私のボーイフレンドは幽霊です

この黒いテキスト

あれはもう20年以上も前 俺がまだ人間だった頃の話だ

その時俺は、「桃ノ村」って言う 村で家族と暮らしていたんだ

可愛い弟も居たんだよ？

父さんと母さんは 地元じゃ有名な桃農家で

桃ノ村の名産は名前の通り 「桃」だったから 他の家より少しは裕福だったのかな？

あ、言い忘れてたけど

俺の生前の名前は「元」と書いて 『はじめ』って言うんだよ

まぁでも、みんなは俺を『げんさん』 とか『げん』って呼んでた

近所の人は優しい人達ばかりだし

　ガタｯ（襖を開ける音）

親しい友達も居たから

毎日が楽しかった

こんな生活が嫌だなんて感情は 微塵も無かった

‥‥‥‥でもね

変わっちゃったんだ

あいつが来てから

その日は学校が休みで いつもと変わらない朝‥‥

のはずだった

俺の居た村は他とは違う 習慣(？)があって

村に新しい人が来たら 村の人全員で歓迎するという事

少々めんどくさいが、 村に人が増えるのは嬉しい事だ

この時はまだ

引っ越して来た人が

あんな奴だったなんて

思ってなかった

彼の名前は

山田　仙一 （やまだせんいち）

宗教の神父をしております

この日、この瞬間が

あの悪夢の 始まりだったんだ