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蘇枋が消えて蘇枋が来た。 自分では何を言っているか分からないが、その通りのことを思った迄だ。 先程まで目の前にいた蘇枋は消え、 代わりにいたのは、桜よりも一回り、二回りと成長した____

蘇枋隼飛だった。

はっ…?

蘇枋

え、あれ?ここ、見覚えが…

蘇枋

あるにはあるけどなんでここに…?

ただ2人は混乱状態にあった。 なにがなんだかわからない。 蘇枋の目の前にいるのは、 自分が知っている桜よりもずっと小さくなっている。 桜側から見てもそうだ目の前には自分より一回り、二回り成長した桜がいる。

だ、誰だテメェ!!!

蘇枋

えっ!?嘘でしょこの時代の俺ってまだ桜くんと出会ってないの!?

あ、いや、出会ってはいるけど…

あまりに蘇枋が今の蘇枋と違いすぎて、びっくりした桜は誰だと叫んでしまった。猫のようにシャーっと威嚇した桜だが、蘇枋の素っ頓狂な声に警戒心も何も飛んでいってしまった。

蘇枋

それじゃあもう付き合ってる!?

つ、つきっ!??

蘇枋

月じゃないよ!恋人かどうかってこと!

それは知ってるわっ!

蘇枋の問いかけに桜は顔を赤くした。 桜の知る蘇枋とはどこかちょっと違う反応。冷静沈着、そんな雰囲気などまるでない。少しおちゃらけた大人と言った雰囲気だ。

つかこの時代のお前ってなんだよ。

話をすりかえる様に、桜はそれてしまった話題を元に戻した。

蘇枋

あぁ、そうだね、びっくりしすぎて説明をすっ飛ばしちゃったね、

これは俺の推測なんだけど、 と語り出した蘇枋の顔が、普段よりもずっと大人びていて、 なぜだかドギマギしてしまう。

蘇枋

多分、ここは俺からしたら過去の世界、そうだなぁ、桜くんが高校1年生くらいかな?そして君、桜くんからしたら俺は、

蘇枋

未来の蘇枋隼飛なんだよ。

は?ミライ?かこ?? 桜の頭は真っ白になり、 宇宙猫状態になってしまった。

蘇枋

あっはは!桜君のその顔懐かしい、

蘇枋

彼も成長したのか、その驚いた猫ちゃんみたいな反応はあんまりしなくなっちゃったんだよね、

はっ!!??

そうだった。高校1年生の頃はこんな感じだっけ?と蘇枋は懐かしんでいる。 その顔は困っているでもなくずっと楽しそうだ。未来へ帰れ無いかもしれないという心配は無いのだろうか。

蘇枋

にしても、ほんとに懐かしいなぁ、その表情

だっ、誰が猫だ!!!

蘇枋

あ、1番に気にするとこそこなんだ。

ほんと桜君ってこの時から面白くて可愛かったよね。 と、砂糖をずっと甘く煮つめた様な 甘い表情で蘇枋は桜にほほ笑みかける。 桜のアホ毛が何かを察知したのか、 ビビッと揺れて反応した。 桜の顔にみるみる熱が登り、 あっという間にリンゴの様に赤く染ってしまっていた。

そ、その顔っ!!

蘇枋

え、顔?

その顔やめろ!!!

蘇枋

えっ!!?

顔って、俺元々こういう顔だよ!?っと蘇枋が叫ぶ。 それは知ってる。 ずっと見ていたから。 それとは別にその顔から溢れ出る桜が愛おしいという顔だ。 桜が知る蘇枋は、感情を制御しているのか、ここまでダダ漏れにはなっていなかった。そのおかげか、学校生活でも支障は出ていなかったのだ。

そ、そのオーラ?みたいなの出すな!!

蘇枋

オーラって…

蘇枋

あ、もしかして桜君、恋愛センサーが反応してる?

蘇枋が尋ねる様に問いかけた。 あの察しのいい蘇枋の事だ。それくらいすぐ分かるだろ!!っと叫びたくなってしまったが、 それはさすがに良くないと口を噤んだ。

そ、そうだよ!だからそれやめろ!!

蘇枋

えぇぇ、それは多分無理かも…

はぁっ!??

なんで無理なんだよっ!? 桜は思わず叫んだ。 抑えてもらわないと困る。生活に支障が出てしまうからだ。

蘇枋

いや、昔の俺はよくやってたと思うよ?ほんと、褒めてあげたいくらい。だってこんなに可愛い子目の前にして自分の感情を抑えてたんだもの。

か、かわっ!??

蘇枋

今の桜君で言う未来ではほとんど押えてなかったから、今更抑えろとか無理があるよっ!

無理だ!と叫ばれた所で、抑えてもらわないと桜だって困る。 これ程抑えろと言ってもダメならば、桜とて最終手段に出るしかない。

よし、蘇枋。

蘇枋

うん?

出てけ。

蘇枋

えっ!?

一緒にいると落ち着かないったらありゃしない。ただでさえおかしな出来事が起きて混乱しているのに、こんなオーラまで出されるとなると居心地が悪いったらありゃしない。

だから出てけ!!

蘇枋

いや聞こえてない訳じゃないよ!?

蘇枋

桜君、行く宛もない隼飛君を追い出そうとするなんて酷いじゃないか…

悲しいよ。と言わんばかりに泣いたふりをする。こういう所は変わらず蘇枋だなと思った。

大の大人が泣くふりなんかして恥ずかしくねぇのかよ。

蘇枋

うっ、それはちょっと刺さるかは辞めて欲しいかな…

ここにいたきゃ家主の言うとうりにしろってことだよ。大人しくしてろ!

蘇枋

うーん、努力はするよ。

ぜったい押さえ込め

こうして、未来から来た蘇枋と桜とでの生活が始まった。

蘇枋

それで結局現代の俺と付き合ってるの?

桜は無言で頷いた。 蘇枋はだよね。と知ってましたと言わんばかりに返事をしてきた。 ちょっとイラッときたので明日の朝は納豆でも食べてやろうかと思う。

蘇枋と暮らし始めて数日。 二人で過ごすにあたって決めたことがある。 1、蘇枋は外に出ないこと。 これは未来の蘇枋が外に出ることにより、混乱を招かないようにするため。 蘇枋が桜の家にいるのも、もしこの時代の蘇枋の家に帰ったとして、身近な人や身内にバレてしまえば混乱を招きかね階から。 学校はしばらく海外にでも行くとか適当に理由をつけた。 2、なるだけ桜の恋愛センサーに反応しない様に過ごすこと。 これは言わずもがな桜が取決めたことだ。生活に支障が出る!と顔を赤くしながらペンでこの条件を書いていた。

重要な取り決めはこの2つだけで、 特に不自由なく暮らしていた。

なぁ…お前、いつ帰んの?

蘇枋

それは俺も聞きたい。

蘇枋

けど、酷いなぁ…そんなに俺と居たくない?

いや、お前、帰れないと困るだろ。

数日一緒にいるが、 なにか特に変わったことは何も無い。 ただ普通に1日1日が過ぎていくだけだ。

蘇枋

ふーん?ていうことは俺と居たくないわけではないってこと?

ニヤリと大人の悪い笑みを浮かべた蘇枋に、桜はムキキッと顔を赤くした。 ポカポカ肘で着いてくる辺り、 照れ隠しだろう。

蘇枋

さて、そろそろ本気で帰る方法を考えないとね…

結局帰りてぇのかよ。

蘇枋

未来のはる…じゃなくて、
桜君が寂しがっちゃうからね

そーかよ。と恥ずかしそうに桜は口をとんがらせた。未来まで、桜と蘇枋は一緒にいるのかと。そう考えるとどうしても恥ずかしくなってしまって、ムズムズとした感覚が胸に拡がった それと同時に、 蘇枋の口から出てきたはるとは誰だろうか。まさか、俺と別れて新しい人でも見つけたのだろうか。 暖かい気持ちと共に暗い気持ちも顔を出したが、気合いで押しこめてしまった。

でも未来の俺のとこにこっちの蘇枋がいんだろ?だったら寂しいもクソもねぇだろ。

気づかれたくなくて、 蘇枋に顔を見られたくなくて、 未来の自分について聞いた。

蘇枋

わ、そうだ俺がいるのか…ちょっと心配になってきた、

なんでだよ

蘇枋

だって俺だよ?

たしかに。

自分で言うのもなんだけど君に言われると悲しくなってきたな、 少し、しょげた様子を見せた蘇枋だったが、こればっかりは自分のこれまでの行いを見直して欲しいと思う。

蘇枋

まぁ、俺の事は置いておいて、
桜君、君の話をしようか。

はぁ?これ以上なんの話が…

蘇枋

どうして、ずっと、ここに来た時からそんなに不安そうな、悲しそうな顔をしているの?

あぁ、やっぱり蘇枋は蘇枋だった。 ずっと明るく、ふざけた様に振舞っていたから忘れていた。 蘇枋はこういう時、滅法鋭い。 あの時、未来の蘇枋がここに来た時だって、桜の不安を感じとったのか、 家に現代、桜と付き合っている蘇枋が来ていた。

いざ話し合おうってときに、 大人になった蘇枋が目の前に出たものだからびっくりした。 それで今の今までずっと有耶無耶になっていたのだ。

……不安って言っていいかわかんねぇけど、怖いんだよ。

蘇枋

怖い?

いつかお前が、俺から離れるんじゃないかって、

ずっと怖かった。 蘇枋と俺とじゃ、何もかもが釣り合わないから。あいつが、他校の女子から告白される姿を見る度に思った。 本当に俺でいいのかって。 でも蘇枋を跳ね除ける程の勇気も、 気持ちも持ち合わせてなかった。 だから今の今までずっと、どうすればいいのか分からずに悩んでいたのだ。

蘇枋

そんなわけっ!

じゃあ、お前の口から出たはるって誰だよっ!

離れるくらいなら最初から一緒にいようだなんて言うなよ、、、

桜の頬を伝う涙は、その悲痛さを物語っていた。 蘇枋はじっとその様子を見つめている。 少しもそらすことなく、 なんでも見透かしている様な蘇芳色の赤い隻眼が。

蘇枋

その話は、この時代の俺と話した方がいいね。でもね桜君、

未来の蘇枋隼飛と話し合ったところで何も解決はしないから。 この時代の自分、蘇枋隼飛と話し合わなければ、桜の不安は消えないだろう。 それでも自分が犯した勘違いくらいは訂正しようと蘇枋はピンと姿勢を正しくした。

蘇枋

俺のせいで勘違いさせたならごめんね、これだけ言わせて?

なんだよ、

桜の涙を優しく指で掬う蘇枋の表情は、ずっと優しくて、桜の恋愛センサーも反応した。

蘇枋

俺は遥だけを愛してる。

蘇枋

ね、これでわかる?

あぁ、はるって、はるっていうのは…… 自分の名前を最後まで言わずに飲み込んだからなのか。

蘇枋

混乱すると思ったんだ。あと、変に過去に干渉すると未来が変わるかもでしょ?

蘇枋

だから俺はここまでしか君を助けられない、

蘇枋

だからね、遥、この時代の俺としっかり話し合って?

そういう蘇枋の体は、ちょっとずつ光を帯びて消えていっている。 直感でわかった。あぁ、きっとお別れなんだなって。 そして未来の蘇枋がここに消えしまった理由も、分かってしまって、

ごめん、お前のこと、多分俺が呼んだ。

蘇枋

桜くんの為なら火の中水の中過去だって、どこにでも行くよ。

桜が強く未来に不安を感じたから、 未来から蘇枋が来てしまったのだ。 謝る桜に対して、蘇枋はふざけた様に笑ってみせる。それにつられて桜もわらった。

蘇枋

やっぱり君は、笑ってる姿が1番だね。

蘇枋

ふふっ、恋愛センサー、反応しちゃった?かわいいね。

うっせ、ばか蘇枋。さっさと帰れ。

照れ隠しでつい、きつい言葉を言ってしまったが、蘇枋は笑って話を続ける。 さすが、未来でも桜の隣にいるだけのことはある。桜の事をよくわかっている。

蘇枋

ふふっ、それじゃあ遥、未来で会おうね。

おう。俺の事離すなよ

蘇枋

もちろん。監禁してでも離さないよ

お前が言うと本気に聞こえんだけど…

蘇枋

ふふっ、

もうそこには、今まで話していた蘇枋はいなくって、

代わりに見慣れた顔の蘇枋が帰ってきていた。

蘇枋

さて、桜君、ちゃんと話そうか。
その泣き顔の事も含めて…ね?

泣いてねぇし。

2人の未来は、 末永く__

おっ、やっと帰ってきたな。おせぇよバカ。過去の俺を誑かしやがって。

蘇枋

えぇぇ、桜くんこそ、過去の俺と楽しくやってたでしょ。

蘇枋

まだ子供の俺にあーんな事しちゃってさ。

今まで忘れていた出来事を、 帰った瞬間に思い出した。 あの後自分たちに何があったのかとか、 過去と未来で何をしたのかとか。 どうして今の今まで、未来の自分にあったことを忘れていたのだろうか。

過去の自分たちが未来について何か知っていれば、その未来が大きく変わってしまう可能性があるから、一時的に消されたのだろうか。 そんなこと細々と考えても意味なんてないので、とりあえず自分の可愛い恋人の顔をじっと見つめることにした。

ガキの頃のお前の方が可愛げあったからな。

蘇枋

えっ、ひどい!

つか呼び方戻ってんぞ。

蘇枋

あ、つい、昔にいすぎたせいかなぁ…

蘇枋

改めて、ただいまっ!!

……おかえり。

ほのかに頬を染めた彼の唇に、 吸い込まれる様に甘い触れるだけのキスをした。

「拝啓、過去の自分へ。」

この生活は世界一幸せだって。

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