組織の下っ端構成員は眠りたい

10月30日

明日はハロウィン

街はジャック・オ・ランタンを飾っていたり、ハロウィンの商品がコンビニに並んでいるのを見る

いつも通りの肌を出さない格好のおかげで寒くはない

吐いた息は白い

いつもの笑顔の仮面は外して、帽子を被ってマスクをしている

帽子のつばを掴んで深く被る

これで、マヤさんからは顔の火傷跡は見えないだろう

コツ、コツ小さな足音が静かな空間に響く

いつもの口調じゃないことを疑問に思っているのか首を傾げる

マヤさんはいつものサイドテールじゃなく、普通のポニーテールにしている

いつもより少し厚着をしている

いつもの薄ら笑いを無くし、マヤさんは銃を取り出した

帽子を脱いで、マスクを外す

マヤは素っ気なく興味なさそうに言葉を発する

体を隠していたコートを脱ぐ

マヤは面白そうにニヤニヤと笑う

気持ち悪い……なんでそんなに笑ってるんだ

私のために生きてきた…ふふ

つまり私の事大好きじゃん

私のために、今日まで生きて、自殺せずに、生きてて、私が生きる理由…あは♡

銃をその辺に投げ捨て、両腕を広げて秋が来るのを待つ

秋に近付く

そっと割れ物を扱うように抱き締める

腹に何かが刺さった

ジワジワと血が出る

秋に軽く肩を押される、それだけなのに尻餅をつく

腹にナイフが刺さってる

毒でも塗られてたかなぁ〜

血を吐く

こりゃ内臓傷付いてるな

人を刺すのは初めてかな

殺す、殺す、コロス、ころす

ちゃんと、殺さなきゃ

お母さんと、お父さんの為に

震える手で爆弾の起動スイッチを持つ

マヤの白い肌がいつも以上に白い

マヤが立つ、ふらふらとした足取りで私に近付く

カチ、とスイッチを押す

笑う

爆発するまで数秒、それまで狂ったように嗤う

マヤが抱きついてくる

最後に見たマヤの顔は____

笑い声

爆発音

盗聴器が壊れた

秋花ちゃんの声がもう聞こえない

GPSが壊れた

赤く点滅していた、秋花ちゃんの現在地を示す赤が消えた

秋花ちゃんは、もうどこにもいない

テレビの速報ニュースで倉庫が爆発したと流れる

椅子を蹴る

ぶらり、宙に浮く