テラーノベルの小説コンテスト第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで

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LINE１４１７

第1話 - あ

2023年12月18日

#スカッと

タナカトシキ

カズコ

ねえ、あんたもしかして今日家の鍵閉めないで学校行ったわけ？

アサエ

え？

カズコ

あのさ、最近ここらへんで空き巣が流行ってるから戸締まりしっかりしてって私口うるさくいってるよね？

カズコ

こういう一回のミスで、今までの努力全部無駄になっちゃうこともあるんだからきをつけてよね

アサエ

ちょっとまって

アサエ

今日お母さん私が家出る時に、忘れ物取りに帰るから家の鍵あけたままでいいよって言ったよね？

カズコ

なにそれ

カズコ

全然おぼえてないけど

アサエ

いったじゃん！

アサエ

ちゃんと私確認したよね？

アサエ

一応鍵かけといたほうがいいんじゃない？って

アサエ

そしたらお母さんが

アサエ

玄関横のキャビネットに家の鍵忘れたからって言ったじゃん

カズコ

えー？

アサエ

てか今日のライン見返してみなよ！そう書いてあるから！

カズコ

あらやだ私、すっかり忘れっぽくなっちゃった

アサエ

昔からずっとそうだったじゃん

アサエ

自分の都合いいようにコロコロ意見変えるし、

アサエ

自分のミスでも人に謝らないし

カズコ

なにアサエ怒ってんの？

カズコ

可哀想な私

カズコ

女手一つで高校三年生まで頑張って育てたのに、一回のミスでここまで怒られなきゃいけないのね

アサエ

でた、すぐ可哀想なふり

アサエ

だいたい離婚したのもお母さんの言った言わない論争にお父さんが疲れたからじゃん

アサエ

それで他に女の人作って出ていっちゃったし

カズコ

なに、浮気されたのも私のせいだって言いたいわけ？

カズコ

アサエはあの人の味方をするの！？

アサエ

うーん、別にそういうわけでもないけどさ

アサエ

まあまあパパは誠実なほうだったと思うよ

アサエ

浮気って言っても、ママの相談を会社の人にしてたらパパはその人のことを大切に思い始めちゃって、

アサエ

離婚する前にママに全部正直に話したじゃん

アサエ

実はこうこうこうで、この人のことが気になってる自分がいるんだけど、

アサエ

自分には家族がいるから真剣にお前と話し合いたいって

アサエ

そしたらお母さんがその時に

アサエ

好きにして、私もあなたとはもうやっていけないと思ってたからちょうどいいわよ

アサエ

あなたがこの家を出て行くなら全然オールオッケーよって

カズコ

私そんなこと言ってない

アサエ

言ったよ！

アサエ

なんですぐ前行ったことをコロコロかえるの？

カズコ

私を悪者みたいにしないでよ！なんでもかんでも！

カズコ

とにかくあの人の話はもうしないで！

アサエ

ごめん

カズコ

てか、あんたの部屋で随分と高そうなバッグが置いてあったけどあれどうしたの？

カズコ

アルバイトもしてないのにあんなの買えないでしょ

アサエ

べつに、友達からもらっただけ

カズコ

嘘つきなさいよ

カズコ

あんな高級バッグ、どんな高校生があげるのよ

カズコ

それにあれ新品でしょ？箱ごとおいてあったじゃない

アサエ

べつになんでもいいでしょ

カズコ

あんたまさか怪しいこととかしてんじゃないでしょうね

アサエ

冗談やめてよ

カズコ

いくらお金欲しくなっても絶対に身売りとかしないでよね

カズコ

危ないし変な病気うつされたら嫌じゃない

アサエ

私今受験期真っ只中だよ？

アサエ

勉強で精一杯でそんなことしてる暇ないって

〜フジミヤのチャットルーム〜

フジミヤ

プレゼントしたバッグ気に入ってくれた？

アサエ

うーん、あんまり私の好みじゃなかったかも

アサエ

私基本出かける時手ぶらで出かけるし

アサエ

なぜかポケットの方が安心できるんだよね

フジミヤ

そうだったのか〜それは残念

フジミヤ

結構高かったんだけどなあれ

アサエ

せっかくプレゼントしてくれたんだからちゃんと使うよ

アサエ

それに使ってたらなんだかんだで愛着湧いちゃうかもしれないしね

フジミヤ

人生の俺の唯一の趣味はアサちゃんにいろんなものをプレゼントすることだからな〜

フジミヤ

今日も仕事先でよったデパートで、アサちゃんが好きそうなカーディガン見つけたから買っちゃったよ

フジミヤ

次会った時にプレゼントしてあげるからね

アサエ

本当？ありがとう

アサエ

プレゼントって結局どんなものでももらったら嬉しいもんなんだよね

フジミヤ

そう言ってくれると嬉しいな！

フジミヤ

最近の調子はどうかな？

アサエ

うーんぼちぼち？

アサエ

ほら今受験勉強で忙しいからさ、ちょっと生活に余裕がない感じ

アサエ

もう残り時間少ないから、寝てる時間も安心できないよ

フジミヤ

それは大変だなあ

フジミヤ

俺が大学受験する時も常に勉強のことばかり考えてて何をしてても楽しくない時あったな

アサエ

でしょ？もう病気すぎて寝ることに罪悪感感じてるもん

アサエ

常に英語の単語を頭の中で復唱してないと許されないって感じ

フジミヤ

確かに受験勉強っていうのは人生において重要なことだけどさ、

フジミヤ

張り切りすぎて体調崩したり、心をすり減らしちゃったら意味ないから、

フジミヤ

焦ってる気持ちもわかるけど、リラックスしてあんまり無理しすぎないようにしないとね

アサエ

おじさま、ご忠告ありがとうございまーす

アサエ

まあその努力の甲斐あってか、このまま行けば問題なく志望大学には受かりそうですから

アサエ

油断しないように努力します

フジミヤ

それはすごいな！アサちゃんが行きたい大学って国立でしょ？

フジミヤ

相当努力したんだね〜

アサエ

まあね

フジミヤ

そしたら次会う時はいつもよりもっとサービスしちゃおうかな〜？笑

フジミヤ

お小遣い欲しくないか？

アサエ

わーいお小遣い欲しい欲しい！

フジミヤ

急にお金になると食いつきいいねアサちゃん

アサエ

私、がめついもんで

アサエ

一応私のわがままで大学も行かせてもらうからね

アサエ

少しでも自分のものとかは自分でなんとかしたいんだよね

アサエ

学費だって大学入ったらアルバイトして返すつもりだし

フジミヤ

そうなんだ

フジミヤ

本当に真面目ないい子なんだねアサちゃんは

フジミヤ

わかった、次はあった時はカーディガンと一緒にお小遣いも渡してあげる

フジミヤ

勉強がんばってね！

アサエ

ありがとおじさーん！

フジミヤ

もう！おじさんって言わない！

〜1週間後〜

アサエ

今日願書出してきたから

カズコ

は？

カズコ

なんの？

アサエ

なんのって、大学の

アサエ

これから勉強もラストスパートに入るから、しばらく夜にお酒飲んで騒ぐのやめてね

アサエ

もしできないなら24時間空いてる自習室行く

カズコ

何言ってんの、あんた大学に行くお金なんてうちにないよ

アサエ

は？

カズコ

卒業したらさっさと働いて家にお金入れてね

アサエ

は！？

アサエ

なにそれ本気？

カズコ

本気に決まってるでしょ

カズコ

そんなお金ないわよ

カズコ

あんた大学行くために毎日あんな勉強してたわけ？

アサエ

ちょっとまってよ

アサエ

信じられない

アサエ

私前に行ったよね？

アサエ

私大学に行きたいから受験させてくださいって

アサエ

奨学金は借りれるし、お母さんには絶対に負担かけないからって言ったじゃん

アサエ

そしたら、若い頃から借金するなんて危ないし返すのが大変だから、

アサエ

貯金からお母さんが払ってくれるっていったじゃん！

カズコ

無理よだってお金ないもん

カズコ

この前車を新しく買い替えたじゃない？長く使ったし元々あの人のものだったから

カズコ

それで貯金全部使っちゃったわよ

アサエ

お母さん最低

カズコ

それにどっちみちあんたにはさっさと働いてお金入れてもらわないと困るわよ

カズコ

いままで苦労して育ててきたんだからその分恩返ししてよね

アサエ

私いままで大学行くためにどれだけ努力してきたと思ってるの？

アサエ

私あの時確認するんだった

アサエ

本当にいいんだよね？って

アサエ

文面に残すべきだった

アサエ

お母さんが急に新しい車を買ったってじまんしてきたときに聞くべきだった

アサエ

私の大学のお金は取っといてあるんだよね？

アサエ

お母さん、私大学に行ってもいいんだよね？って

アサエ

車買う時に私の考えはなかったの？

アサエ

忘れちゃうの？それとも覚えているけど忘れたふりをしてるの？

カズコ

そもそも大学行きたいなら私が払わなくても奨学金があるんでしょ？

カズコ

それ借りていけばいいじゃない

カズコ

そしたら働いてから返していきなさいよ

アサエ

お母さんが借りなくていいって言ったんじゃん！

アサエ

奨学金だって期限あるんだよ？

アサエ

どうしてお母さんはいつもそうなの？

アサエ

どうしてそんな簡単に私の未来を壊せるの？

アサエ

もう無理

アサエ

お母さんとなんかやってられない

アサエ

今までの私の努力を返してよ

カズコ

返してって言われてもそんな、大学なんて行かせられないわよ

アサエ

しかもわたしはお母さんの負担を少しでも減らせるようにと思って、

アサエ

いきたかった私立大学を諦めて、一生懸命勉強して、科目も途中から増やして国立に絞ったんだよ！？

カズコ

もういい加減だだこねるのやめてくれる？

カズコ

無理なものは無理です

カズコ

高校生の間は好きにしていいけど、卒業したら働いてくださいね

アサエ

私もう家出るから

カズコ

家でてどうするのよw

カズコ

あんたお金もないのにどうやって生活するのww

カズコ

いい加減大人になりなさい

カズコ

小学生みたいなこと言ってるんじゃないよ

アサエ

お父さんのところに行くから

カズコ

へ？

カズコ

なにどういうこと

カズコ

あの人の連絡先なんて知らないでしょ？

カズコ

てかあの人のところ行くってどういうこと？

カズコ

ちょっと返事しなさいよ！

カズコ

アサエ！！

〜フジミヤのチャットルーム〜

アサエ

たすけて

アサエ

もうお母さんと私やっていけない

アサエ

お父さん

フジミヤ

どうしたの？アサちゃん

フジミヤ

カズコと喧嘩したのか？

アサエ

お母さんにまたやられた

アサエ

私大学いけないんだって

アサエ

前は払ってくれるって言ったのに、今はお金がないから働いて家にお金を入れろって

アサエ

奨学金の申請期間も終わっちゃったし、

アサエ

本当私なんのためにあんな努力してたんだろう

アサエ

友達の誘いも断って、好きなバンドのライブも我慢して、

アサエ

やっぱりあの時お母さんじゃなくてお父さんについていけばよかったかなあ

アサエ

レイカさんもすごいいい人だし

フジミヤ

どうしてカズコの方にあの時残ったの？

フジミヤ

あの頃からアサちゃんはカズコに泣かされてたじゃないか

アサエ

だって私がお父さんについて言ったらお母さん一人になっちゃうから

フジミヤ

アサちゃん…

アサエ

お父さんには離婚してもレイカさんがいるけど、お母さんは本当に一人ぼっちになっちゃうからさ

アサエ

本当私バカだよね

フジミヤ

そうだったんだ…

フジミヤ

大丈夫アサちゃん

フジミヤ

俺が必ずお金を払ってあげるから

フジミヤ

返さなくてもいい

フジミヤ

俺はアサちゃんのことがやっぱり一番大切だから

フジミヤ

うちに来たかったらいつでも来ていい

フジミヤ

いつでも歓迎するしいつでも遠慮せずにお願いしていいよ

アサエ

お父さんありがとう

アサエ

だいすき

アサエ

私、やっぱりお父さんたちと住みたい

フジミヤ

ああ、一緒に住もう

フジミヤ

レイカも喜ぶよ

フジミヤ

本当に自分の子供のようにアサちゃんのことを可愛がってるから

アサエ

うん、わたしもレイカさん好き

〜カズコのチャットルーム〜

カズコ

お願い帰ってきてアサエ

カズコ

私一人じゃ生きていけないの

カズコ

お願いだから私のところに帰ってきてよ

カズコ

大学いけなくたっていいじゃない

カズコ

私たち二人でずっと一緒に暮らしていくんでしょ？

カズコ

おねがい私を捨てないで

カズコ

アサエ

ごめんお母さん

アサエ

今までありがとう

アサエ

女手ひとつで高校に行かせてくれてありがとう

アサエ

でも多分私もお母さんもこのままじゃ幸せになれないと思う

アサエ

私、お父さんと住むことにしたから

アサエ

ばいばい

カズコ

ちょっとまって！

カズコ

ごめんなさい！すぐにお金借りてくるから！

カズコ

大学費用私が払うから！

カズコ

おねがい！でていかないで！

カズコ

アサエ！

〜後日談〜

アサエ

その後私は完全に父の家に移り、大学受験も無事合格し現在は大学生としてアルバイトをしながら勉学に励んでいます

アサエ

父はいらないと言っていましたが、なんとか説得して毎月すこしずつ学費の返済をしています

アサエ

お母さんは私がでていってからみるみる痩せていきました

アサエ

現在はたまに二人でレストランであって食事をします

アサエ

すこしずつお母さんとの関係を修復していけたらなと思っています

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タナカトシキ

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