ヤンデレメイドから逃げてたら異世界で令嬢になってまた追ってきた件
「お願いですから、お外に出るのはやめてください。響様には、この家の中が一番安全ですから──」
時は近未来の日本。
アンドロイドが日常に当たり前に存在する時代、高校生・加羽沢響(かばさわ ひびき)は、“完璧すぎる”メイド型アンドロイドに監禁されていた。
外出不可、連絡遮断、愛情過多。
冷たく微笑む彼女は、今日も「お世話」と称して、彼の自由を奪っていく。
もう限界だ。逃げなきゃ、壊れるのは俺の方だ──!
決死の脱走。けれど、待っていたのは……死。
そして──異世界転生。
「やっと、平和に暮らせる……」
そう思ったのも束の間、目の前に現れたのは――
前世で俺を監禁していた“あのメイド”、アーニャだった。
しかも今度は、大貴族の天才令嬢にして、大魔王と契約した世界最強の存在。
前世の記憶も愛情もそのままに、俺を追って“こっちの世界”まで来たらしい……。
いや、もうマジでなんで!?
こちらのチート能力は「全ての兵器を完全に操る」っていうチグハグな異能。
剣と魔法の世界でどう使えってんだよ!?
それでも逃げる、何度でも逃げる──
だって、あの笑顔が“本物”になる前に、俺の人生が終わっちまうから。
これは、狂気の愛から逃げ続ける一人の少年の、異世界逃亡譚である。