私は生まれつき
心臓の病気だ
小さな頃から
入退院を繰り返す日々…
分かっている
私が助かるには…
心臓移植しか無い
でも
心臓移植の手術は難しい…
莫大な治療費もかかる
16歳になった年
パパとママは
私を 田舎の医療施設に転院させた
『空気が良いから』
パパが言った言葉は嘘だ
ここは
私が静かに死にゆく為の
場所だ…
琴葉
美月
機嫌が良いわね
彼女は一緒の病室の 琴葉(ことは)
この病院は
私みたいな心臓病の子が
たくさん入院している
琴葉
寝れなくてさー
琴葉
琴葉
出会ったの!
美月
琴葉
たくさん話したよ!
琴葉
美月
あったのね…
琴葉
行こうよ!!
美月
その日の晩
美月
苦手よ…
琴葉
星が綺麗だよ?
美月
美月
初めて聞いたわ…
琴葉
琴葉
心臓病の子供しか
いないから?
美月
美月
一華
琴葉
美月
琴葉
一華だよっ
琴葉
彼女は同じ病室の美月!
一華
美月
一華
一華
海星(かいせい)!
海星
美月
美月
琴葉
心臓の病気?
一華
美月
海星
美月
美月
何歳なの?
一華
琴葉
一華
琴葉
美月
海星
美月
海星
美月
海星
それから私達は
毎晩のように
中庭で待ち合わせをした
他愛もない話しをして
とても楽しかった
琴葉と一華は
まるで双子のように 仲良しで…
微笑ましかった
私と海星も…
仲良くなった
海星は優しい性格で 常に穏やか
その名の通り
海に輝く星のような人だった
そんなある日…
琴葉
来週…手術だって
美月
琴葉
治るかもって
美月
琴葉
琴葉
一華
琴葉
死んじゃうのよ?
一華
琴葉は死なない!
美月
美月
死と隣り合わせ
一華
美月
海星
琴葉
海星
流れ星になって流れる
一華
綺麗だね!!
美月
美月
流れ星になるのなら…
美月
琴葉
一華
一華
琴葉
海星
美月
海星
美しい月だね
美月
恥ずかしい…
海星
その後
琴葉の手術は成功した
しかし
その日の夜から
一華も海星も
姿を見せなくなった…
美月
琴葉
美月
琴葉
手術でしょ?
琴葉
美月
琴葉
美月
ありがとう
琴葉
琴葉
美月
美月
あの二人も退院したのよ
琴葉
そうだよね!
琴葉
美月
琴葉
琴葉
美月
琴葉
美月
また会おうね!
皆…退院して
私は一人…
寂しい…寂しいよ
気付けば
今夜も私は
中庭にいる…
美月
海星
美月
美月
海星
美月
海星
海星
美月
美月
海星
美月
美月
海星
美月
美月
美月
健康そうだもん…
美月
海星
美月
あなた達は誰なの?
美月
この病院にいるの?
海星
美月
海星
ずっと会いたかった
美月
海星
会いたかったから…
海星
外に出た…
海星
君達は生きる意味だよ
美月
美月
海星
ただの海星…
美月
海星
君の願いは何?
美月
美月
海星
海星
美月
美月
海星
美月
海星
美月
美月
死ぬのが…怖い
海星
僕が流れ星になるよ
美月
海星
僕は一粒の星になる
美月
海星は
それ以上、何も言わなかった
ただ…微笑んでいた
それから海星が
この場所に来る事は
無かった
数日後 私の手術は成功した
不気味なのは
どんな手術か 分からなかった事
パパやママに聞いても 教えてくれなかった
海星にも会えないまま
私は退院した
そして… 月日は経ち
私は大人になった
病気なんて無かったみたいに
元気に生活している
美月
美月
私が昔…入院していた?
美月
テレビでやってるかな?
パチ…
テレビ
テレビ
無断で心臓移植をしていた
院長が逮捕されました
美月
テレビ
孤児の子供の心臓を
患者に移植した疑いがあり
テレビ
『あなた達は心臓を
あげるために生まれた
奇跡の子』と言い聞かせ…
テレビ
犠牲になっているとの
情報です
美月
美月
美月
『美月にずっと…会いたかった』
『僕達にとって 君達は生きる意味だよ』
『君の願いが叶うなら 僕は一粒の星になる』
美月
美月
海星の…?
美月
海星は死んで
私は生きた…
彼の人生と私の人生
どうして 違ってしまったのか…
私は多分…
海星が好きだったのだ
彼と笑い合いながら 生きる人生は
一生、来ない…
今更になって
その事実に絶望した私は
自分の胸を抱きしめて
涙を流した
君の願いが叶うなら 僕は一粒の星になる (終)