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nmmn注意⚠️ キャラ崩壊注意⚠️ 誤字脱字注意⚠️ 殺し屋パロ
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#5 狙撃手の午後、桃は静かに揺れる
灰色の雲が街を覆っていた。
まるでこの世界の輪郭さえ、ぼやけさせようとしているかのように。
高層ビルのガラス越しに広がる景色を、らんはぼんやりと眺めていた。
シャツの袖は無造作に折られ、ネクタイは緩く、スーツのジャケットは椅子の背にかけられている。
パソコンの画面に無機質な会議資料の数字が並ぶ。
だが、らんの視線はモニターの右上にだけ注がれていた。
そこには、暗号化されたシンプルな通知。
《依頼:港区・某ビル/金融関係者/抹消対象》
# 桃
書類を閉じ、メールを削除すると、らんは椅子に深く背を預けた。
# 桃
# 桃
面倒くさそうな溜息。
だが次の瞬間には、表情から気だるさが消える。
スーツのポケットから、携帯用のスコープと風向計を取り出す。
その手の動きには一切の迷いがない。
慣れきったルーティン。
表の顔《らん》から、裏の顔《桃》へ――無音のまま切り替わっていた。
# 桃
# 桃
数分後、らんは社屋を出た。
その足取りは緩やかで、どこか気の抜けた様子。
だが、通行人の流れを自然に避け、人目を引かない動きだった。
耳に差したイヤホンから流れてくるのは、ニュースではなく風速アプリの音声。
耳で測り、指で数える。
感覚と機材が一体になる、その瞬間こそがらんの本領だった。
入り組んだ路地の先、古びたマンションの屋上へと続く階段を上りながら、らんは小さくぼやく。
# 桃
# 桃
屋上の扉は鍵が壊れたままだった。
無理に押し開けると、錆びた金属音が微かに鳴る。
視界が開けた瞬間、らんの表情は音もなく消えた。
《桃》の時間が、始まった。
バッグからライフルを取り出し、部品を静かに確認する。
3分もかからずに組み立てを終えると、地面に寝そべるように構えた。
風速を測り、距離を計る。
スコープの先には、通用口が映る。
# 桃
# 桃
# 桃
そのまま空を見上げる。
# 桃
だが、スコープの中で桃の呼吸は凪のように整っていた。
──ターゲット出現。
複数人で笑い合いながら歩く、スーツ姿の男。
無防備に浮かべた笑み、防弾チョッキの形跡はなし。
# 桃
引き金に指をかける。
その瞬間、世界から音が消える。
たった1発。
静かに、正確に──
──パン。
無音に近い乾いた発砲音。
照準の中心にいた男の額が赤く染まり、瞬時に地面に崩れ落ちる。
部下たちの悲鳴は遠くに響くが、桃にはもう届かない。
速やかに銃を分解し、指紋を拭い、カバンにしまう。
コートを羽織り、静かに立ち去る。
すべての動きが、手慣れた儀式のようだった。
# 桃
# 桃
夜。
再びオフィスに戻ったらんは、何事もなかったようにパソコンに向かっていた。
蛍光灯の光に照らされる中、彼の指が打ち込む文面はただひとこと。
《対象処理完了。詳細割愛》
上司からの返信はない。
だが、それこそが絶対的な信頼の証だった。
椅子にもたれ、ふと独り言のように呟く。
# 桃
# 桃
火をつけようとした煙草を見つめ、思い直して手を止める。
# 桃
# 桃
──誰かの命が消えても、机の上の書類は山積みのまま。
報告書が1通増えただけの一日。
だが、その裏で。
裏の名を《桃》とする狙撃手はまたひとつ、仕事を終えていた。
冷静に、正確に。
それが、《らん》という男のやり方だった。
#5・了
rara🎼
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𝙉𝙚𝙭𝙩 ︎ ⇝♡60
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