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さえ

さえ

痛…

さえ

ここ

さえ

どこ…

おはようさえちゃん

ずっと眠ってたから心配してたんだ

なにか飲むかい?

さえ

誰…?

悪いけどまだ顔は見せられないんだ

僕は人見知りなんでね…

さえ

ここどこ…

さえ

私…え?

混乱するよね

大丈夫ゆっくりお話しよう

さえ

話…?

さえ

誰なの

話せば分かるはずだよ

君が忘れるはずないもの

さえ

話すことなんてないです

さえ

逃がしてください

大丈夫さ

君はただ耳で聞いて理解するだけで良い

話題は僕がたくさん用意してあるから

さえ

そういう問題じゃ…

さえ

ひいっ!!!

目隠ししているのによく刃物だって分かったね

君が僕の話を聞かずにどうこう言うならすぐ殺すよ

僕の好意で教えてあげてるんだ

君は僕の話を聞いてたまに質問を挟んだりしてくれればいいんだ

わかった?

さえ

…はい

君のお母さんって美人だよね

さえ

…え?

とっても綺麗で誰にでも優しくて

でもさえちゃんはお母さんの血は継いでないみたいだ

顔はお父さん似だし

性格もお母さんとは真反対

さえ

僕はね

君のお母さんと特別仲が良かったんだ

でも、ある日お父さんに取られてしまった

大切な友人を

お父さんとはね

よく喧嘩したよ

胸ぐら掴みあってさ

今思えばあれも僕の人生にしては良い思い出だったのかも、はは

僕もさぁ

疲れちゃったよね

さえ

謎の男はさえの頬を拳を握りしめて叩いた

さえ

あっ

さえ

な、なんで…

昔の思い出に浸りたくてついつい殴っちゃった

お父さんとの喧嘩みたい

君のその顔

本当にお父さんそっくり

愛らしいね

さえ

きっと今は素敵な大人になってるんだろうなぁ

大きな家に可愛い娘に最高の人生だろうね

先に仕掛けてきたのはアイツなのに

だけど僕は今も負け組だ

不公平だね

そう思わないかい?

さえ

謎の男はさえの髪を力強くひっぱった

さえ

いや!!

いや!!

じゃないんだよ

人に聞かれたら答えなきゃダメだろ?

さえ

ごめんなさい!ごめんなさい!

なぁ!!!

人生は不公平だと思うよなぁ?

さえ

思います!思います思います!

謎の男はさえを離した

さえ

うう…

そうなんだよ!

人生は不公平なんだよ!

僕の愛する人は取られてしまったんだ!

あの人の変わりはいない!

なぁ

お前が憎いなぁ

愛の結晶?

殺してやりたくなるなぁ

さえ

ひぃ!!

はは

大丈夫さ殺さないよ

愛してるんだ

愛する人の愛する人を殺すのはルール違反さ

だから僕が死ぬ

ここでね

君の真ん前で

さえ

え…

君に一生モノのトラウマを植え付ける

君はここから逃げられない

どんどん腐敗していく僕と同じ部屋で数日間過ごすんだ

必ずご両親がここにたどり着くように色々と小細工をしてある

君は耐えられるかな?

さえ

いや…辞めてください

愛する人は傷つけたくない

だけど愛する人の愛する人の心が傷つく事で

間接的に相手の記憶に残る

それが僕の愛情表現

さて、目隠しを取ろうか

謎の男はさえの目隠しをとった

男の顔は平凡そのものだった

こんな計画を立てるとは想像もつかない人畜無害そうなその顔にニッコリと笑みを浮かべる男。

さえ

や、やめてください

謎の男はさえの頬にキスをした

愛してるよ

まさひろ

さえ

さえ

お父さん…?

謎の男はにこりと微笑むと吊り下げてあった縄に首をかけた

さえ

だ、だめです

さよなら

さえ

やめてください!!

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