僕が君……朝倉舞歌に出会ったのは 中2の夏だった。
流賀
朝倉さん
舞歌
なんだよ七瀬。なんか用?
流賀
「いやさ……。今度の学祭でうちの吹奏楽部が演奏するんだけど、その時に、歌を歌ってくれないかなと思って……」
舞歌
「はぁ?なんであたし?」
流賀
「朝倉さん、ユニットでボーカルやってるじゃん?だから、お願いしたいなと思ってさ」
舞歌
「あたしじゃなくたっていいじゃん」
流賀
そ、そうだけど……。良かったら
舞歌
「あたし、やんないよ?他、探して。てか、あたしが引き受けるようなヤツじゃないことくらい、分かってんじゃないの?なら、そんなことでいちいち声かけてくんなよ」
君はそんな風に乱暴な口調で僕の頼みを断った。
正直、すごく残念だったんだ。たまにユニットで歌ってるのを聞いてると、すごく上手だったから。それに……。まさか、そんなキツイ言い方をされるなんて、思っていなかったから……
その時から僕の中での君の印象は、あまり良いものではなくなってしまった。 だけど……。
ある暑い日の朝。
舞歌
「あ!なんだ、七瀬じゃん。こんな朝早くから何やってんの?」
流賀
「うん。部活の朝練。朝倉さんはいつもこんな早く来てるの?」
舞歌
「まあね。誰かが早く水やらないと、この花たちが乾いて死んじゃうかもじゃん?
流賀
そ、そうだね……
僕は答える事なく、そのまま音楽室への階段を一気に駆け上がった。
心の中では、君の見せた優しさにドキドキしてしまっていたんだ。顔がたぶん、真っ赤だったと思う。だから、それを隠すために返事をせずに、逃げてきた。
胸が高鳴って、息ができない。苦しい。でも、この苦しさは階段を上っているからじゃあない。
逃げるように立ち去った僕を君はどう思ったんだろう。 きっと、なんとも思わなかったんだろうな。 そう考えたら、少し残念だった。
流賀
なんだろう。この気持ちは。
もしかして……
もしかして……






