最初は、幸せだった
夢叶
春ちゃんただいまっ
春千夜
うおっ、おかえり
夢叶
ふふっだいすき!
春千夜
あ"ー、かわい。抱きてぇ
春ちゃんこと、三途春千夜
一度ナンパされてるところを助けてもらってからだんだん仲良くなり、1年もすれば付き合うようになった
毎日仕事から帰れば家に春ちゃんが居て、ぎゅうっと抱きしめてくれる
このあったかい腕が、春ちゃんの全てが大好きだった
なのに、こんなあっけなく幸せは壊れるもんなんだって
知ってしまったのは、付き合って丁度3年目の日だった
サプライズでお祝いをしようとしていた私
その日の朝
夢叶
仕事が長引きそう
と言っておけば
春千夜
終わるまで待ってるから
とかっこいい台詞を言って送り出してくれた
もちろん仕事が長引くなんてこと嘘で、定時で上がりケーキを買って家に帰ろうとしたら、大好きな声が聞こえた気がした
夢叶
((まさかな…
なんて思いつつも気になってしょうがなかった私はこっそりと声の方を物陰からそっと覗く
浮気相手
春千夜、遅い〜
春千夜
仕事だ、つったろ
浮気相手
いいから早く行こ?我慢できないよぉ
春千夜
おー、ぶち犯してやるよ
開いた口が塞がらない、ってこういうことを言うんだろうか
私の目線の先で会話をしていたのは大好きな春ちゃんと、見たことのない綺麗な女性
その場に立ち尽くしていたら春ちゃんは女性の肩を抱いてどこかに行ってしまった
向かっているのは、恐らく大人のホテル
誰が考えてもそう分かるだろう
その日は、トボトボと家に帰った
買ったケーキは、見るのも嫌で途中のゴミ箱に捨ててきた
家に帰ってすぐ、布団に潜り込む
サプライズの準備をするのはもちろん、動く気も起きない
色々と考えてたら涙が溢れてしまいそうで、そのままぎゅっと目を瞑っていたらいつの間にか眠りについていた