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今思い返してみても…

ほんと、ろくでもない人生だったなあ

最悪の家庭環境で幼少期を過ごして育て親は怪獣によってあっけなく死亡。

自分の母親だと思い親しんでいた人は実親ではなく、本当の母親の妹だったことが後に判明して。

そして私の最後は─────

仁乃

怪獣の腹の中、か…

怪獣の胃液が体にねっとりとまとわりついて気持ち悪い。

震える腕を見やると隊服が溶け、肌があらわになっていた

もう、いい。

もうここで死んでしまおう

どうせこの先生きてたっていい事なんかありゃしない。

神様は不平等だ。

たまたま目に付いた人だけを救っていく

諦めてしまおう。

私はそっと目を閉じる

全身が痛い

息も上手く吸えない

苦しい

頬を水滴が伝っていった

その時だった。

小此木このみ

『!!仁乃さん!!!』

小此木このみ

『やっと繋がった…、!!』

通信機からこのみちゃんの声がしたのは。

仁乃

…この、ちゃん、?

仁乃

何で、

小此木このみ

『なんでじゃないですよ!!』

小此木このみ

『大丈夫ですか?!体に異変は、?!』

異変……

仁乃

体に、ぴりぴりした痛みがあるのと、……

仁乃

隊服が溶けてる…、

仁乃

多分、体も。

仁乃

胃液の成分だと思う、

通信機の向こうで息を飲む音が聞こえた

小此木このみ

『仁乃さん、脱出しましょう』

小此木このみ

『怪獣によると、あなたが溶けるまであと5分もない状態です』

仁乃

5分、?

無理だ

もう私にはそんな体力は残されていない

仁乃

無理だよ、このちゃん

仁乃

仮にこの怪獣の腹を切って脱出しようとしてもそんな体力は残ってない

仁乃

もう、いいんだ

仁乃

私はもういいの

仁乃

じゅうぶん生きたよ

小此木このみ

『、!』

小此木このみ

『だめです、諦めたら!!』

小此木このみ

『あなたがいない第3部隊なんて考えられません、!!!』

仁乃

…はは、ありがとう

仁乃

お世辞でも嬉しいよ、

小此木このみ

『お世辞なんかじゃありません!!』

小此木このみ

『まだあなたは死んじゃいけない、!!!』

鼻をすする音が聞こえた

おそらくこのちゃんが泣いているのだろう

手に鋭い痛みが走った

見ると手が溶けはじめていた

どろどろとしていた

仁乃

ごめん、このちゃん

仁乃

もう、時間がない

小此木このみ

『それはこっちのセリフです、!!』

仁乃

ごめんね、こんな弱虫で

小此木このみ

『待ってください!!!』

このちゃんが叫ぶ

こうしてる間にも全身が溶けていくのを感じる

小此木このみ

『え?!ち、ちょっと!』

小此木このみ

『や、やめてくださ、!!』

仁乃

……?

このちゃんの声が遠のいていく

何事かと思うと罵声が耳に届いた

ナツ

『ちょっと!!』

ナツ

『何勝手に死のうとしてんのよ!!』

仁乃

仁乃

…な、ナツ、?

仁乃

なに…、?

ナツ

『なに?じゃないわよ!!』

ナツ

『何勝手に死のうとしてんのって言ってんのよ!』

仁乃

ぇ……だって

仁乃

もう、疲れたし、……

仁乃

私は……

ナツ

『ごちゃごちゃ五月蝿いのよ!!』

ナツ

『あんたが死んで悲しむ人がいるってこと分かってないの?!』

仁乃

……、!!

ナツ

『私だって、小此木さんだって、副隊長だって亜白隊長だって!!!』

ナツ

『みんな悲しむわよ!!』

ナツ

『他にも沢山いる!!』

ナツ

『あんたの勝手な都合で死のうとしてんじゃないわよ!!』

仁乃

、……私、!

ナツ

『残された人の気持ちぐらい考えなさいよ!!!』

ナツの声は震えていた

私は今1度腕を見つめる

手はどろどろとしていた

でも、まだ致命傷じゃない

仁乃

…ごめん、ナツ

仁乃

私、ちゃんと分かってなかった

ナツ

……うん

仁乃

生きるよ、まだ足掻く

ナツ

…うん、!

仁乃

このちゃんもごめんね

もう迷わない

仁乃

脱出、します

続く

この愛は僕だけのもの。

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