龍友
次は何飲みますか?

心
ハイボールいいですか?

龍友
ハイボールね

心
…あの一つ聞いてもいいですか?

龍友
なんでもどうぞ

心
数原さんはどうしてEXPGを選ばれたんですか?

龍友
これまたベタな質問

心
すみません…

龍友
ええよ(笑)ベタなんやけど興味を持ったのは親の影響

心
親御さんがファンだったんですか?

龍友
(頷く)5年生くらいの時にEXILEさんのライブに連れて行ってもらったのをきっかけに興味を持つようになって

心
………

龍友
この人たちみたいにたくさんの人を笑顔にしたいし、歌って踊るグループの真ん中で歌いたいなっていう思いだったり夢が芽生えたのが中学生にあがる頃

心
………

龍友
それでも野球に夢中やったから漠然とした憧れしかなかったけどね

心
野球…

龍友
そんな野球も自分とは比べものにならないくらいハイレベルな奴に会って自分の実力を知って諦めるんやけどね

心
それでもう一つの夢だった歌手の道を目指したんですか?

龍友
(頷く)本格的に歌を勉強したいと思って高校中退して学費の為にアルバイトしてEXPGに入って…そこからは慣れないレッスンに苦しみながらも必死に食らいついて行った感じですよ

心
確か初めは初級クラスに入校されてその後に特待生クラスに移動されたんですよね

龍友
そう、よくご存知で

心
はい少しですけど…スタッフとしてサポートするのにあたって資料を見ました

龍友
そこからは知っての通り、涼太とファイナリストとして勝ち残ったけどチャンスを目の前で逃して…しばらくは大好きだったはずの音楽も聞くの嫌になって

心
………

龍友
そんな時に母親に"何か歌ってよ。寂しいわ、こんな静かな家"って言葉に救われて…誰かに必要とされる存在でありたいって思ったんだよね

心
それでEXPG内のオーディションでGENERATIONSの候補生に選ばれてデビューされたんですね

龍友
(頷く)おん

心
誰かに必要とされる存在になりたい…それが今となってはすごい数の人達が数原さんの歌声に救われて生きてるんですもんね…

龍友
………

心
そんな方と一緒に仕事できて…私も数原さんに救われてますね

龍友
……心ちゃんは?

心
?

龍友
なんでLDHに?

心
私の理由なんて数原さんに比べたら薄っぺらすぎて

龍友
それはずるいわ、こんだけ語らせしておいて

心
(笑)ですね

龍友
シンプルにLDHが好きだったとか?

心
いえ、それが全く

龍友
全く(笑)?

心
はい(笑)学生の頃からテレビに関わる仕事につきたいとは思っていて…その時にたまたまLDHを見かけて受けてみたら採用していただいて

龍友
それもそれですごいけどね

心
そこからは本当に忙しくて…ただ涙が出るほど笑ったり、悔しくて子どもみたいに泣いたり…いろんな感情が芽生えた3年間で…

龍友
………

心
最後のツアーを終えたときにEXILEさんやLDHのみなさんに対する想いみたいなのが溢れて…この仕事が心から好きって…ずっとこの場所にいたいって思ったんです

龍友
………

心
たくさんの人に支えてもらってここまでやってきて…これからはその恩を少しでも返せるようなチャンスを頂いたのに…

龍友
なんで?まだ始まったばかりだよ

心
(首を横に振る)…

龍友
………

龍友
心ちゃん、

心
はい…

龍友
心ちゃんは仲間だから

心
………

龍友
俺たちの顔色を伺ったり、何かを我慢せずちゃんと言葉にして伝えてほしい

心
………

龍友
これはあくまで俺の勘で話すから間違ってたり、話したくないなってことがあったら教えてほしいんだけど

心
………はい

龍友
玲於とちゃんと向き合いたいから…あの時追いかけてくれた?

心
(頷く)…でもダメでした

龍友
…………

心
…………

龍友
どうする?もう諦める?

心
………それだけは嫌です

龍友
(微笑む)とことん付き合うよ

心
………

龍友
俺じゃ話しづらいこともあるだろうし?涼太もメンディーくんも亜嵐ちゃんも心ちゃんなら喜んで話し聞いてくれると思うから

心
………

龍友
もちろん隼もね

心
………

龍友
裕太くんなんかは何でもポジティブに変えてくれるやろし…そこは頼ってください

心
ありがとうございます(微笑む)

龍友
(微笑む)

心
?

龍友
さすがやなぁ

心
?

亜嵐
心ちゃん!大丈夫!?

心
……えっ…

亜嵐が入ってきたタイミングで
握っていた手をそっと離す龍友
龍友
思ってたより早かったなぁ

隼
亜嵐くん、暴走しすぎ…

龍友
よく店わかったね

隼
いやいやいや(笑)、龍友くんと言えばでしょ

心
…亜嵐くん…大丈夫…?すごい汗

言って亜嵐に水を差し出そうとして
手前にあったホットウーロン茶を倒してしまい
手にかかってしまう
心
あっ…つ…

亜嵐
大丈夫!?

龍友
これで冷やして

手際良くおしぼりに氷をつつみ
心の手を握り、冷やす龍友
心
…すみません…

龍友
跡が残らないといいけど

心
このくらいなら大丈夫です

龍友
それでも家帰ったら薬塗ったほうがええよ

心
…はい

亜嵐
ちょっ、俺がやるから!

龍友
はい、はい

亜嵐
ホントに大丈夫?痛くない?

心
…(頷く)

亜嵐
てか、龍友くんに何かされなかった?

心
………

亜嵐
どこか触られたりしてない?

龍友
人聞き悪いわー、何もしてませんけど

亜嵐
本当に?

心
…(頷く)

亜嵐
…なら良かった…

心
………

亜嵐
ていうか…なんで2人で飯なんて食べてるの?

心
それは…私が

龍友
俺が心ちゃんと飯食いたかったから誘った

亜嵐
ごめん、今龍友くんには聞いてないんで

心
………

亜嵐
一度誘われたくらいで簡単に2人で飯とか行く人だったっけ?

隼
いやいや、その質問はちょっとおかしいんじゃない?ねぇ?心ちゃん

亜嵐
隼は黙ってて

隼
はい

心
………どうして?

亜嵐
?

心
亜嵐くんこそこんな風に誰かを疑ったりするような人じゃなかったよね?

亜嵐
いや、疑ってるっていうか…心配で

心
どうして?さっき数原さんが言ってくれた通り、心配されるようなことなんて何一つもなかった

隼
心ちゃんもちょっと落ち着きましょ

心
前までこんなことに口出すようなことなかったのに

亜嵐
好きだから

心
………

亜嵐
好きだから心配で…好きだから俺以外の男と2人で飯なんか行ってほしくなくて…そんな心の狭い人間だよ

心
………

隼
亜嵐くんも、お店に迷惑になるからもうやめましょ!

龍友
おかしいやろ

隼
龍友くん、

龍友
他の男と2人で飯なんか行ってほしくないって、どう考えても自分の物にしてから言うことやろ

亜嵐
………

龍友
まぁ…どっちにしろナンセンスやな、男の言う言葉じゃないと思うよ?俺はね

亜嵐
………

隼
もう今日は帰りましょ、ね?

龍友
………

亜嵐
………

龍友
心ちゃん

心
?

龍友
送っていくよ

亜嵐
いいよ、俺が送る

龍友
車できてるし

亜嵐
タクシーで送って

心
数原さんお願いしてもいいですか?

亜嵐
えっ…なんで?俺が送るよ

心
今日は大丈夫…帰って

亜嵐
………

心
………

隼
…じゃあ、解散ということで!

龍友
行きますか

隼
心ちゃんまたね

亜嵐
………

亜嵐
………なんだよ、あれ

隼
…いやぁ難しいねぇー…

亜嵐
…(ため息) 少し前までは誰よりも心ちゃんのこと理解してたはずなのに…俺の知らない心ちゃんが増えていくのがマジで悔しいわ…

隼
まぁライバルが強敵すぎるっていうのもあると思うよ?

亜嵐
(ため息)…俺マジで勝てる気しないわ…
