僕のヒカリ

ミスドのピカチュウ食べたい

寝起きで寝ぼけたまま リビングに行くと

るぅとくんが キッチンに立っていた

社会人になってから 朝食なんて まともに食べていない

朝から、しかも 何もしなくても ご飯が出てくるなんて 実家に住んでいた時ぶりだ

正直 出会ってから数日で 食の好みも分からない

だから少し不安だった

ゆっくり味わうように 食べるころちゃん

早く感想が聞きたくて そわそわする

段々食べることに 夢中になってきたのか

少し食べるペースが早くなって 無言が続く

元カノと付き合っていた時 僕は料理担当だったから いつも作っていたけれど

こんなにも美味しそうに 食べてくれることは無かった

彼女から告白されて付き合った

僕は今まで好きな子なんて 本当は出来たことがない

ただ 人から 好き と伝えられるのが 初めてだったから 悪い気もしなくて

その場の雰囲気で 承諾してしまった

本当は僕なんて遊び道具で

莉犬に近付く為に 僕を利用しようとしていた ことなんて知らずに

僕は愛が分からなくなった

…というより 元々知らなかったのかもしれない

僕はまだ 愛を知らない

ふと ころちゃんの声で 我に返る

君のことが。

るぅとくんが 試着に行って

僕は1人で 服を漁り続ける

その時だった

“君”の声が聞こえたのは＿＿

きっと聞き間違いじゃない

僕の好きだった人

そして その隣には莉犬くん

声が聞こえただけで 姿は見ていない

でも、それでも

悔しくて苦しくて

急いで店を出てしまった