈴木大飛

俺には高校から付き合っている恋人がいる

さっきまで読んでた本を閉じて、パっとこちらに振り返る

その姿でさえ愛おしく思う

そんな俺の、恋人

佐藤優太だ

俺の急な提案に戸惑いながらも、了承してくれる優太

優太に行きたいところを聞くと海と答えたので海に来た

ｻﾞｧｧ＿＿

優太は

小さい頃から身体が弱い

貧血だし、少食だし、すぐに寝込んでしまう

優太はいつも笑って誤魔化している

辛い時も、苦しい時も、一人で抱え込む

俺はそんな優太を見てられなかった

だから、毎日一緒にいるし、同棲もした

少しでも、優太の心が安らぐように⋯

ﾋﾟﾁｬ⋯

ﾋﾟﾁｬ⋯ﾋﾟﾁｬ⋯

少しずつ進んでいく優太

そんな彼を見て

俺は

咄嗟に優太の腕を掴んでしまった

今にも、どこかに消えてしまいそうで＿

夜

ﾊﾟﾀﾝ（ 本閉

1つのベットに、2人で寝転がる

ベットに入ると、今日を振り返ったり、他愛もない話をする

「明日」、か⋯

身体が細い優太は、簡単に俺の腕の中に納まってしまう

大好きな人の声を聞くたびに

毎日、好きが更新してってる

それと同時に

不安が募る

君の笑顔を見ると、胸が締め付けられる

俺は抱きしめる力を強くする

優しく、壊れないように⋯

咄嗟に出てきた、そんな言葉

そんな俺の言葉に

君は、「うん」とも、「大丈夫だよ」とも、言わず

ただ

折れそうな細い、白い腕を

俺の背中に回して

抱きしめ返した

何も言わずに、ただ⋯

ぅｯ、ずびっ⋯

明日は、当然のようにやってくる

明日をゆうたと迎えられるように、抱きしめながら寝る

ゆうたの温もりを感じて⋯

ゆうたは、

きれいで

今にも消えてしまいそうで

儚い

明日も君が

笑ってくれてたら

俺は何もいらない

君の幸せが

俺の幸せなんだよ