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西洋の夜の街は、誰もいない路地の暗さに沈んでいた
私はアリス・ガーネット、13歳
アリス
私は重たいカバンを手に持って、足早に帰路を急ぐ
家でも学校でも、「いい子」として振る舞う日々にはもう、疲れていた
それでも、誰かに必要とされることはない
ぎこちない笑顔を作るだけで、私の心の中は空っぽだった
アリス
その時だった
微かな奇妙な音楽が、私の耳に届いた
誰のものでもない、空気の奥から響く旋律を聞いて、私の足は止まった
アリス
アリス
私は路地にある古びたテントを指差す
その色は夜に溶け込み、しかし、光の粒がひとつ、テントの入り口で揺れていた
何かの文字が書かれているようだけど、消えかけているせいで上手く読めなかった
アリス
気づいた時には、私は迷うことなく足を進めていた
中に入ると、外の世界とは空気が全然違った
湿った布と、何か甘い香りが混じり、薄暗い灯りが足元を照らす
しかし、人がいる気配は全くなく、異様なほどの静けさだった
アリス
ヴィクター
アリス
アリス
すると、落ち着いた雰囲気のおじさんが現れた
私はびっくりして、思わず一歩後退りした
アリス
ヴィクター
アリス
ヴィクター
ヴィクター
私はヴィクターの言葉に従い、ゆっくりと中へ進む
布越しに見える舞台には、奇怪な人物たちが静かにみ、異様な静寂を漂わせていた
アリス
剣を飲み込む少女、縫い目だらけの少年、頭が二つある歌姫、影を操る青年、獣になる男…
一人一人が、まるで異世界から抜け出したかのように存在していた
ヴィクターは私に向かって微笑む
ヴィクター
アリス
ヴィクター
舞台に立っている演者たちは、体の構造も「普通」とは違った
失礼なことを言ってしまうけど、少し不気味で怖かった
怖いはずなのに、なぜか彼らの芸からは目を離せなかった
そして、観客がいない今でも、舞台は始まろうとしていた
私はヴィクターに導かれ、舞台の前列に立った
布の奥、暗がりの中で、奇妙な人影が浮かび上がる
すると、ガラスのような体をした、綺麗な少女が現れた
ヴィクター
ドレスでわかりづらいが、よく見ると、骨や内臓が透けて見えていた
アリス
薄明かりの中、セリーナは小さな剣をゆっくりと口へ含む
私は目を逸らしたかったが、なぜか目が離せない
アリス
アリス
心の中で私が問いかけると、セリーナが私に向かって微笑む
まるで、私の心を読んだかのように
喉を通る音が、静かな舞台に響き、胸の奥にひんやりとした熱を残した
次に現れたのは、縫い合わせだらけの少年だった
縫い目だらけの身体を見せながら、無邪気に手足を外してはつけ替える
ヴィクター
アリス
アリス
外の世界では絶対に見れない光景を見て、私の手汗がどんどん増える
でも、なぜか怖さより、胸の奥のワクワクが勝っていた
アリス
舞台の中央に、一つの体に頭が二つある歌姫二人が現れた
ヴィクター
一つの体から、二つの声が重なり合い、完璧なハーモニーを奏でる
しかし、よく聞いてみると、声の端に微妙な違和感を感じた
エリザベスの方は私に向かって微笑み、隣にいるグレイスは、視線を鋭く光らせている
舞台の端で、一人の青年が影を操る
ヴィクター
暗い空間から、もう一人のジョーダンのような影が抜け出し、舞台を這い回る
アリス
私は思わず後退りする
しかし、ジョーダンは静かに潜み、全てを見守っているようだった
最後は知的そうな男性が現れた
ヴィクター
紳士的な立ち姿のまま、檻に入る
その瞬間、理性が崩れ、獣のように荒々しい姿がほんの一瞬見えた
アリス
アリス
私は息を呑んだ
舞台が終わり、静寂が戻る
周りを見渡してみると、観客は私一人だった
ヴィクターが私に近づく
ヴィクター
アリス
私は上手く言葉が出なかった
恐怖、驚き、好奇心…
自分でも説明できない感情が入り混じっていた
ヴィクターは私に向かって、優しく微笑む
ヴィクター
アリス
ヴィクター
ヴィクターの謎の哲学に私は首を傾げる
アリス
ヴィクター
この日を境に、なぜか私は可笑しなフリークショーに居座ることになった
これから私、どうなっちゃうの?