TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

現在放置中。記憶の彼方へ行きました。

一覧ページ

「現在放置中。記憶の彼方へ行きました。」のメインビジュアル

現在放置中。記憶の彼方へ行きました。

142 - 弱点と短所のその先に咲く

♥

256

2022年03月08日

シェアするシェアする
報告する

きりやん

……ん、

きりやん

…、…朝か

きりやん

もう…起こしてくれるアイツはいない…

きりやん

……はあ

アイツの笑顔、

アイツの声、

アイツの存在。

きりやん

……

その全てが、もうなくなった。

きりやん

…はぁ……泣

きりやん

なんで俺…

きりやん

スマイルに助けてもらって

きりやん

スマイルはいなくなって

きりやん

なんで俺は生きてんだろ…

……その時だった。

スマイル

……………

きりやん

……えっ、

ぼんやりとした輪郭の、 スマイルが現れた。

スマイル

…………

きりやん

へっ?スマイル!?

きりやん

ス、スマイル…!

きりやん

お、俺ずっとお前に会いたかっ

嬉しくて声をうわずらせる俺を、

スマイルは虚ろな目で見上げる。

スマイル

…………

きりやん

…………っ!

きりやん

(そっか、そうだよな)

きりやん

(俺のせいで死んじゃったんだから)

きりやん

(俺を恨んでる……か)

そう肩を落とす。

きりやん

(待てよ、じゃあ)

きりやん

(俺が今死ねばスマイルに許される?)

そう考えた俺は、ベランダに駆け出した…………が、

スマイル

……

きりやん

っ!?

ものすごい力で手首を掴まれて引き戻されてしまった。

きりやん

(あ、あれ、違う?)

きりやん

(そんな事しても許さない?)

きりやん

(あそっか)

スマイル

…………

光のないラベンダー色の瞳。

何の言葉も発しないスマイル。

これこそが答えなのだろうか。

その後のスマイルは、

特に変化なく、 俺の家を彷徨いていた。

だが、夕方になると決まって窓から庭を見ている。

こんな感じのスマイルでいいから、

幽霊じゃないスマイルだと信じたかった。

でも、スマイルは春に近付くにつれ、 姿が透明になりかかっていった。

スマイル

…………

きりやん

…スマイル

そして迎えた、3月27日。 もうほとんどカーテンに透けているスマイルの幽霊が、今日も庭を見ている。

きりやん

…スマイルあのさっ

きりやん

お、俺やっぱり……さ

きりやん

死んで、お前と同じとこ行きたいな

きりやん

それとも、まだ俺の事恨んでる?

きりやん

なんで庭ばっか見てるの…?

きりやん

スマイル…

スマイル

…………

漂白剤を塗ったかのように 固まった時間。

スマイルも、俺も、空気さえも、 何も、動けなかった。

スマイル

………

きりやん

スマイルッ…!泣

スマイル

…………

スマイル

スマイル

咲いた

きりやん

………え

スマイル

咲いた

きりやん

…?あ、桜?

きりやん

桜……そっか

きりやん

あと数日で4月だからな

スマイル

…きりやん

きりやん

な、なに?

初めて、スマイルは俺を振り返る。

生きてたスマイルと同じ、

柔らかくて優しい笑顔。

スマイル

桜は1年かかって綺麗な花を咲かせる

スマイル

きりやんも、

スマイル

今は立ち直れないかも知れないけど

スマイル

俺の事は記憶の中だけで大切にして

スマイル

きりやんは次の1歩を踏み出してくれ

きりやん

…っ!

きりやん

スマイル!!

スマイルは、 俺を恨んでるんじゃなかった。

桜が咲くまで待って、

俺に言葉を伝えるために 帰ってきてたんだ。

きりやん

……スマイル…!

スマイルはゆっくりと消えていった。

でも、もう絶望も劣等感も生まれなかった。

俺は、悲しみと希望で生きていく。

1年かかって花を咲かせる、

桜のように。

……To be continued

現在放置中。記憶の彼方へ行きました。

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

256

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚