ぬし
ぬし
ぬし
________壊れた。
そう表現するのが、一番近いだろう。
ある日から、イタリアとドイツの姿を見なくなった。
ロシアやフランス、WW1,2で同じ陣営だったオーストリアや日本に聞いても、なにも収穫がなかった。
まぁ、酷く驚くことでもない。
あの二人は、常に一緒に行動している。WW2後は、特に。
一番行動を共にしているのは、恐らくお互いだ。
故に、誰もわからない、ということはあってもおかしくはない。
それなのに。
私________イギリスは、胸騒ぎがして仕方がなかった。
数日後。
職場に、イタリアが現れた。
数日間職場にいなかっただけだが、私は驚いていた。
イタリアに、どこに行っていたのかを尋ねたところ、どうやら旅行に行っていたらしい。
うっきうきな顔で、スキップをしながら書類を運んでいた。
…だけど、私の胸騒ぎはまだあった。
その、数分後。
少し休憩をしようと、廊下へ出る。
すると_______前方に、ドイツがいた。
が。
明らかに、様子がおかしかった。
見るからに怯え、震えているし、誰かを探しているみたいだった。
なにがあったんだろうと、私は彼に聞いてみることにした。
イギリス
ドイツ
震えた声、だった。
何故イタリアが、どこかへ行っただけで?
彼はサボり常習犯だ。
別にどこかへふらふらと歩いていても、日常茶飯事だというのに。
そして、それはドイツ自身が一番知っているだろうに。
困っていると、背後から声が聞こえた。
イタリア
彼が言い終わる前に、ドイツがイタリアに抱きつく。
体格差があるため、イタリアがよろついたが、しっかり受け止めた。
イタリア
頭を撫でるイタリア。
ドイツは小さく頷いた。
イタリア
小さく、吐き捨てるように呟いたのを、私は聞き逃さなかった。
________絶対に、いない間。なにかあった。
イギリス
イタリア
間抜けな声。
暫くすると、微笑しながら言った。
イタリア
イタリア
…狂っている。
そう、感じた。
夜。
いつもはio一人で家に帰るところだけど、今日はドイツも一緒。
あぁ、嬉しいなぁ。
ioにだけ、僕にだけ、依存している彼を見るのは、至福の時間だから。
あの時、壊してよかった。
イタリア
イタリア
腕に絡まる彼を離すのはちょっと心苦しいけど、まぁいいや。
ドイツは無言で僕の腕を離した。
イタリア
ドイツ
言われるがままに先に入るドイツ。
ioもドイツも靴を脱ぎ、部屋へと上がった。
イタリア
ドイツ
ドイツ
一瞬、明らかにドイツの瞳に"恐怖"が浮かぶ。
それでも、彼は頷いた。
イタリア
ioは、風呂場へと歩く。
その時ioは、心のなかで悶絶していた。
あぁ、なんて愛しいんだろう。
きっとあの時、僕が『一緒に入ろう』っていうの、待ってたんだよね?
僕が君に好意を抱いてるなら、言ってくれるはずだ、って。
思ってたんだよね?
ふふふ、やだなぁ。
僕だってお風呂一緒に入ってみたいけどさ。
でもね?
一緒に入らないってだけで、君があんな顔するんなら、
『別々で』って言うに決まってるじゃん...♡
イタリア
でも、それがいい。
それが、可愛い。
嫌でも、僕の言うことは聞いてくれる。
僕に嫌われたくないから。
ずっと一緒にいたいから。
_______だから仕事中も、いつも消える僕を探してくれた。
イギリスどころか、会社全体に、いつかは広まっちゃうかもだけど。
でも、別にいい。
だってドイツは、僕以外見ていないから。
そう思いながら、風呂場に足を踏み入れた。
ioがお風呂をでて、ドイツも終わって、一息をつく。
明日、仕事はない。
それを確認したioは、とある準備をしていた。
準備が終わるのを確認してから、ドイツのいる部屋へと向かう。
そこには、ぼーっとしているドイツがいた。
イタリア
ドイツ
どこか遠くを見つめるドイツの手を引く。
向かう先は、寝室。
どうぞ〜、と彼を先に通し、ベッドに転がす。
僕も転がって、明かりを少し暗くした。
イタリア
イタリア
ドイツ
イタリア
…僕も、嬉しいな。
だって、僕と一緒にいて、嬉しいってことは...ねぇ??
イタリア
ドイツ
隣で寝転がっている彼に、深い深いキスをする。
明日は、予定はなにもない。
なら別に...大丈夫。
まぁ、あったとしても別に僕にとってはどうでもいいけど。
少し時間が経つと、ドイツが苦しそうにしていたから、一旦止めた。
イタリア
ドイツ
あぁ、幸せそうな顔。
僕も今、すっごい幸せ。
いつもなら防げるのに、口角があがってしまう。
か彼の瞳の中の僕は、恍惚とした顔をしていた。
イタリア
ドイツ
彼はにこっと微笑み、なんの抵抗もなく僕と身体を重ねた。
幸せそうな彼をみながら、僕は考える。
いつ、また、壊せばいいか。
いつ、どん底に落とせばいいか。
…いつ、彼を突き放せばいいか。
その時の彼は、今度はどんな風に崩れてくれるか。
身体を重ねながら、僕は頭の片隅で、"次"を考えていた。
コメント
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イタリアさんすげぇ…!!まさか愛し合うときまで『次』を考えているとは……恐れ多し……後日談とは思えない本編並の文力でとてもワクワクしました(それと毎回イラストを持ってくる位置が天才すぎる)