私
ひとつ、願いが叶うなら。
私
君はどうする?
冗談のつもりで、私は言った
「七夕だから」
そんな口実で
君
君
そっちは?
私
えっ?
少し笑って、君が言った
目線をこっちに向けた君は、 少しいたずらっぽくて
なんとなく聞き出せないまま、 お別れの時が来た
君
あ、橋が消える……
後ろ髪を引かれるように、 君が言った
私
あ、バイバイ。
また、来年。
また、来年。
咄嗟に、そう言ってしまった
もっと、話したいこと いっぱいあったのに。
君
……うん。
君
またな。
君も名残惜しそうに、呟いた
天の川に架かる、 華やかな橋を背景に
君の背中は、少し霞んで見えた
私
あー……
私
また来年、かぁ…
家に帰って、ベッドに倒れ込む
ふかふかの掛け布団が 頬をくすぐる
天井を見つめながら呟いた
私
来年も……
雨、降らないと良いなぁ…
雨、降らないと良いなぁ…
そんなの、時の運だけど。
なんて、現実的な事を思ったり
ふと目を閉じると、 そのまま眠ってしまった
毎年、七夕の朝は ワクワクとドキドキで 心臓がもたない
君も、同じ気持ちだったら良いなぁ
七夕の夜、私が毎年短冊に 書く願いは
私
私
君に、来年も
会えますように。
会えますように。
君
君
僕も同じだよ
クシャっと笑う君が、 瞼の裏に見えた気がした