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入学式が終わり、初めてのホームルームも終わった昼休み。
教室にはちらほらとグループができ始め、にぎやかな声が飛び交っていた。
慎は、その空気から一歩だけ外れた場所───
自分の席に座り、鞄から弁当を取り出す。
新田 慎(しんた まこと
慎の弁当は、母が作ってくれた普通のやつ。
中身は茶色率高めだけど、きっちりラップされたそれは、
なんだか安心する味だった。
が、ふいに視界に黒い影が落ちる。
尾川 稜太(おがわ りょうた
いつの間にか、隣の席の稜太が弁当を片手にニッと笑って立っていた。
新田 慎(しんた まこと
尾川 稜太(おがわ りょうた
新田 慎(しんた まこと
尾川 稜太(おがわ りょうた
さらっと言って、もう稜太は慎の机に自分の弁当を広げていた。
断るスキもなく、自然に並んで座るふたり。
新田 慎(しんた まこと
慎は視線を落としたまま、弁当を一口。
そしたら、
尾川 稜太(おがわ りょうた
新田 慎(しんた まこと
尾川 稜太(おがわ りょうた
新田 慎(しんた まこと
尾川 稜太(おがわ りょうた
稜太がにこっと笑って、弁当箱をちょいと前に出してくる。
まるで幼なじみか何かのような自然さに、慎は軽く混乱する。
新田 慎(しんた まこと
慎がそっと卵焼きをひとつ渡すと、稜太はぱくっと口に入れて、
尾川 稜太(おがわ りょうた
新田 慎(しんた まこと
慎はふと、自分の弁当を見下ろす。
からかわれるかも、と毎朝心配してたのに、
稜太はただ普通に「いいな」って言ってくれる。
新田 慎(しんた まこと
尾川 稜太(おがわ りょうた
まるで普通のやりとり。
ただの昼休み。
だけど、慎にとってはきっと───
“誰かと笑いながら弁当を食べる”なんて、何年ぶりだっただろうか。