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フォロー失礼します!
ちょっとストーリー長いので、暇な時にでも見てくれると嬉しいです😆
私はさら。
▽◯中学校に通う一年生。
私には、小学3年生の頃から付き合っている彼氏〝そら〟がいる。
そらはかっこよくて、勉強も私よりずっと出来る。チャラいけれど、そこがまた大好き。
そらとは凄く仲良しで、ケンカもほとんどした事ない。
ちょっとはした事、あるけどね。
よく、ケンカするほど仲が良い なんていうけれど、私達は違う。
お互いを分かりあっている、最高のカップルだと、我ながら思う。
そんな事、誰にも言えないけどね!
中学に入って、そらとはクラスが離れてしまった。
っていっても、隣同士のクラスだし、家も近いし、電話もするし、一緒に帰ることも多い。
中学生活が始まって3ヶ月くらいした今。
私に猛アピールしてくる男子が現れた。
噂では、私の事を好きらしい。
もちろん、その男子には興味ないけれど。
毎日話しかけてくるし、手洗いや移動教室の時もついてくる。
正直、うんざりしている。
ま、気にしない気にしない
今日は木曜日で、委員会があった。
かなり長引いてしまって、もう校舎には数人しか残っていなかった。
私が帰る方向には、誰もいない。一人ぼっちだ。
もちろん、そらも部活がある。
さら
そう思ってたら…
なかじま ゆう
げっ、
なんでここになかじまがいるわけ?
なかじま ゆう
う、、
そこまで言われるとは思ってなかったな…
さら
なかじま ゆう
なかじま ゆう
なかじま ゆう
そう言って、近づいてくる。
さら
なかじま ゆう
いつになく強引だ。
ここで断ってもイヤな奴って思われるかな…
さら
私は仕方なくオーケーした。
私には彼氏がいるのに。 でも、彼氏いるから!なんて言って断る事も出来ない。
出来るだけ距離をとって、歩き出す。
なかじま ゆう
なかじま ゆう
さら
さら
なかじま ゆう
それは絶対にイヤだ。私は、そら以外の男子とはラインしない事を決めている。
どうにかして断らないと…
さら
なかじま ゆう
なかじま ゆう
さら
さら
なかじま ゆう
なかじま ゆう
別になかじまの好きな人なんか聞いてないし!
別に興味ないもん!
さら
さら
いつもより遠回りして帰る事にした。
なかじま ゆう
なかじま ゆう
なかじま ゆう
私は、まるで不審者から逃げるみたいに走り出した。
ふう。
別に、なかじまが嫌いってわけじゃないけど、私には大好きなそらがいる。
だから他の男子に構ってる暇はない
こういう時って、どうすれば良いんだろう。
さら
今日は早く寝た。
次の日
あかり
さら
私の親友のあかり。
毎日一緒に登校している
あかり
またこの話か! あかりは毎日聞いてくる。
さら
あかり
さら
顔を見合わせて笑い出す
あかりといると、楽しい
あかり
あかり
さら
さら
あかり
あかり
さら
あかり
さら
あかり
あかり
あかり
さら
さら
3年生の井上そうた先輩は、色んな学年から好かれてるらしい
確かに、背が高くて大人っぽい。
女子の理想の男子ってわけね
さら
あかり
ちょっとムッとした顔でほっぺをふくらましてる。
さら
あかり
さら
あははと笑い出す
さら
私は、なかじまの事を全て話した。
おかげで、だいぶスッキリした
あかり
あかり
あかり
さら
あかり
さら
さら
さら
あかり
あかり
さら
さら
あかり
あかり
あかり
さら
それぞれの教室に入った。
これから、どうなっちゃうのかなぁ
昼休み
いつも暇だから、廊下をうろうろしている。
あ!
そらだ!
こっちに来る?!
私に気付いたみたいで、ニコニコしながらやってくる
私も笑って、手を振った
心臓が、ドクドクなっている
そら
さら
そら
そら
さら
さら
思わず声が高くなる。
そら
さら
いやー、かっこいいな!
楽しみ〜♪
そして、放課後
今日は委員会もなかったので、すんなり帰れる
そらはもういるかな?
きょろきょろ見回す。
もちろん、彼氏だからすぐみつけられる。
でも、まだ玄関にはいなかった
それだけじゃない
なかじまが、こっちを見てニコニコしている。
うそー。。
なかじま ゆう
なかじま ゆう
さら
なかじま ゆう
さら
なかじま ゆう
なかじま ゆう
さら
なかじま ゆう
そう言って、私の腕を引っ張る
さら
頑張って声を出しても、届かなかったみたいだ
やめようとしない
そら
そらだ!
そら
そら
なかじま ゆう
さら
なかじま ゆう
え、?
そら
そら
そら…!
そら
さら
そら
なかじま ゆう
なかじまは強引に私の腕を振り上げた
さら
そら
やっぱりそらは、優しいな
なかじまなんかとは、大違い。
そら
さら
そら
さら
さら
そら
そら
さら
そらはいつだって、私を守ってくれる
幸せな気持ちで、その日はぐっすり寝た。
また次の日
教室の隅っこで、男子たちがなにやらヒソヒソと話している
気にしないで席につこうとした時、
男子
ん?
今、さらっていった?
このクラスには、さらっていう名前は私しかいない。
聞き間違いだろうか。
でも、男子達が皆こっちを見ている。
どうやら私の事を話しているらしい…
気になって男子の所へ行ってみた
さら
男子
さら
さら
男子
男子
さら
さら
さら
男子
さら
さら
男子
男子
さら
あ、
つい、大きな声を出してしまった。
皆こっちを見てる。
うわ、最悪…
あーあ!なかじまのせいで…。
その勝手な作り話は、一瞬のうちに噂として広がってしまった
皆が私の元へやってきて、そうなの?!そうなの?!なんて聞いてきたりするから、いちいち答えるのがめんどくさい
なんでこんな事になっちゃったんだろ
どんよりしていたら、なにやら女子達が騒いでいる
みんなの視線の先には、なんとそらがいた!
そっか、そら、人気だもんね
珍しく凄く深刻な表情で、私を見て、手招きしてきた
どうしたんだろう?
ドキドキしながら向かう
そら
さら
そら
さら
うつむいたまま、続ける
こんなそらは珍しい
そら
そら
さら
さら
さら
そら
さら
さら
そら
そら
さら
もう、びっくりしちゃった!
他の子達の誤解も解かないと…
放課後
今日も委員会が長引いてしまった
あー〜疲れたー
今日も1人かぁ
短くため息をついて、靴を履きかえる
すると
なかじま ゆう
さら
さら
なかじま、。💢
もう!いい加減にしてよ!
心の中で叫ぶ。もちろんなかじまには聞こえないけれど
なかじま ゆう
なかじま ゆう
さら
さら
そう言って、早足で学校からでる
すかさずなかじまは追いかけてくる
あー、なんか魔法が使えたらなぁ
ドラえもんなんかが居てくれたらいいのに
なかじま ゆう
なかじま ゆう
さら
さら
ポツ
ポツポツ
ポツポツポツ
きゃーー雨だ!
どうしよう、傘持ってきてない!
なかじま ゆう
なかじま ゆう
さら
さら
なかじま ゆう
なかじま ゆう
うええええ あいあいがさ?なにそれ、なかじまと?きもい!
さら
ザーザーザーザー
一瞬で大雨になる
なかじま ゆう
さら
どうしよ。ここまできたら断れないよ…
正直苦手になってきた
このまま2人で歩き出す
もちろん、無理矢理にでも離れて、だけどね
数分歩いたあと、また遠回りして帰る
さら
全力疾走!
おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ
ハァハァ
ここまでくれば大丈夫
その日はあまり眠れなかった
まさか、あの後あんな事になるなんて…
それからも、なかじまのアピール(?)は続いている。
毎日一緒に帰ろうって言ってくるけど、どうしても断れなくて一緒に帰ってしまう。
私としては、ただ前後で並んで歩いてるって感覚しかないんだけどね。
いつになったら終わるんだろうか。
ぼーっと考えてたら…
あかり
さら
あかりに脅かされた。
心臓止まるかと思った!
あかり
わ、心読まれてる!
さら
歯を出してニヒヒと笑っている。
いいなぁ、あかりって、悩み事とか無さそう。
あかり
さら
そう言って顔を覗き込んできた。
あかり
さら
さら
あかり
さら
あかり
目を見開いたままじっと見つめてくる
さら
あかり
あかり
さら
あかり
え?
私が、可愛い? そんな事、一回も意識した事なかった
私がキョトンとしていると
あかり
あかりが吹き出した
な、なに、?
あかり
あかり
うん、思ってる
あかり
ニコニコしながらため息をついている
あかり
あかり
あかり
あかり
てんでわからない
あかり
あかり
いたずらっぽい笑みを浮かべている
あかり
絶対いや!
さら
あかり
さら
さら
あかり
あぁあかりは、紳士だ!
その日の中休み
私はそらを探しに、教室を飛び出した
久しぶりに、一緒に帰りたいと思って
あんまり他の人に見られたくないから、こっそり教室に顔を出してそらを探す。
学校のルールで、他の教室に絶対に入ってはいけないんだ。
あれ、そら、いない
もうどっか行っちゃったの? 早いな〜
さすが、足速いだけあるな〜 多分関係ないけど。
ぼんやり考えてたら、向こうから人影がやってくる。
暗くてよく見えないけど、あの背の高さ、絶対にそらだ!
さら
全力笑顔で手を振った。
が!
そらは、私をチラッと見てから、うつむいてさっさと行ってしまった。
さら
なに、あれ…?
私に気付かなかった?
ううん、そんなはずない
暗くて、私を他の女子と間違った?
あぁぁぁぁ どうすればいいの?
あれって、無視なの?
それとも、ただ気付かなかっただけ?
頭の中で疑問がぐるぐると回る
えっと、こういう時は、 …
追いかけるのが一番?
さら
かなり大きな声を出したはずだ。
ところが、今度は振り向きもせずに、行ってしまったんだ。
うわーん、どうしよう!
このまま追いかけても仕方ないと思い、仕方なく教室に帰った。
そら、どうしちゃったんだろう。
私の事、嫌いになっちゃったのかな…
でも、そんな事あるはずない。
何年も支え合ってきた。
じゃあ、なにが原因なんだろう。
他の人の事を好きになっちゃったのかな。
勝手な妄想だ。
分かってる、分かってるんだけど…
考えれば考えるほど、涙が出そうになる。
でも、皆んなの前で泣いたりなんかしたら、面倒くさい事になる。
だから必死に涙をこらえた。
机に伏せて寝てるフリなんかしてたら、あっという間に休み時間が終わってしまった。
ああ、次は大嫌いな技術だ。
どんよりとした気分で技術の授業が始まった。
技術の先生
…?
宿題?!
そんなのあったっけ?
さら
あん
あ、
ぁぁぁぁぁぁぁ
ど、どうしよう
やってないよぉ!
技術の先生
うぅ、どうすればいいのぉぉぉぉ
怒られる…
技術の先生は、学校で一番怖い先生。
あーもう!なんでこんな時に!
技術の先生
技術の先生
えっと、います!
怒られそうで、とても言い出せない…
でも、言わなきゃ怒られちゃう…
あわあわしてると、
技術の先生
技術の先生
えーぇ、、
どうしよう、先生、見逃してぇ!
神様、助けて下さい…
2分後…
技術の先生
技術の先生
う!
さら
大丈夫、まだ初めてだ、 そんなに怒られる事は無いだろう、
おずおずと先生の所へ向かう
技術の先生
技術の先生
技術の先生
ちゃんと正直に言わなきゃ…だよね
さら
技術の先生
こ、こわい!
眉間にしわを寄せて、今にも怒鳴りついてきそうだ。。
さら
謝らなきゃ
さら
技術の先生
技術の先生
技術の先生
そう言って怒鳴りついてきた。
ざわざわしていた教室が、一瞬で静まり返る。
こ、こわいよ、怖すぎるよ!
技術の先生
技術の先生
さら
技術の先生
うぅ、神様、酷いよ、嫌な事続きだぁ
ショックすぎて、もう何も喋れなかった。
技術が終わって教室に着いた頃には、ショックが怒りに変わっていた。
初めての忘れ物なのに、あんなに怒る必要なくない?
今まで何度も忘れてきて、それで怒鳴るのはわかるよ。
でも私、今回初めてじゃん。
初めてであんなに怒るなんて、酷い!
よく皆んな、怒るとこわいけど実は優しい なんて言ってるけど、
技術の先生は、根っからの怖い先生だ!
もう!
本当だったら泣きたい所だけど、そらとの事もあって胸がいっぱいで、泣く余裕さえもなかった。
あぁ、私これからどうなるんだろう
その日の授業はほとんど、頭に入ってこなかった。
そして地獄の放課後。
なかじまがいつも通り私の所へやってくる。
もう私、死んでもいいかも。
あーだめだ、そんな事考えちゃ。ママが頑張って産んでくれたんだから。
なかじま ゆう
なかじま ゆう
はぁ…
もう無理、ストレスだよ。
私はその場から逃げ出した。
なかじま ゆう
なんとか切り抜けて、逃げられた。
弾む呼吸を整えて、歩き出す。
すると、
前の方にそらの姿が見えたんだ。
どうしよう、どうしよう
さっきの事、きちんと聞かなきゃ
動揺しながらも、そらを追いかけて走り出した。
さら
ハァ ハァ
そらは、一度足を止めてから、ゆっくりとこちらに振り向いた。
よかった、無視されなかった!
やっぱりさっきのは、私の勘違いだったのかな?
そう思いながらも、やっぱりそらの目はどこか切なげだ。
よし。
さら
そら
そら
さら
さら
そらは、うつむいたまま黙っている
さら
そら
口の中で、モゴモゴ喋っている。
さら
そら
さら
さら
一瞬、言葉に詰まった。
本当はあまり言いたい言葉じゃないんだ。
でも、あかりの言葉が頭に浮かぶ。
〃言いたい事は口に出さなきゃ伝わんないよ!〃
そうだよね。きちんと話さなきゃ
さら
やっぱり黙っている。
でも、やがて口を開いて、
そら
そら
あいつ…?
一瞬、誰の事かわからなかった。
そら
あ…!
さら
私が言い終わらないうちに、そらは続けた。
そら
そら
そら
こんなそら、見たことない…
切なげで、少し怒ってる。
ずっとうつむいたまま。
そら
そら
さら
思わず大きな声が出てしまった
さら
そら
そら
そら
さら
そら
そらの目が、怒りで満ちているのがわかる。
私は、決してなかじまと一緒に帰ってる気持ちはない。
伝えなきゃ
さら
さら
そら
そら
…
さら
さら
さら
あ、ぁぁ
どうしよう。。 こんなつもりじゃなかったのに!
ストレスが溜まりすぎたあげく、つい爆発してしまった。
さら
そら
目を合わせないで行ってしまった
うわーん、どうしよう、喧嘩しちゃった!
その後、家に帰った後もモヤモヤはずっと収まらなかった。
全部、私が悪いんだ。。
なかじまに帰ろうって言われても、キッパリと断ってれば良かったんだ。
…あかりの言う通りだった。
そう考えて、ハッとした。
そらも、私の話を聞こうとしないで一行に押し付けてきた。
それもそれで、悪いと思う。
あぁ、いかんいかん、
私が悪いんだ! 謝らなきゃ!
そう思って、そらにLINEを入れてみた
仲直り出来ることを祈って。
お母さん
お母さん
さら
返事、来るといいな。
お風呂に入って、ご飯も食べて、勉強も済ませた。
あれからまだスマホをいじってない。
そらから、来てるかな。。
おそるおそる画面を開いてみる。
瞬間、わたしは、唖然!
あれから、3時間以上は経つはずなのに、返事が1つも来てないし、既読すらも付いてない!
いつもなら、遅くても10分で返事が来るのに!
やっぱり私、無視されてるんだ。。
これで口がきけないまま、自然消滅してしまったらどうしよう。
振られて、友達ですら居られなくなったらどうしよう。
どんどん、悪い方向に考えていってしまう。
あぁ私、だめだ。
明日から、どんな顔して学校に行けばいいんだろう。
考えていたってしょうがない。
今日はもう、早く寝よう。
そう思って早くに布団に入ったはずなのに、モヤモヤしすぎて全然眠れなかった。
結局、ちゃんと眠りについたのは12時だった。
翌朝の私の顔は、最悪だった。
睡眠時間が少なかったせいか、目の下にクマが出来ている。
おまけに、昨日枕に顔をうずめて泣いていたから、目がパンパンに腫れてほっぺにあとがついている。
ほんと、最悪!
これじゃ学校、行けないよ!
おねえちゃん
さら
あわててそっぽを向いた。
こんな顔、おねえちゃんにみられたくない。
おねえちゃん
お願い、見ないで。
おねえちゃん
おねえちゃん
おねえちゃん
きゃ、やばい。。
おねえちゃん
うう、おねえちゃぁん
おねえちゃん
え、何でわかったの〜?!
さら
おねえちゃん
え?
キョトンとしていると
おねえちゃん
お腹を抱えて笑いだした。
おねえちゃん
おねえちゃん
おねえちゃん
おねえちゃん
なんだ…もう。
おねえちゃん
おねえちゃん
おねえちゃん
げ!
今度こそ、心読まれてる!
さら
私は、そらとのことを話した。
おまけに、技術のことも。
おねえちゃん
おねえちゃん
そうなんだよぉ、シクシク
おねえちゃん
おねえちゃん
うん、助けてぇ
おねえちゃんは、得意げに胸を張る。
おねえちゃん
なに?教えて!
それからおねえちゃんは、
目のむくみには蒸しタオルを当てると良くなるんだよ〜だとか、
目のクマには、温めたスプーンを当てると良いんだよ〜だとか、
色々教えてくれた。
それらを実践すると、だいぶ顔がマシになった。
さら
おねえちゃんは、なんてことないといったようにで鼻を膨らます。
おねえちゃん
おねえちゃん
おねえちゃん
さら
おねえちゃん
おねえちゃん
おねえちゃん
そう言ってケラケラ笑っている。
つられて私も笑い出す。
さら
さら
おねえちゃん
おねえちゃんのおかげで、気持ちよく登校することができた。
学校に着いて真っ先に、そらを探しだす。
まずは着いてから、そらの靴箱をチェックしてみた。
黒と白のおしゃれなそらの靴は、まだ入っていなかった。
まだ来ていないんだ。
いつもならとっくに来ている時間なのに、どうしたんだろ。
でもすぐに、ある事に気がついた。
そらのクラスの誰の靴も入っていなかったんだ。
そっか、今日はそらのクラス、体育があるから、教室に靴を持ってってるんだ!
私は急ぎ足で三階へ向かった。
ー
そらの教室を覗いてみたけど、そらは見当たらなかった。
そらのクラスの女子にも聞いてみたけど、まだ来てないみたい。
本当、どうしたんだろう。
急に不安が込み上げてくる。
このままそらが来るのを待とうかとも思ったけど、遅れてはまずいなと思い、さすがにやめておいた。
1時間目が終わって10分休憩の時、そらの教室に覗きに行ってみた。
けど、やっぱりそらの姿は無かった。
心配でたまらなくなり、そらの担任の先生に聞いてみる事にした。
幸い、先生は廊下をうろついていたので声をかけやすかった。
少し緊張するけど、思い切って聞いてみる。
さら
さら
そらの担任
さら
先生は一瞬、戸惑ったような顔をしてから、話してくれた。
そらの担任
そらの担任
さら
そらの担任
そんな事言われても、私はそらの彼女だ。知る権利はある。
さら
さら
そらの担任
そらの担任
さら
あわてて口を塞いだ。
こんな事、口が滑ってでも言ってはいけない!
さら
私はぺこりとお辞儀をしてから、素早く教室に駆け込んだ。
その後の授業は、そらの事が気になりすぎて集中できなかった。
最近こんな事ばかり続いてる、流石にやばい。
ちゃんと授業を受けないと、皆に置いてかれてしまう。
出来るだけそらの事を考えないように、努力はしたつもりだった。
それでもやっぱり、気になってしまう!
そして決心したんだ。
学校が終わったら、すぐにそらの家に行ってみよう!
もしかしたら、風邪でもひいたのかもしれない。
一刻も早く仲直りしたくて、それに心配でたまらなかった。
帰り学活が終わって、私はすぐ学校を飛び出した。
私のスピードが速かったのか、幸いな事に今日はなかじまがひっついてこない。
ラッキー!
全力で走っていると、あっという間にそらの家の前まで来た。
いつもの場所に、車が停まっていない。
大きくて黒い、強そうな車。
どこかに出かけてるんだろうか。
前髪を整え、インターフォンを押す。
しばらく待っても、誰も出ない。
音も全く聞こえない。
そしてもう一度、さらにもう一度押しても、誰も出てこなかった。
何かあったのかな。。
どんどんどんどん不安になっていく。
もう、心が破裂してしまいそう。
待っていても仕方がないので、今日は引き上げる事にした。トホホ
ー
そして6時ごろ、もう一度そらの家に行ってみることにした。
鏡で髪や顔をチェックして、服を整え、そらの家に向かう。
流石にもう帰ってきてるだろう。
そう思ったけど、残念、まだ車が無かった。
どうしたんだろう。
ダメ元でインターフォンを押してみる。
だが、やっぱり出なかった。
私は心配になり、急いでそらのスマホに電話をかけた。
あのLINEは、まだ未読のまだだった。
流石に、おかしいよね。未読無視?
あれこれ考えながら待っていても、そらは電話に出なかった。
大丈夫かな、何かあったのかな。。
一応、そらのお母さんのスマホにも、LINEを入れておいた。
何もない事を祈りながら。
翌朝。
結局、昨日は電話の折り返しも、既読も、返信もなかった。
そらのお母さんも未読のまま。
一体、どうしちゃったんだろう。
家族揃って、私を避けてるとか…?
いやいやいや、ないない。
今日は早く学校に行って、きちんと確かめよう。
そう思って、今日はいつもより早く登校した。
ー
いつもよりだいぶ早く着いたので、時間に余裕がある。
そらの靴箱、そらの姿、くまなく探してみた。
けど、そらの姿は無かった。
まだ来ていないんだ。
でも大丈夫、もうじき来るだろう。
そう思っていた。
ー
休憩時間に、そらの教室に顔を出してみても、そらは居なかった。
トイレにでも行ったのかと思って気にして無かったけど、クラスの人に聞いたら、今日も休みだった。
もぅ、どうしちゃったの!
結局、その後2日間、そらは学校に来なかった。
友達は誰も事情を知らないし、先生も教えてくれないし、電話には出ないし、既読もつかない。
こんな状態が続いて、私はもう、頭が真っ白!
もう、どうしたらいいのかわからない。
あかりに相談しても、事実はつかめない。
そして明日は金曜日。
一刻も早く仲直りをしたいから、土日を挟むのは厳禁!
明日、そらが来てくれないと、私もう、終わっちゃう!
あぁ、明日、そらが来ますように。
翌日
少し寝坊したので、早く行く事は不可能だった。
でも出来る限り早く、家を出た。
ー
歩いてる時もずっと、そらに伝える言葉なんかを心の中で練習していた。
でも学校だと皆が見てるから、やっぱり家の方がいいのかなぁ
そんな事を考えていると、玄関辺りに見覚えのあるバック、帽子がちょこんと見えていた。
あれは、そらだ!
さら
私はもう、全力を出し切ってそらの所に一直線!
さら
さら
あれ、ん?
一瞬チラッと見えたそらの横顔は、とても切なげで、今にも泣き出してしまいそうだった。
どうしたの …?
さら
そら
そらは、うつむいたまま何も言わない。
本当に泣き出してしまいそう。
さら
そらは小さな小さな声で何か言い残して、行ってしまった。
なんて言ったのかも聞き取れなければ、状況も理解できない。
何が起こってるの?!
その日1日、そらは一言も喋らず、無口だったそうだ。
私は学校から帰ってすぐそらの家に向かった。
インターフォンを押すと、すぐにそらのお母さんが出た。
そらの母
さら
さら
そらの母
そらの母
お母さんの声は、どこか暗かった。
そして間も無く、そらが出てきた。
さら
さら
そら
言い終わらないうちに、なんとそらは声を上げて泣き出し、私に抱きついてきたのだった。
な、なに、どういう事?!
さら
こんなに泣いているそらは初めてだった。
よしよし。
私は、そらの頭を優しく撫でてあげた。
さら
そらは泣きながらコクコクうなずいた
その後、すぐ近くの公園のベンチに座って、そらが落ち着くのを待った。
10分くらい、だろうか。
そらは泣き続け、ようやく落ち着いたのだった。
さら
そら
さら
私は、持っていたハンカチでそらの涙を拭いてあげた。
そら
鼻と目が、真っ赤になっている。
さら
私が小さな声で言うと
そら
ようやく、笑ってくれた。
さら
今なら、ちゃんと聞ける。
さら
私はうずうずしてたまらなかった。
一体、なにがあったんだろう。
そら
そう言ってそらは、ゆっくり話し始めた。
そら
そら
そら
え…
嘘、そんな事があったんだ。
そら
わぁ、凄く遠い。
そら
そうだったのか。。
さら
そら
そら
そら
そら
そら
そら
そら
そら
そら
そこまで黙って聞いていたけれど、目の奥がじわじわと熱くなってるのがわかった。
あぁ、どうしよう。 私が励ましてあげるべきなのに、涙が。。
私はこらえきれなくなって、ポロポロとこぼしてしまった。
私が手で顔を隠すと、そらは、私の頭に大きくて温かい手をのせた。
さら
しゃくりあがって、上手く話せない。
すると、そらは
そら
そら
頭を優しく撫でてくれたんだ。
その手のぬくもりに、もっともっと涙が溢れでる。
まるで、滝のように。
そら
そら
うう、そんな事言われたら、永遠に泣き続けちゃいそうだよ。
さら
さら
そらの目にも、大粒の涙が光っていた
見られたくなかったのか、そらはあわてて顔をそむけた。
そら
そら
そら…
今まで私に見せた事なかった顔だった
いつも自信たっぷりなそらが、こんな弱気なんて。
そっか、私、そらの知らないところ、まだまだ沢山あるんだな。
いつも自分がそらの事を一番わかっていると思ってたけど、間違いだったんだ。
私達は、きっとこれからも成長していくんだろうな。
さら
やっと涙が落ち着いてきた。
ちゃんと伝えよう。
さら
さら
さら
さら
言い終わると、そらは私の肩を抱き寄せ、そしてこう言った。
そら
そら
そら!
私は思わず、抱きついた。
さら
そら
こうして私とそらは、無事に仲直りする事ができた。
ー土日があけて月曜日ー
私は今までにないくらいスッキリ起きる事ができた。
そしていつものように、学校へ向かう。
頭が軽くなって、授業にもきちんと参加する事が出来た。
ー昼休みー
なんとなかじまが、教室を出て行こうとする皆を引き止め、黒板の前に立った。
一体、なにが行われるの…
男子
男子
なかじまは、皆の文句には一切見向きもせず、続けた。
なかじま ゆう
なかじま ゆう
へ?
なかじま、、、 頭大丈夫かな…
告白とか、皆の前で堂々とする事じゃない気がするんだけど。
なかじま ゆう
そこでとぎらせ、私を指差した。
なかじま ゆう
げ!
やめてよ、、
静かだった教室が、一瞬でざわめき出した。
中から、こんな声も聞こえてくる。
男子
女子
そうだよぉ、
なかじま ゆう
なにするつもり??!!
なかじま ゆう
なかじま ゆう
なかじま ゆう
はあ…
ため息つきたいぐらいだった。
言いたい事は口に出さなきゃ伝わらない。
そうだよね。きちんとここで断ろう。
私は、なかじまの所まで歩き出す。
前から3番目の机まで来た時、こんな声が聞こえてきた。
男子
男子
はぁ。
もう、なかじまにどう思われようと関係ない。
思い切って言うんだ。
さら
さら
きちんと理解してもらうために、わざとゆっくり言ってみた。
さら
なかじまは、あごをしゃくらせてがっくりうなだれている。
みんなは、目を丸くして、私となかじまを交互に見比べている。
そりゃそうだ。
他人にこんなにキッパリと意見を言ったのは、きっと生まれて初めてだ。
ふぅ、スッキリした!
私は、全身から力が抜けていくような気がした。
そして、スキップしながら自分の席に戻った。
これで、全て解決した!
私とそらはこれからも喧嘩をするかもしれない。
きっと、するんだ。
でも、それでいい。
喧嘩をして、仲直りして、一歩ずつ前に進んで行くんだ。
私達人間は、失敗を重ねて成長していく。
今回の事で、良く学んだのだった。
〜end〜