TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

千年恋歌

一覧ページ

「千年恋歌」のメインビジュアル

千年恋歌

12 - 千年恋歌12 〜夏美の手作り料理と幸せな時間(とき)〜

♥

754

2020年05月21日

シェアするシェアする
報告する

椎名夏美

…ん…

私はふっと目を覚ました。

まだぼうっとする意識の中、天井を見つめながらどうして私は寝ていたのかを思い出そうとしたの…

椎名夏美

(えっと…
どうしてこうなったんだっけ…?)

朔夜

夏美、起きたか

椎名夏美

…朔夜…
あれ?私…

朔夜

気を失う前のこと覚えてるか?
夏美が転びそうになって…

椎名夏美

(…あ…思い出した…
その時に元の姿に戻った朔夜に支えられて…)

思い出した途端、私は顔に熱が帯びるのを感じた。

椎名夏美

(…私…朔夜との接触の刺激が強すぎて…気を失ったんだった…)

朔夜

どうした?夏美、顔が赤い…

椎名夏美

な、なんでもないよっ…大丈夫っ…

私は慌てて体を起こした。

朔夜

それならいいんだが…

椎名夏美

うん…大丈夫だから…
それより、朔夜どうしてその姿に…?
私が気を失う前は元の姿に戻ったはず…

朔夜

夏美が料理できるまでの間はこの姿にいて欲しいって言っていただろう?
だから、この姿にまたなった

椎名夏美

あ…そういえばそうだったね…

朔夜

オレとしては都合がいいが…

椎名夏美

え…?都合がいい?

朔夜

…いや、なんでもない、気にしないでくれ

椎名夏美

……?

私は朔夜のその言葉を気にしつつも、ソファから立ち上がる。

朔夜

今度は気をつけてな?
本当にドジっ子になるぞ

椎名夏美

…っ…もう!
その言葉禁止って言ったのにー!

朔夜

悪い、夏美が可愛いからつい…

椎名夏美

なっ…

椎名夏美

そ、そんなこと言われたらっ…恥ずかしくなって…何にもできなくなっちゃう…よ…

朔夜

…夏美?

椎名夏美

だって…好きな人からいろいろ言われたら…意識しちゃうもん…

朔夜

…夏美…

自然と私は思っていることを口にしていたの…

すると、朔夜はソファから降りてぴょんぴょんと跳ねながら私のところに近づく。

朔夜

…もしかしてさっき気を失ったのは…

椎名夏美

…ぅ……
朔夜意識しすぎて…
だから…朔夜にその姿でいてほしかったの…
だって、今…2人っきりだし…

朔夜

…オレも同じだ…
口に出さないだけで…

椎名夏美

…朔夜…

私は足元の朔夜を両手で抱き上げた。

椎名夏美

なんか…嬉しい…

朔夜

…夏美

椎名夏美

…料理作るからここで待ってて

朔夜

分かった、期待してる

椎名夏美

任せて!

オレはソファに下されると、夏美はキッチンへと向かっていった。

それを見届けると、さっきの夏美にかかって来た電話を思い出す。

朔夜

…気のせいだと思ったが…やっぱり気になるな…〝悪い気〟を感じた…
何事もないといいが…

朔夜

………

予め下ごしらえしておいたおかげで、料理はそんなに時間がかからずに出来た。

椎名夏美

はい、出来ました

朔夜

すごく美味そうな匂いがする

朔夜は、ソファからぴょんと飛び降りると元の姿に戻りキッチンの方へやってくる。

私は、出来た料理を何回かに分けながらテーブルに並べていく。

椎名夏美

あ、ちゃんと手洗ってね?

朔夜

夏美は母親みたいだな、分かってる

朔夜はフッと笑うと、キッチンの方へ行く。

その間に、私は残りの料理と箸や小分け用の皿をテーブルに並べて置いていく。

朔夜は、戻ってくると椅子に座った。

椎名夏美

朔夜、肉が食べたいって言ってたから…ハンバーグにしてみたの。
さっぱり系がいいかなって大根おろしポン酢ソースにしてみたんだけど……
食べられる?

朔夜

くどいのはあまり好きじゃないからオレ的には嬉しい。本当に美味そうだ。
クッキーの時といい、夏美はオレの好みを良く分かってるな

椎名夏美

あ…えっ…と…
こんな言い方したら失礼かもしれないけど…
朔夜は…昔から生きてる人だから…
その…くどい味とか好みじゃないかもって思ったの…

朔夜

気を使ってくれて嬉しい…ありがとう、夏美

朔夜が笑顔を浮かべて、顔を向けてきてくれたから…

私は恥ずかしくなってお盆で顔を隠した…

椎名夏美

…もう…そんなに喜ばれたら…

朔夜

…?どうしたんだ、夏美?顔隠して

椎名夏美

な、なんでもないよっ…

椎名夏美

(朔夜からの一つ一つの仕草や行動に…反応しちゃうよ…)

そう思いながら、私も椅子に座る。

朔夜

うん、すごく美味い

椎名夏美

良かった…

朔夜がハンバーグを美味しそうに食べてくれるのを見て、私はすごく嬉しかった。

そう思いながら…以前にも朔夜とこんなふうに食事をしたような感じに襲われる。

…まただ。

たまに感じるこの懐かしい感じ…

朔夜

夏美、これは?

椎名夏美

…っえ?

朔夜

…夏美、どうかしたのか?

椎名夏美

あ、ごめん…
ちょっとぼぅっとしてた
大丈夫
えっと…

朔夜

いや、これは…和え物か?

椎名夏美

あ、うん
木綿豆腐と塩昆布のサラダなの
醤油だけだからサッパリして美味しいのよ

朔夜

……うん、美味い!
夏美は本当に料理上手だな

椎名夏美

本当はお菓子作りの方が好きなんだけどね…ふふ…

朔夜

夏美とは、こうやってまた一緒にご飯食べたいな…
他の料理も食べてみたい…

椎名夏美

う、うん…
私も…一緒に食べたい…

私の言葉に、朔夜は笑顔を浮かべる。

でも…その笑顔は…

なんとなくだけど…切なそうで…

『私』に向けられてのものじゃないように…感じた…

食事が終わり、私もあと片付けを終わらせると居間の方へ向かった。

椎名夏美

ごめんね、待たせちゃって

朔夜

ご馳走様、とっても美味かった
ありがとう

椎名夏美

良かった…

朔夜

…夏美…こっちに来て欲しい…

椎名夏美

…っ……

私は、朔夜の座ってるソファに近づくと、いきなり朔夜に手を引っ張られる。

そして…

そのまま朔夜に両手で抱きしめられたの…

椎名夏美

さ、朔夜っ…

朔夜

…本当に…今日はありがとう…楽しい時間を過ごせた…

椎名夏美

…わ、私もっ……

私は思わず朔夜の胸の中に顔を埋めた…

椎名夏美

…朔夜…好き…
大好き…

朔夜

…オレも大好きだ…

大好き

その言葉を改めて聞いて私は嬉しかった…とても幸せに感じた…

けど…

椎名夏美

…朔夜…あのね…

朔夜

…分かってる…

椎名夏美

…え?

朔夜

…夏美に…話さなきゃならないことがある…

椎名夏美

……それって…私が聞きたかったこと…なのかな…?

朔夜

…恐らくな…
感じてるんだろ?オレと接する時、たまに懐かしく…

椎名夏美

…うん…
だからね…分からなくて…不安になるの…

朔夜は、抱きしめていた両手を優しく解くと、向かい合う形にさせられる。

私はものすごく恥ずかしく感じたけど…

朔夜の表情は真剣な顔つきだった…

椎名夏美

…朔夜…?

朔夜

…話すよ…
オレの昔の話を…

この作品はいかがでしたか?

754

コメント

1

ユーザー

続きずっと待ってました(>_<) なかなか更新がされなくて 料理美味しそう…

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚