君を知れたとき。

大切な人が亡くなったときって、 どんな感覚なのだろう。

そう思っていた。

でも、きっと知らぬが仏だった。

いや、知りたくなかった。

喪失感が俺にまとわりついて離れなくなる。

テレビ越しで笑っている、ルビーのような瞳を持った君が頭から離れない。

いつも同じ場所で何気ない会話をして、笑い合う。

互いに学生であるにも関わらず 朝からずっと一緒にいた。

「学校行ってないの？」

そう、普通なら聞く。

でも俺らは聞かなかった。

だって、俺は話したくなかったんだから。

きっとゆあんくんも同じ気持ちだったんだろうな。

名前だって、なんとなく聞くのをやめた。

聞いて良いような雰囲気じゃなかったから。

でもさ…ゆあんくん

死ぬぐらいに悩んでいたなら、

少しぐらい話してくれたってよかったのに。

俺は…君のこと、名前は知らなくたって

好きだったのにな。

いつもの場所に来て、来るはずもない君を待つ。

朝顔の花が遠くで輝いているのが目に見える。

その瞬間、人の死というものをようやく理解した。

「会えないんだ。」

「死」というものの実感は、孤独をかんじたときに ようやくするものだ。

君だけがこの世にいないという現実が どうしようもなく苦しいよ。

水の中は冷たく孤独を感じやすい。

ゆあんくんは…何を思いながら 川に飛び込んだのだろう。

声の主の方へと目を向ければ、そこには 凄く美形な男の子がいた。

年は、おそらく同じくらい。

耳にはピアス、首元まである襟、顔の半分を占める ほどの大きなガーゼ。

そう言ってイケメンは花束を指してくる。

"友達"と呼んでも良いとのなのかな。

名前だって知らなかったのに。

"友達"嬉しくもあり、それ以上を求めてしまっていた自分がいる。

自分の強欲さにはほんと反吐が出る。

"死を選んだ" この行動にはきっと意味がある。

なんの意味もなく人は"死"を選ばない。

苦しい、辛い、解放されたい。

そう強く望む人々の救いの手が「死」なのだ。

ゆあんくんも、同じことを思っていたのか。

いやっ、思っていなかった？

元々ゆあんくんは死ぬつもりがなかった可能性は？

いやいやいや、まさかね。

そんな物騒なこと、あるわけがない。

あるわけ、ないよね？

今思えばゆあんくんは"死"への考え方が 異常だった。

普通の人なら何も気にしていないような視点を よく持っていた。

まるで、自分が死んだ後を語るかのように。

ゆあんくんの死が自殺か他殺か。

今はまだ分からない。

でも絶対に真実に辿り着いてみせる。

俺は今だけ『探偵』として。

君が抱えていたモノ、苦しめていたモノを みつける。

君のためなら俺は…

なんだって出来るよ。

𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝1000♡