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この世界から雨が消えた。

空から水が降ってくる事を信じる人も少なくなった

そんな世界で私のパパは傘屋さんを営んでいる

晴美

パパはなんで傘作るのー?

パパ

いつか雨が降ったとき、傘がないと困るだろ

晴美

じゃあ雨が降ったとき、パパはみんなのヒーローになるんだね!!

パパ

ははは!
そうだな!

私の一番古い記憶はお父さんとのこの会話だった

そんなお父さんが作る傘が大好きで、私は雨の無い世界で毎日、傘を差して学校に通っていた

5才の誕生日に両親は傘をプレゼントしてくれた。

晴美

わぁー!!
かわいい!

その傘は、いままで見たこともないカラフルな色をしていた

晴美

ねー!すごい!!
なにこれ!すごい!

ママ

これはね、水玉模様って言うのよ

晴美

水玉模様?

晴美

じゃあ雨ってこんなにカラフルなの!?

そう言うと、お母さんは笑いながら

ママ

そうよ!
雨ってこんなにカラフルなのよ!

晴美

雨が降るの見てみたい!

ママ

でも雨が降ったら、晴美の好きな白のワンピースもカラフルに染まっちゃうのよ!

晴美

え!!
わたし雨きらい!

ママ

でもね、そんなときに服を守ってくれるのが、この傘なのよ!

晴美

傘ってすごい!!!

パパ

ははは!!

仕事場からお父さんの笑い声が聞こえてきた

晴美

パパ!ありがとう!

仕事場にいるお父さんからは返事はなく、金具を叩く音が家に響いていた。

その音は、すごく楽しそうな音だった

同級生A

そんなに雨、雨言ってるなら降らせてやるよ!!

バシャーーン

同級生B

あははは
うける!

同級生A

自慢の傘で守れたー?

同級生B

でもこいつ、カラフルな雨が降るとか言ってたよ

同級生A

なにそれw
馬鹿みたい

雨の無い世界で傘を差して、雨を信じていた私は学校でいじめられるようになった

晴美

そんな……

教室に戻ると、誕生日に貰った傘がバキバキ折られていた

私は必死になって折られた傘をセロハンテープで直して持って帰った

そんな日々が数ヶ月も続いた

そのストレスの矛先を私は両親に向けてしまった

晴美

こんなもののせいで、私は!!!

ママ

晴美……

パパ

………

晴美

もうこんなくだらない物作るのやめてよ…

晴美

こんな時代に傘?
バカじゃないの?

晴美

雨がカラフルってなに?
そんなわけ無いじゃん!!

晴美

あんたたちのせいで私は…
私は……

そして、私は両親のまえで大切な傘をバキバキに折っていた

晴美

私、出ていく

ママ

晴美!!

パパ

好きにすればいい。

ママ

パパ!!

そして私は高校卒業と同時に上京した

上司

おい!!このミス何回目だよ

晴美

すみません。
すぐやり直します!

上司

もういい

上司

だれか、代わりにこれやってくれ

晴美

すみません。

上司

これだから田舎者の高卒はなー

晴美

………

泣いたら負けだ。 あの頃となにも変わらない 私は変わりたくて家を飛び出たんだ。

晴美

もう一回、チャンスください。

何かから逃げるためだけに、飛び出た そんな私が順調にいくわけがなかった

晴美

ただいまー

誰もいない部屋に響く

不在票がポストに入っていた

晴美

なんだろう

実家を出てから毎日 お母さんは連絡をくれている

ママ

荷物受け取った~?

晴美

うん!不在票ありがと😉👍

ママ

えーー!!

ママ

今日の荷物なんだけどね、お父さんからだからね

晴美

お父さんから!?

ママ

お楽しみに~!!

晴美

なんか怖い!!笑

ママ

なによそれ!!😂

再配達の電話をして料理をして待っていた

ピンポーン

晴美

はーい!

思ってたより小さい段ボールが届いた

晴美

なんだろう

開けるとそこには手紙と、さらに小さい箱が入っていた

パパ

久しぶりだな。
元気にやってるか?
お母さんから色々聞いたぞ。
辛くなったらいつでも帰ってくればいい

雨傘はいらないかもしれないが、お前には涙傘はいるだろ。
お守り代わりに使いなさい

一緒に入っていた箱を開けるとそこにはキーホルダーくらいの傘が入っていた。

晴美

あははは

お父さんの不器用な優しさに、笑ってしまった

晴美

ありがとう。

部下

先輩…

晴美

いいよ!
手伝うから半分ちょうだい!

部下

ありがとうございます!

上司

おい!来週までに間に合うのか?

晴美

はい!絶対間に合わせます

上司

お前がいうなら安心だな

上京して3年がたった かわいい後輩もできて、仕事も慣れてきた

晴美

これのおかげかな

鞄につけている涙傘を握りしめた

同僚

おい!外見てみろよ!

部下

わぁ!
ホントに降ってきた!!

その日は数十年ぶりに雨が降ったのだ

上司

今日はもう帰宅しろー!

雨に慣れていない交通機関がマヒするかもという報道もあり、今日は早めの退勤になった。

仕事、仕事だった私は雨のことなんて気にせず、会社を出ていた

晴美

………!!

会社を出た私は目の前に現れた光景に自然と涙を流していた

街中がカラフルな水玉の傘で溢れていた。 私の大好きだった水玉の傘。

部下

あれ、先輩もしかして傘もってきてないんですか!?先週からニュースで大雨が降るって騒いでたじゃないですか!これ貸しますよ!

そういうと部下も水玉の可愛い傘を差し出してきた。 見覚えのあるロゴ。

晴美

あぁ、そうか。

晴美

これ全部、お父さんが

晴美

お母さん、嘘じゃなかったんだね

あの時、言ってた通り

晴美

雨ってカラフルなんだね

私は傘を受けとると、あの頃のようにスキップしながらその水玉模様の街の中に飛び込んだ。

懐かしい景色

何年ぶりだろう、私は両親の住む町に帰ってきた

あの日以来、雨は降らなかった

晴美

ただいま!

ママ

なによあなた、こんないい天気なのに傘なんて差して!

晴美

いいじゃん、私この水玉の傘大好き!

そう叫ぶと、仕事場の方から楽しそうに金具を叩く音が聞こえてきた

雨の降った11月1日は「傘の日」になった

クリスマスやハロウィンのように、世界中で行われるイベントでみんなで傘を差して街をカラフルに染める

その傘はすべて私のお父さんの傘

自慢のお父さん

晴美

ありがとう、お父さん

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