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ナムジュンside

ホソク

何考えてるんですか?

ナムジュン

っえ…?

ホソク

もしかして…僕のことですか?

少しだけ振り向いて俺を見た彼は、どこか妖艶だった。

ナムジュン

っなわけないでしょ…
俺は君のこと好きじゃないんだから。

ホソク

ふふっ…そうですよね。

俺はその細い首に、ネックレスをつけた。

ホソク

ありがとうございます、助かりました。

ナムジュン

はぁ…あのさ、

ホソク

はい?

首をこてんと傾げた彼。 そんな仕草全てが、計算なんだろうな。

ナムジュン

君の噂ってさ…あれって、

ホソク

そのことについては、周りの人に任せてるんです。

ナムジュン

は?任せてるって…

ホソク

あぁ、えっと、噂がウソかホントかどう思うかは
周りの人に決めてもらってるんです。

ホソク

僕はウソでもホントでも、どっちでもいいので。

なんで、そんなこと平気で言うんだよ…もしデマの噂でも、気にしないってこと?

ナムジュン

…嫌じゃないの?有りもしない事言いふらされて…

ホソク

どうでもいいんです。
周りがどう思ってようが、興味ないんです。

そう笑った彼の笑顔が、俺は苦手だった。

ホソク

それに、噂がウソだなんて、一言も言ってませんしね?

その言葉に思わず顔をあげると、彼は俺の目の前に顔を近づけていた。

ホソク

ナムジュンさんは、僕が嫌いですか?

ナムジュン

は、ちょ…

ホソク

たくさんの人と寝て、遊んで…
そんなやらしいやつは、嫌いですか…?

ナムジュン

…っ

熱っぽい彼の表情に、俺は顔を逸らした。 彼の冷たい指が、俺の頬に触れる……

ホソク

…ふふ、冗談です。

そう笑った彼は、俺から離れた。

ホソク

キスされるって思いました?

ナムジュン

…っ

ホソク

すみません、反応が見たくて。

可笑しそうに笑った彼に、俺はまた腹が立った。

ナムジュン

…ホントに遊んでるんだ。

ホソク

ご想像にお任せします。

ナムジュン

…っなんでそんな事してるわけっ?

ナムジュン

人で遊んで何が楽しいの?

ナムジュン

君が軽い気持ちでそうしてるから、
あの子みたいに傷つく子がいるんだろっ?

ナムジュン

なのに、なんで関係ないって言えるんだよ!

気づけば、俺の声は階段に響いていた。 息を荒くした俺とは反対に、彼は顔色一つ変えていない。 感情がない。 まるで、ロボットだ。

ナムジュン

…っおかしいよ。

ホソク

…!

ナムジュン

好きでもない女とそうやって…遊ぶのも、寝るのも…っ

ナムジュン

人を傷つけてもそうやって笑ってるのも……っおかしいよ。

この時の俺は、彼がどんな顔をしているかなんて、気にもしなかった。

ホソクside

高級ホテルの最上階。 そこから見えるネオンの景色は、どこまでも続いていた。

ホソク…

振り返れば、“今日の彼女”が濡れた髪のままシャワー室から出てきた。

何見てたの?

ホソク

星を見てたんだよ。

星?

ホソク

そう、星。

ホソク

誰にも買えない、手に入れられない。

ホソク

僕が一番欲しい、永遠の宝石。

ネオンの光が強すぎて、星なんて見えない。 でも、僕の見えない所で輝く宝石は、僕の心を強く動かした。

そう…それは難しいけど、私がホソクの宝石になるよ。

突然のキザなセリフに 笑いそうになってしまった。

ホソク

…ホント?嬉しい。

ホソク…好きだよ。

彼女は僕の耳元で囁いた。 僕はそれが合図かのようにそのまま彼女をベッドまで運ぶ。 僕は彼女に覆いかぶさって、何回もキスをした。

『…っおかしいよ』

…ホソク?どうかした?

ホソク

……ううん、何でもない。…ねぇ?

何?

ホソク

僕、おかしい?

僕の言葉に、彼女は驚いたけどすぐに優しく言った。

おかしくないよ?ホソクはホソクだから魅力的なんじゃん。

ホソクが私意外にも、そういう顔を見せてるのは知ってるけど…

でも私は、ホソクといたいんだよ。

甘い言葉と一緒に、今度は彼女から僕にキスをした。 僕もそれに応えるように 唇、首筋、お腹、太もも……体中にキスした。

ホソク

ん…っ

そんな甘い声も出るのに、頭の中に彼がちらついてしょうがない。 僕のことが嫌いな、彼。 僕を理解できないと言った、彼。 いいんだ、理解しなくても。してもらいたいわけじゃない。

『好きでもない女とそうやって……』

…彼にとっての「好き」って、なんだろう。 …彼にとっての「愛」って、なんだろう。

朝、彼女を仕事先まで送ってから事務所に行った。 僕が事務所に着いたとほぼ同時に、マネージャーがバンから出てきた。

ホソク

ふあーあ。

マネージャー

おはようホソク。

マネージャー

今日は午前中は撮影とインタビュー、
午後は雑誌の撮影とコンサートの打ち合わせ。

マネージャー

そのまま夜に会食で、

ホソク

分かってる分かってる。お上品に、でしょ?

わざとらしく言って、イヤホンをつける。

マネージャー

まぁ、そういうことだよ。

マネージャー

……また貰ったの?

彼は、僕の手首のジュエリーを見た。 昨日の彼女がくれた、アメシストのブレスレット。 ほんとは男の僕があげるべきなんだろうけど せっかく買ってくれたんだし。

ホソク

いいでしょー?一番高いの貰っちゃった。

そう言って歩いていくと、目の前から来た人と目が合った。

ユンギ

ユンギside

今日は朝っぱらからジンヒョンと俺だけの仕事が入っていた。 ただ朝にクソ弱い俺は、目を覚ますためにメイクもせずに建物の中をふらついていた。 それでばったり会っちまった、あの男。

ホソク

おはようございます。お仕事ですか?

ユンギ

…ども。えぇまあ。

そいつはまた愛想よく笑顔を浮かべる。 低血圧で機嫌が悪いのもあったが、この張り付けたウソくさい笑い方が、少し気に食わなかった。

ジン

ユンギヤー!お前メイク終わってないだろぉーっ!

そう叫んで走ってきたヒョンは、俺の手を取った。

ジン

もぉーお前のせいで僕がヌナに怒られるんだよぉ!

ユンギ

…声デカいなヒョン…

ジン

ほら行くよ!……あ

元気なヒョンはその男の方を向くと、ぴたっと固まった。

ホソク

おはようございます。

ジン

あ…おはよう。君もこれから仕事?

ホソク

はい。あ、この前のクッキー、ありがとうございました。

ホソク

美味しかったです。

ジン

そ、そっかそっか!よかった。

ホソク

でも、可愛らしいのは変わらないんですね。

ジン

ご、ごめん嫌だった?

ホソク

いいえ?嬉しかったです。

ヒョンとそいつが話している様子は、絶対に初対面じゃなかった。

ジン

ねぇ。

ホソク

…はい?

ジン

あー…最近、どう?元気?

ホソク

え?

ジン

あっいやっなんていうかその…!

ユンギ

何してんのヒョン。

ジン

いやぁーアハハ…えーっと…

一人で焦ってなんかやってるヒョンに呆れる。 だけどその男は、嫌な顔せず笑顔のままだった。

ホソク

…ありがとうございます、気にしてくださって。

ホソク

でも僕は元気ですよ?
ソクジンさんこそ、あまり食べ過ぎちゃダメですよ?

そう言って笑ったそいつは、ヒョンと俺の横をすぐに通り過ぎて行った。

ユンギ

ヒョン、やっぱ知り合いなんじゃん。

ジン

…えっ⁉な、なんでぇ⁉

ユンギ

図星なんでしょ。あの男、ヒョンが大食いなの知ってたし。

ジン

あぁー…

ヒョンは困ったように首に手を当てた。 この前は邪魔が入ったが、今日は聞けそうだ。

ジン

んーとねぇ…彼とは前から知り合いで~…

ユンギ

で?

ジン

なんて言えばいいのかなぁー……

ジン

簡単に言えば、
あの子のお姉さんと仲よくさせてもらってたんだよ。

そう言ったヒョンは、あの男が歩いていった方を見据えた。 懐かしそうっていうか、複雑そうっていうか、そんな顔で。

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