星野
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星野
注意 ※VVT様のnmmn二次創作です ※ご本人様方とは一切関係ございません ※公の場での公開、共有等はおやめください 以上をご確認の上、大丈夫な方のみご覧ください
kr×sm 現実 (®️)
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ぼんやりとした意識の中、淫らな水の様な音と自身の声だけが脳に響く。
ただ、彼からの愛を感じ取る人間と化していた。
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彼の荒い息に自分の名前が混ざる度に思考力を奪われてしまう。
ただでさえ蕩けていた思考回路は、もう0に等しかった。
好きだとか、愛してるだとか、
そんな言葉を聞くだけで、体の中の何かが刺激される。
口からとめどなく溢れていく言葉を抑える気にもなれなかった。
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互いの名前を呼びあって、一つになるだけで幸せになれるとは思ってもいなかった。
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彼の名前を呼ぼうとした瞬間に、目の前が別の景色に変わった。
先程まで彼と一緒にいたはずのベッドに、ただ1人で寝転がっている。
…所謂、夢ってやつか。
あるはずも無い理想を夢見てしまう自分が情けなくて、深いため息を吐いた。
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先程の夢の彼の顔を思い出して、もう一度眠ろうと試みる。
…が、その試みは一つの効果音によって打ち消された。
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少し腹が立ちながらも、スマホの画面を見つめた。
その瞬間に、その苛立ちは嘘だったかのように雲散霧消していった。
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通知を見た時、俺は無意識に声に出していた。
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メッセージの内容を、頭の中で反芻していた。
"今日の夜お前の家行くわ、暇だし"
彼にとっては何気ないメッセージも、俺にとっては一大事である。
大事な急用に、俺の心はずっと揺れ動いていた。
だがその中でも、俺は文字の一つ一つを丁寧に、いつもよりゆっくりと打ち込んだ。
"酒用意しとく"
それだけ送って電源を切った。
朝からこんなに幸せなことがあって良いのだろうか。
明日、死ぬんじゃないか?
顔を洗わなくても良いくらいに意識がはっきりとした。
軽く伸びをしてから、俺は朝食を取ることにした。
あの夢を見てから半日。
モヤモヤとはしつつも、なんとか夜まで堪えることができた。
というか、堪えるために部屋を掃除したり余計なくらいにつまみを買いに行ったまである。
…というか、意識しているのは自分なだけであって。
どうせあっちはただの暇つぶしだろう。
勝手に本気になっている自分が少し気持ち悪く感じた。
気を紛らわせる為に、机上に買ってきた大量のおつまみと何本かの酒を広げた。
とにかく彼が好きそうなものを集めたし、酒もビールを多めに買っておいた。
服はスッキリと、でもラフな格好にした。しっかりしすぎていたら馬鹿にされるに違いない。
動きすぎて怠くなった体をソファに預けた。
ソファは優しく、俺の体を包み込んだ。
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なんとなくテレビをつけた。 テレビでは倦怠期だのなんだの、夫婦関連の特集をやっていた。
…そこまで行くのにどれだけ苦労してると思っているんだ。
そもそもこっちはそこまで行けてねぇんだよ。
と、心の中でテレビに八つ当たりした。
自分が悪いのはわかっている。だがすぐに解決する問題でもない。
勝手に友人に好意を持たれている彼がどうしても不憫でならない。
…まあその友人が俺なのだが。
俺がいなけりゃ楽だろうな、俺もあいつのこと好きじゃなかったら楽だろうなと思考が沈んでいく。
でも、この感情を手放す気にもなれなかった。彼に対する思いが消えてしまいそうだからだ。
彼への思いは今の俺の半分ほどを構成している部品の一つであり、同時に俺が生きる意味にも繋がっている。
我ながら重すぎる男だ。 こんな風になるとは微塵も予想できなかった。
これが俗にいう"沼る"ということなのかと思い知らされた。
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ふと、自分がとんでもない量の思考をしていたことに気がつく。
その証拠に、先程八つ当たりしたテレビのコーナーはもう終わっていた。
これから彼が来るというのにこんな状態では先が思いやられる。
もう何も考えない方がいいのかもしれない。
ぼんやりと、缶の外装を見ていた。
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玄関から音がして、視線がそちらへ追いやられる。
インターホンを鳴らすでもなく、勝手に入るでもなく、ただドアをノックされた。
ソファから跳ね起きて、玄関へと歩き出した。
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念の為につけたドアチェーンは意味がなかったらしい。
半日前にメッセージを送ってきた彼は、いつも通りの雰囲気でやってきた。
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メガネのレンズ越しに見える目はやはり綺麗で、何時間も眺めたくなる。
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無言でチェーンを取れば、彼はそのままドアをこじ開け中に入ってきた。
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溜め息を吐きながらも、俺の口元は少しだけ緩んでしまった。
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部屋に来るなりソファに座り込んでビールの缶を手に取った。
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しばらく缶を眺めている彼の横顔を見ているだけだった。
自分から近づくなんておこがましい。何故かそう思ってしまった。
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唐突に彼は、俺の方に視線を移してきた。
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腕を引っ張られて、無理矢理ソファの上に引き摺り込まれた。
その流れで、彼の上に馬乗りになってしまった。
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勝手に1人で焦ってしまう。
ただでさえ手に触れるだけで高鳴ってしまうというのに、上に跨るとか心臓が耐えられる気がしない。
それと反対に、彼は俺の顔をしばらく見つめてから余裕そうにニヤッと笑った。
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彼の上から体を退けてゆっくりと後退った。
全身が冷静になりきれなくて熱くなっていく。
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含みがあるような顔でニマニマと笑みを浮かべた。
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彼は缶に目を移して、その蓋に指をかけた。
夜も少しずつ更けてきて、気づけばまあまあな時間飲んでいることに気がついた。
互いに酒がそこそこ回っていて、足りない滑舌でどうにか会話を回す。
それは彼も同じで、いつもよりもにこやかだった。
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時計の針を眺めながら、酒をまた喉に通す。
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ほら、と言って彼はリュックサックを見せてきた。
覗き込むと、着替えやら充電器やらなんやら…
とにかく、人の家に泊まる時の最低限の準備が入っていた。大体3日分だろうか。
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否定はできない。 丁度有給休暇を3日程取っているのだから。
仕方ないと自分自身に折り合いをつけて、客人のために風呂を沸かすことにした。
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目をキュッと細めてから、彼はまたつまみに手を出した。
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風呂を沸かすついでに洗濯機に衣類を放り込んで帰ってきた。 洗濯物を散らかした状態を思い人に見せたいはずがない。
そして帰ってきたらこれだ。
先程までの雰囲気とは違って、目を瞑ったまま黙っているではないか。
寝顔は想像していたよりも綺麗で、いびきをかくとは思えなかった。
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念の為に呼びかけてみるが、彼が目を覚ますことはない。
それだけ酔っていた、ということなのだろうか。
気づかなかった自分に心の中で唾を吐き、ゆっくりと彼に近づく。
整った顔は微動だにせず、すぅすぅと規則正しい寝息を立てているだけ。
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少しだけなら、と手を伸ばす。
ただ血迷った、それだけだ。
恐る恐る頬に指を添わせる。 凹凸のない、綺麗な肌だった。
酒を飲んで酔ったからか肌は熱っていて、少し温かく感じた。
この肌の温もりをもっと近くで感じられたら、全身で感じられたらどれだけ良いか。
そんな叶わない夢を、今朝見ていたことも思い出した。
駄目だ、ずっと触っていたら気が狂ってしまう。
焦りながらもゆっくりと指を離そうとした。
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ふと、腕に何か重みを感じた。
骨の張った、ゴツゴツとした手。
まさか、と彼の顔に視線を合わせた。
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目が、しっかりと合ってしまった。
そしてその瞬間に、体内の血が全て抜けていくような感覚になった。
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その手は俺の腕を離してくれなくて、黄色い目は俺に照準を合わせていた。
何も言い出せなくて、しばらく見つめ合う時間だけが続いた。
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やけに低い声。それを聞いただけで頭が揺さぶられる感覚がした。
そのままの声で話しながら、彼は俺のもう片方の手も固定した。
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"そういうこと"__。
どうやら彼にこの感情はバレてしまったらしい。
唐突に言い出された混乱と、"友人"という関係すらも終わってしまうことへの絶望。
それが酔いでぐちゃぐちゃになってしまった。
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動揺が治らなくて声が震えた。
彼の失望する顔が見たくなくて、視線をそらした。
だが彼は冷静に、俺をじわりじわりと追い詰める。
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ゆっくりと、小さく首を縦に振った。
一つ一つの動きが固くなる。
彼からの罵倒、失望、軽蔑。 それらを全て受け止める準備はできている。されて当然だ。
覚悟はできていたはずだった。
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彼はまた俺を見つめた。その視線は先程より何故か穏やかだった。
そして、俺の片腕を解放した代わりに片方の手で俺のフェイスラインを撫でてきた。
何が起きているのか、俺にはよくわからなかった。
彼の酔いは、相当深刻な物らしい。
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弱々しく彼の名前を呼んだ。
彼は少し目を細めると、顔を近づけてきた。
反射的に目を瞑ってしまった。
その隙を作ったのが間違いだった。
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唇に襲う感触。
それがキスということに気がつくのに時間はそうかからなかった。
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酔いすぎて頭がおかしくなっているのだろうか。
思考停止した俺とは裏腹に、彼は口角を少し上げた。
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彼の言っていることを文章的には理解した。
が、俺の心はそれを飲み込めていなかった。
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彼は俺の腰に手を当ててきた。 指の感触に、思わず体が跳ねた。
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ぎゅっと体を引き寄せられて、顎を肩に乗せられた。
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心臓の音はだんだんと速くなる。 逃げ出したいくらい恥ずかしいはずなのに、体は抵抗する気にならなかった。
酒はこんなにも人間を素直にしてしまうのかと思うと恐ろしく感じた。
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口先で否定したが、多分満更でもない顔をしていただろう。
彼はいつも通りの声で、でも真剣に告げた。
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返事を返すと共に、彼の体を引き寄せた。今までに感じたことのない幸福感が己を包んだ。
そして彼があと3日程滞在することを思い出して、またも心臓が脈打った。
朝見たあの夢が正夢になるのも、そう遠くはないのだろう。
1人で勝手にそんなことを考えてる自分に、心の中で舌打ちをした。
星野
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