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スカウト

「ちょっといいかな?」

如月 結衣

「はい、えっとなんですか…?」

スカウト

「かわいいなって思って少し気になったんだけどさ、君アイドルとかやってる?」

如月 結衣

「いえ、やってないですけど…」

如月 結衣

「あの…ナンパですか?」

スカウト

「あー違う違う!!」

スカウト

「君をスカウトしたいなって思って声かけたんだよ」

如月 結衣

「スカウト…?」

スカウト

「そうそう。君にある仕事のスカウトをしたいと思っててね」

如月 結衣

「それってどんな仕事ですか?」

スカウト

「レンタル彼女って言葉聞いたことある?」

如月 結衣

「なんか聞いたことあるようなないような…」

スカウト

「簡単に言ったら一日お客さんの恋人役になればいいってこと」

スカウト

「どうだい?やってみる気はないかい?」

如月 結衣

「興味ないですごめんなさい。他を当たってください」

スカウト

「そうですか…」

如月 結衣

私はそう言いながらその場を後にした…

如月 結衣

「んん…あぁ…」

如月 結衣

「夢…..か…」

如月 結衣

「あれは…この仕事を始める時のスカウト…」

如月 結衣

「そういえばあの時はこの仕事に興味なんて全くなかったんだよなぁ」

如月 結衣

「っていけないいけない。昼寝しすぎちゃった」

如月 結衣

如月 結衣

「はやくここの片づけ終わらせなくちゃ」

如月 結衣

そういいながら私は体を起こし作業を続けるのだった

柊 綾人

俺たちの同棲生活が始まってから2ヶ月ほど経過した今日この頃

柊 綾人

俺たちはいつものように夕食を食べていた

如月 結衣

「ねぇねぇそういえばさ」

柊 綾人

「ん?なんだ?」

如月 結衣

「こうやって一緒に生活するようになってから結構経ったよね」

柊 綾人

「そういえばそうだな。大体2ヶ月くらいかな?」

如月 結衣

「うん。それくらいかな〜」

柊 綾人

「結衣はもうこの生活は慣れたか?」

如月 結衣

「うーん、まぁまぁって感じかな…」

如月 結衣

「やっぱりこの家すごい広いからさ、たまにどこになんの部屋があるのか間違えちゃうときがあるんだよね〜」

柊 綾人

「まぁ確かに迷いやすいよなこの家は」

柊 綾人

「俺もたまにわかんなくなるんだよね」

如月 結衣

「家主が迷っててどうするのよ…」

柊 綾人

「まぁ俺元々方向音痴だし…」

如月 結衣

「ていうかいくらお金があるからってこんなでかい家買わなくてもよかったんじゃないの?」

柊 綾人

「いやそれは違うぞ結衣!」

如月 結衣

「え…?」

柊 綾人

「でっかい家…豪邸ってのはな、男の夢なんだよ!!」

如月 結衣

「ごめんよくわからない」

柊 綾人

「なんでだよ!ロマンだろ!感じられないか?」

如月 結衣

「うん、なにも感じられないね」

柊 綾人

「そんな…」

如月 結衣

「そもそもとして部屋すごい余ってるでしょ?」

柊 綾人

柊 綾人

「はい」

如月 結衣

「それめっちゃもったいないじゃん」

如月 結衣

「それに掃除とかちゃんと全部屋行き届いてるの?」

柊 綾人

「普段使ってる部屋とあと何部屋かを順番にしてるけど…」

如月 結衣

「てことは全部屋行き届いてないってことじゃん」

柊 綾人

「まぁそうともいう」

如月 結衣

「そうとしか言わないんですけど」

柊 綾人

「まぁ広い家に憧れてたってことだよ」

如月 結衣

「まぁあなたのお金だし別にいいけどなんかしら有効活用した方がいいと思うよ」

柊 綾人

「まぁ…考えておきます」

柊 綾人

などと俺たちは他愛もない雑談をしていた

柊 綾人

数ヶ月一緒に暮らしていると前のようなギスギスしたような雰囲気は自然となくなっていた

柊 綾人

まぁ俺としてもそっちの方が気持ち的に楽だからむしろ嬉しいんだけどな

柊 綾人

などとそんなことを考えていたその時

如月 結衣

「ねぇ、あやと君」

柊 綾人

「うん?どうした?」

如月 結衣

「さっきポストに郵便物入ってたから取っておいたよ」

柊 綾人

「おぉありがとう。助かる」

如月 結衣

「どういたしまして」

柊 綾人

「なんかこういうのって…良いよね…」

如月 結衣

「どうしたのいきなり。それにこういうのってどういうの?」

柊 綾人

「いやなんて言うんだろう。説明が難しいんだけどさ」

柊 綾人

「今みたいな会話って普通友達とかでもしないじゃん?」

如月 結衣

「まぁそりゃ友達にポストの暗証番号教えたりしないしね」

柊 綾人

「だからこそなんかこういう会話できるのが温かいっていうか良いなって思ってね」

如月 結衣

「まぁ言われてみればわからなくもないかも」

如月 結衣

「なんか友達とかといつよりも"家族"だよね」

柊 綾人

「そうそう」

柊 綾人

「だからなんかいいなーってね」

如月 結衣

「ふふ、そうだね」

如月 結衣

「でもどうしたのいきなり、そんな柄でもないこと言っちゃって」

柊 綾人

「そんなことないぞ。俺はもともとこういうキャラだそ」

如月 結衣

「そんなわけないじゃん」

如月 結衣

「数ヶ月とは言えどあなたの一番近くにいた私の目はごまかせないぞ〜」

柊 綾人

「まぁなんていうか、そういう気分だったんだ」

如月 結衣

「ふーん、変なの」

柊 綾人

「あ、そういえば郵便ってどこにおいた?」

如月 結衣

「えっとね、たしかカウンターのところに置いたと思う」

柊 綾人

「おっけー。ありがと」

柊 綾人

俺はそう言いながら席を立ちカウンターの方へと向かい山のように積み上がった郵便物を持って席に戻った

如月 結衣

「相変わらずすごい量だね」

柊 綾人

「まぁな。これでも仕事はたくさん持ってるからな」

如月 結衣

「じゃあそれ全部仕事関係の物なの?」

柊 綾人

「いや、そういうわけでもないな」

如月 結衣

「というと?」

柊 綾人

「この仕事で知り合った人からのちょっとした贈り物だったり、依頼者からの報酬とは別のなんか贈り物だったりもあるね」

柊 綾人

「あとは昔依頼を受け持った人が今成功したってこともあってね、それの感謝の手紙とかもあったりするね」

如月 結衣

「へーすごいね」

如月 結衣

「中にクレームとかないの?」

柊 綾人

「あるわけないだろ」

如月 結衣

「ちぇーつまんないなー」

柊 綾人

「面白くなくていいんだよ仕事なんだから」

柊 綾人

「それにこれでもクレームは今まで一回も来たことないんだぞ」

柊 綾人

「そんな中でゴリゴリのクレームとか来たら俺多分ショックで3日くらい寝込むぞ」

如月 結衣

「それはそれで面白いからあり…」

柊 綾人

「なしだわぶっ飛ばすぞ」

如月 結衣

「まぁそれで本当に寝込んだら私が看病してあげるよ〜」

柊 綾人

「あぁ、どうも」

如月 結衣

「おっと?今なんか変なこと考えたよね?ねぇ考えたよね?」

柊 綾人

「だーうるせぇ!!なんにも考えてないよ!!」

如月 結衣

「ほんとかなぁ?」

柊 綾人

そうやって色っぽい声で言ってきたら意識するに決まってるだろ…

如月 結衣

「あはは、ちょっとからかいすぎたね」

柊 綾人

「ったく、勘弁してくれよ」

如月 結衣

「えー仕事柄ついついこういうことしたくなっちゃうんだもん」

柊 綾人

「めんどくせぇなレンタル彼女って」

如月 結衣

「なんか言った?」

柊 綾人

「なんにも言ってないです〜」

如月 結衣

如月 結衣

勘弁してくれって言ってたってことは…ふふ、少しは意識したんだな〜

如月 結衣

…ってさすがにからかいすぎかな

如月 結衣

まぁ本当に寝込んだら看病くらいしてあげるけどなぁ

如月 結衣

などと私は心の中でそうつぶやくのだった

柊 綾人

「えぇっとこれは、あぁあの人のやつか。会社うまくいってるっぽいな」

柊 綾人

俺はあれから郵便物の仕分けを深夜まで続けていた

柊 綾人

「ふぅ。八割くらい終わったかな」

柊 綾人

「そろそろ一旦休憩でもするか」

柊 綾人

そうしてコーヒーを淹れようと席を立とうとしたその瞬間

ガチャ

如月 結衣

「あれ、まだやってたの?」

柊 綾人

「まぁな」

柊 綾人

「ていうか結衣こそまだ起きてたのか?もう二時だぞ」

如月 結衣

「なんかなかなか寝付けなくてね。それであまりに寝付けないから少しなんかやろうかなって思ってね」

柊 綾人

「そういうことだったのか」

如月 結衣

「あ、飲み物飲むなら私やろうか」

柊 綾人

「いいのか?」

如月 結衣

「うん、別にやることなんて特にないしさ」

柊 綾人

「助かる、ありがとな」

如月 結衣

「いいよいいよ。コーヒーでいい?」

柊 綾人

「おう、頼む」

如月 結衣

「はーい」

柊 綾人

そう返事をしてキッチンの方へと結衣は向かっていった

柊 綾人

なんだかんだでいろいろと結衣ってやってくれるから優しいよなぁ

柊 綾人

なんかいつもお世話になってるお礼に買った方がいいかな

柊 綾人

でも結衣がなに好きか知らないし、いらない物渡したりするのはあれだしなぁ

柊 綾人

などと考えているうちに

如月 結衣

「お待たせ!」

柊 綾人

「お、ありがとな」

柊 綾人

そういい渡されたコーヒーを啜った

如月 結衣

「うわーにしてもすごい量だね」

柊 綾人

「まぁな」

如月 結衣

「あれ、ここら辺にまとめてあるのってなに?」

柊 綾人

「これは...あーこれは商品券だ」

柊 綾人

「いろんな企業と関わってきたからそういうところの商品券もあるね」

如月 結衣

「ほへぇ、すごいね」

柊 綾人

柊 綾人

「なぁ結衣、こん中でなんかほしいやつあったらあげるぞ」

如月 結衣

「え、ホントに!?でも...」

柊 綾人

「まぁそのなんていうか...日頃お世話になってるお礼の代わりというか」

柊 綾人

「俺から直接あげてるわけじゃないけどそれでもまぁ、好きなだけ持っていってくれ」

如月 結衣

「ホントに!?ありがとう!!」

柊 綾人

「いいってことよ」

柊 綾人

喜んでくれてるようでなによりだ

柊 綾人

結衣が喜びながら商品券を漁ってる横で、俺は一枚の封筒を開け中から手紙を取り出した

柊 綾人

これは...天音さんからだ...なんだろう

柊 綾人

俺は気になり手紙を読み始めた

天音 未央

(おっす!元気してるか?あの依頼の件やっぱり何年も前のことだからなかなか進展がないけど、まだこっちにはいろいろとやりようがあるからきっとなんか見つかると思うぜ!)

天音 未央

(まぁとりあえずこっちはこっちでいろいろ調べておくからそっちは結衣と上手くやっていけよ!なんかわかったら私のところにも連絡くれよな!)

柊 綾人

なるほどなぁ。やっぱり結構前の事故だしなかなか新しいことは見つからないよなぁ

柊 綾人

ってあれ、封筒にまだなんか入ってんな

柊 綾人

俺はその中に入ってるものを取り出すために封筒を逆さにし...

柊 綾人

「なんだこれ...」

柊 綾人

中から小さめの封筒が出てきた

柊 綾人

そしてその封筒の中に何か文字が書いてあるのに気づいた

天音 未央

(これ私はいらないしせっかくだから結衣と二人で行ってきてくれ)

柊 綾人

なんだろうなと思いながら封筒の中身を取り出すと...

柊 綾人

「遊園地ペアチケット...」

柊 綾人

柊 綾人

「まぁたまにはいいのかもしれないな」

柊 綾人

「なぁ結衣、ちょっといいか?」

如月 結衣

「ん?どうしたの?」

柊 綾人

「実はな、とある知り合いから遊園地のチケットを貰ったんだが...今度行かないか?」

如月 結衣

「うん!行く!すごい行きたい!!」

柊 綾人

「そうか、ならよかった。日程はまた今度決めるか」

如月 結衣

「うん、そうだね!」

柊 綾人

こうして俺達は遊園地に行くことが決まったのだった

レンタル彼女、一生分レンタルすることになりました。

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