『只今』
たったの四文字、なのに。
胸を温かいものが駆け巡る。
太宰 治
太宰 治
中原 中也
声が続かなかった。なんと云って良いのか分からなかった。
太宰 治
太宰 治
太宰 治
中也から段ボールを受け取り、廊下の隅の方に置く太宰。
おずおずと、目も伏せがちに中也が玄関に上る。
此方、と脱衣所へと太宰に案内された。
中原 中也
太宰 治
太宰 治
中原 中也
太宰 治
何か語弊がある_と言わんばかりに太宰が口元を押さえた。
思わず中也が吹き出す。
其の姿を見て、太宰も目尻を下げた。
太宰 治
中原 中也
太宰 治
太宰 治
中原 中也
太宰 治
段ボールから適当な着替えを引っ張り出して、湯を浴びる。
冷え切った身体に、じんわりと染み渡った熱。
早々に済ませ、髪を拭いてから太宰の元に向かった。
太宰 治
中原 中也
太宰 治
ソファに掛け、一人紅茶を飲んで居る太宰。
鼻を抜ける香り。ダージリンだろうか。
中原 中也
太宰 治
少し作った様な笑み。 態とだ。中也が確信する。
中原 中也
太宰 治
軽く冗談を云い合って、中也もソファに腰掛ける。
太宰 治
太宰 治
太宰から出た言葉は、中也の予想から大きく外れて居た。
太宰 治
中原 中也
太宰 治
太宰 治
中原 中也
中原 中也
何故云う通りにしなかったのか、何故着いて行ったのか。
責められるのではと思って居た。
太宰 治
太宰 治
太宰 治
中原 中也
太宰 治
中原 中也
静寂の幕が落ちる。中也の声が其れを捲った。
中原 中也
太宰が首を動かした。 中也は続ける。
中原 中也
太宰 治
中原 中也
中原 中也
太宰 治
中原 中也
中原 中也
太宰 治
中原 中也
中原 中也
中原 中也
中原 中也
相棒で。
中也が膝の上で拳を握る。
太宰 治
太宰 治
朝、明けの空。双つの黒い影が、木目に揺れて居る。