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スマホ越しに聞こえてくるその声は平坦で、とても久しぶりに話すような声色ではなかった。
生気がなく、目を離した瞬間に消えてしまいそうな声に、僕は不安を煽られた。
僕は不安と同時に違和感を感じた
彼女はいつだって、冷静で大人びているが。今日は何か様子がおかしい。
しかし、僕はこの違和感に覚えがあった。
ユキ
彼女は沈黙を守るばかり
ユキ
ユキ
布が擦れる音がした
きっと否定するために首を振ったのだろう。
だがこういう時は大体、逆の意味だ。
首を降る音。
彼女は大人びていたが、事実、彼女は年上で
そのせいか年下の僕に甘く見られないようプライドが高かった。
そんな彼女が、自身の弱っている片鱗を見せて僕を頼ろうとしてくれている。
そこに僕は、こんな状況ながらも嬉しさを覚えていた。
ユキ
どうして連絡くれないの!!!!!!!
突然のことだった
彼女はそれだけ叫ぶと、じっと押し黙った。
予兆の正体
どうやら僕が原因らしい
そう謝罪をすれば、次には堰を切ったように彼女は捲し立てた。
ユキ
ユキ
ユキ
ユキ
ユキ
彼女が泣いていた。
電話の向こうで、彼女が泣いていた。
ああ、愛おしいな
僕のことでこんなに心を痛めている
本心だった
僕も彼女も積極的なタイプではなく、受け身なほうだ。
たまにこんな風に痺れを切らした彼女が怒るのは、今回が初めてではない。
ユキ
ユキ
ユキ
彼女が息を飲むのがわかった。
ユキ
ユキ
ユキ
ユキ
通話
13:08
彼女はそれだけ言うと、電話を切った。