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くりおねこ
39
フォン
まどか
黒夜星歌
健三
誠一
フォン
フォン
まどか
フォン
フォン
健三
誠一
まどか
黒夜星歌
フォン
フォン
黒夜星歌
フォン
フォン
フォン
幻斗
黒夜星歌
ザーザー
誠一
まどか
山道を叩く雨音が、車内へ鈍く響いている。
窓の外は霧。
街灯もない。
闇だけが続いていた。
誠一
運転席の誠一がぼやく。
助手席のまどかは依頼内容を確認していた
まどか
まどか
まどか
健三
後部座席。 星歌は窓の外を見ていた。
流れる雨を、ただ眺めている。
まどか
まどかが声をかける
まどか
黒夜星歌
誠一
黒夜星歌
まどか
まどか
健三
黒夜星歌
星歌がジトッとまどかと健三を睨んだ
まどか
誠一
誠一
誠一
古い石造り。
蔦の絡まる壁。
雨に濡れた窓。
健三
黒夜星歌
星歌が静かに頷いた
館へ入った瞬間、空気が変わる。
重い
静かすぎる。
使用人たちの顔色も悪かった。
使用人
長い廊下を進み、書斎の前へ辿り着く。
扉には鍵。
警察はまだ到着していない。
誠一が息を吐く。
誠一
扉が開く。
その瞬間。
全員の動きが止まった。
椅子へ座った男。
健三
使用人
まどか
誠一
黒夜星歌
黒夜星歌
健三
黒夜星歌
誠一
まどかはすぐに部屋を見回した。
まどか
まどか
まどか
まどか
まどか
健三が遺体を見下ろす。
健三
誠一が即座に振り返る。
誠一
健三
そう言いながらも健三は静かに続けた。
健三
黒夜星歌
健三
黒夜星歌
健三の言葉と星歌の心の声が重なる
星歌だけが動かなかった。
じっと遺体を見ている。
見えている緑色の片目がわずかに揺れた。
黒夜星歌
まどかが星歌の方を見る
まどか
黒夜星歌
静かな声。
黒夜星歌
空気が静まり返った。
まどかがもう一度書斎を見回す。
まどか
誠一
誠一が扉を確認する。
その横で、健三は暖炉の前へしゃがみ込んでいた。
健三
誠一
健三
暖炉の奥へ視線を向ける。
健三
まどかの目が細くなった。
まどか
聞き込みはすぐ始まった。
九条家の人間は全員怯えていた。
特に娘の美琴だけは異様なほど静かだった。
美琴(みこと)
誠一
誠一が問う。
美琴は俯いたまま答える。
美琴(みこと)
雨音だけが静かに響いていた。
その夜。
まどかがぽつりと言った。
まどか
誠一
まどか
誠一
まどかは遺体写真を見る。
まどか
健三が続けた。
健三
星歌は黙ったまま窓の外を見ていた。
暗い森。
冷たい雨。
静かすぎる夜。
黒夜星歌
深夜。
星歌だけが目を覚ました。
廊下。
誰かの足音。
ゆっくり。
引きずるみたいに響く。
黒夜星歌
星歌は静かに立ち上がった。
気配を消し、廊下を進む。
そして見た。
暖炉の前。
白い服。
黒夜星歌
細い管を暖炉へ繋ぎ、薬剤を流し込んでいた。
その瞬間。
星歌の目が細くなる。
暖炉の奥へ吸い込まれていく透明な液体。
鼻を掠める。
黒夜星歌
黒夜星歌
美琴は気づいていない。
震える指で小瓶を握りしめながら、小さく呟く。
美琴(みこと)
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
星歌は静かに踵を返した。
廊下を抜ける。
誰にも気づかれない足音。
そのまま館の裏口へ出た。
夜の空気が冷たい。
雨は弱くなっていた。
霧が薄く漂っている。
星歌はゆっくり顔を上げた。
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
古く、太い木だった。
枝は窓の近くまで伸びている。
星歌は無言で近づく。
濡れた地面。
泥。
普通の人間なら気づかない程度の跡。
黒夜星歌
黒夜星歌
星歌はしゃがみ込んだ。
細い指が土へ触れる。
黒夜星歌
小さく呟く。
その瞬間。
空気が変わった。
ざわり。
風が揺れる。
木の葉が静かに鳴った。
まるで呼吸みたいに。
星歌は木へ手を添える。
長い前髪の隙間。
見えている緑色の片目が淡く揺れた。
黒夜星歌
静かな声。
黒夜星歌
――怖い。
――眠れない。
――毎夜、窓を見る男。
断片的な感覚が流れ込む。
星歌の脳裏へ映像が滲む。
書斎。
窓辺。
九条伊吹。
怯えた顔。
何度も窓の外を見ている。
そして。
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
星歌の目が見開かれる。
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
風が吹く。
木の枝が揺れる。
その感情の残滓が、星歌の胸へ微かに残った。
苦しい。
怖い。
助けてほしい。
でも最後だけ。
ほんの最後だけ。
――楽になれた。
星歌はゆっくり目を閉じる。
黒夜星歌
苦しくなるほど、理解できてしまった。
だからこそ。
ぽつりと零れる。
黒夜星歌
その時だった。
背後で、枝を踏む音。
誠一
黒夜星歌
声でわかった誠一だと、
星歌は振り返らない。
誠一が隣へ来る。
誠一
黒夜星歌
誠一
黒夜星歌
誠一
誠一は木を見上げる。
誠一
星歌は少し黙ったあと、小さく答える。
黒夜星歌
誠一は少し驚いた
でもすぐに受け入れた
誠一
誠一
黒夜星歌
誠一
黒夜星歌
しばらく沈黙が続いた。
小さな雨音だけが響く。
その中で。
星歌がぽつりと呟く。
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
誠一が静かに遮った。
誠一
星歌が目を向ける。
誠一は笑わなかった。
真っ直ぐ、星歌を見る。
誠一
静かな声だった。
でも、不思議と温かかった。
誠一
星歌は何も言わない。
ただ。
見えている片目から読み取れる表情は、なにか悲しげな表情だった
翌朝
雨は止んでいた。
だが洋館の空気は変わらない。
静かで。
冷たくて。
どこか息苦しかった。
食堂。
長いテーブルへ九条家の人間が並ぶ。
誰もまともに目を合わせない。
カップの触れる音だけが微かに響いていた。
誠一が小さくため息を吐く。
誠一
まどかはぼんやりパンを見ている。
まどか
誠一
まどか
誠一
まどか
健三
健三
誠一
健三
誠一
その横で。
星歌だけが静かだった。
窓の外を見ている。
書斎の前の木。
昨夜触れたあの木を。
まどかがちらりと星歌を見る。
まどか
星歌は少し黙ったあと、小さく答えた。
黒夜星歌
空気が変わる。
健三が静かに目を細めた。
健三
黒夜星歌
星歌は窓の外を見たまま続ける。
黒夜星歌
誠一
誠一
黒夜星歌
黒夜星歌
沈黙。
まどか
誰も喋らない。
まどかだけが静かに組み立てていく。
まどか
まどか
健三が続ける。
健三
誠一
その言葉に。
星歌の目がほんの少しだけ揺れた。
まどか
まどか
その時だった。
食堂の扉が開く。
九条美琴。
顔色は悪い。
昨夜もだったがそれよりもさらに。
彼女はゆっくり口を開いた。
美琴(みこと)
空気が張り詰める。
まどかが静かに立ち上がった。
まどか
まどか
美琴は力なく笑う。
美琴(みこと)
まどかが言った。
まどか
まどか
まどか
まどか
まどか
美琴は否定しなかった。
食堂は静まり返っていた。
窓の外では、雨上がりの雫が葉から落ちている。
その音だけがやけに響いた。
九条美琴は俯いたまま、小さく震えていた。
誰も急かさない。
責めない。
その沈黙の中で。
彼女はぽつりと呟いた。
美琴(みこと)
誠一が少し目を細める。
美琴は笑った。
壊れそうな笑みだった。
美琴(みこと)
美琴(みこと)
細い声。
美琴(みこと)
まどかは黙って聞いている。
健三も何も言わない。
美琴(みこと)
美琴は自分の腕を握る。
美琴(みこと)
その声は怒りというより。
長年押し潰してきた疲労だった。
美琴(みこと)
美琴が小さく息を吸う。
美琴(みこと)
沈黙。
美琴(みこと)
涙が落ちる。
美琴(みこと)
声が震える。
美琴(みこと)
星歌の指がわずかに反応した
星歌はその感情を。
少しだけ理解できてしまった。
美琴(みこと)
美琴(みこと)
誠一
美琴は頷いた。
美琴(みこと)
その場の空気が張る。
美琴(みこと)
窓の外を見る。
美琴(みこと)
まどかが静かに問う。
まどか
美琴(みこと)
まどか
美琴(みこと)
黒夜星歌
美琴(みこと)
まどか
まどか
美琴(みこと)
美琴の声が掠れる。
美琴(みこと)
手が震える。
美琴(みこと)
涙が次々落ちていく。
美琴(みこと)
そこで言葉が止まる。
喉が震える。
美琴(みこと)
誠一がゆっくり目を伏せた。
星歌は黙ったまま立っている。
美琴は壊れたように笑った。
美琴(みこと)
涙を流しながら。
美琴(みこと)
声が崩れる。
美琴(みこと)
その瞬間。
星歌がぽつりと呟いた。
黒夜星歌
美琴が顔を上げる。
星歌は静かに続けた。
黒夜星歌
その言葉に
美琴の目から大粒の涙が落ちた。
まるで。
誰にも理解されないと思っていた感情を、初めて見つけてもらえたみたいに。
誠一が静かに息を吐く。
そして真っ直ぐ美琴を見る。
誠一
低い声。
誠一
美琴の肩が震える。
美琴(みこと)
誠一
静かな声だった。
怒鳴らない。
責め立てない。
でも。
その言葉は重かった。
星歌は黙ったまま俯く。
“救うために終わらせる”
その感情が、自分のどこかにもある気がして。
胸の奥が少しだけ痛んだ気がした
やがて遠くでパトカーの音が鳴り始める。
事件は終わる。
けれど。
誰も、簡単に“解決した”とは思えなかった。
美琴は連れて行かれる直前。
一度だけ書斎を見た。
そして。
泣きながら、小さく笑った。
美琴(みこと)
誰も何も言えなかった。
雨上がりの風だけが、静かに窓へと吹いていた。
星歌の胸には、まだあの感覚が残っていた。
黒夜星歌
黒夜星歌
黒夜星歌
そして、
館を出る前。
星歌はもう一度だけ、あの木を見上げた。
風が吹く。
葉が揺れる。
まるで何かを囁くみたいに。
星歌は小さく目を伏せた。
誰にも聞こえないくらい小さな声で呟く。
黒夜星歌
事務所に戻った頃には、夜もかなり更けていた。
雨上がりの空気がまだ少し冷たい。
誠一が玄関を開けながら大きく伸びをする。
誠一
まどか
健三
まどかは玄関へ入った瞬間ベッドに向かって倒れ込んだ。
まどか
誠一
誠一
まどか
誠一
誠一
まどかは枕へ顔を埋めながら手だけひらひらさせる。
完全にもう何に対してもやる気ゼロになった
またまたその横で。
星歌だけが妙に静かだった。
ソファへ座ったまま、じっとスクールバッグを見ている。
健三が視線を向ける。
健三
数秒の沈黙。
そして。
星歌がぽつりと呟いた。
黒夜星歌
誠一
誠一が答えた瞬間。
星歌の動きが止まる。
まどかが枕越しに片目だけ向けた。
まどか
星歌はゆっくりそのスクールバッグを開ける。
中から大量のプリント。
ノート。
課題。
ワーク。
空気が静まり返る。
誠一が察した。
誠一
健三も静かに頷く。
健三
しかも2人とも方が妙に揺れている
特に健三
星歌が小さく俯く。
黒夜星歌
まどか
まどかがにやっとした。
星歌は小声で答える。
黒夜星歌
数秒。
そして。
3人が一斉に吹き出した
まどか
黒夜星歌
まどか
黒夜星歌
まどか
黒夜星歌
まどか
誠一
健三
黒夜星歌
黒夜星歌
まどか
まどかがからかうように机を指さした。
まどか
黒夜星歌
まどか
星歌がぴたりと止まる。
耳が少し赤い。
誠一がまた吹き出した。
誠一
黒夜星歌
星歌は観念したように机へ向かった。
プリントを広げる。
数学。
英語。
現代文。
その量を見て、数秒で肩が落ちる。
黒夜星歌
誠一が横に座る。
誠一
黒夜星歌
誠一
まどかはベッドで枕に沈んだまま片目だけ開ける。
まどか
黒夜星歌
まどか
星歌は数学のプリントを見つめたまま固まる。
数秒。
黒夜星歌
誠一が笑う。
誠一
黒夜星歌
誠一
黒夜星歌
誠一
健三が静かに覗き込む。
健三
黒夜星歌
健三
黒夜星歌
その横でまどかは完全に寝転がっていた。
黒夜星歌
まどか
黒夜星歌
まどか
黒夜星歌
まどか
黒夜星歌
まどかはくすくす笑う。
まどか
黒夜星歌
まどか
誠一
まどか
誠一
健三
健三
誠一
2人の言い争いを無視してまどかは楽しそうに続ける。
まどか
黒夜星歌
まどか
黒夜星歌
まどか
黒夜星歌
誠一
数十分後。
黒夜星歌
健三
黒夜星歌
健三
黒夜星歌
誠一
健三が静かに紅茶を置く。
健三
まどかがクッションから顔だけ出す。
まどか
健三
健三
まどか
健三
誠一
まどか
健三
誠一
星歌がぼそっと呟く。
黒夜星歌
黒夜星歌
まどかが即座に返す。
まどか
黒夜星歌
まどか
黒夜星歌
誠一が笑いながら言う。
誠一
黒夜星歌
星歌は一瞬だけ黙る。
黒夜星歌
黒夜星歌
夜が更けていく。
最後のプリントを星歌が書き終えたとき、ペンが止まった。
黒夜星歌
誠一
健三
まどかはベッドから片手を上げる。
まどか
黒夜星歌
まどか
黒夜星歌
まどかはくすっと笑う。
まどか
黒夜星歌
まどか
黒夜星歌
まどか
黒夜星歌
まどか
黒夜星歌
誠一
まどか
誠一
黒夜星歌
星歌は小さくため息をついた。
でもその顔は、少しだけ力が抜けていた。
机から離れるとき、星歌がぽつりと呟く。
黒夜星歌
一瞬だけ空気が止まる。
誠一が振り返る。
誠一
黒夜星歌
誠一
誠一
黒夜星歌
まどかがにやにやしながら横を見る。
まどか
健三
健三が普通に答える。
黒夜星歌
星歌の叫びが響く。
そのままソファへ倒れ込んだ。
目を閉じる。
うるさい。
騒がしい。
でも。
黒夜星歌
誠一
フォン
フォン
黒夜星歌
まどか
フォン
フォン
黒夜星歌
フォン
健三
誠一
まどか
黒夜星歌
フォン
フォン
フォン
フォン
フォン
黒夜星歌
フォン
フォン
まどか
フォン
フォン
フォン
スワロウテイル
黒夜星歌
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