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注意 nksm 死の表現・死ネタ
イル
ハク
大勢の人が此方を憎む目で見ている。その中でたった1人、笑わず、真剣な瞳で見つめる君。
ハク
もう諦めた表情で、そんなことを言わないでくれ
イル
あーあ、世界って残酷だね。
イル
こんな事を俺に言わせないでくれ
イル
ハク
誰も恨んでなんかないよ
全責任は俺が負うよ
冷たく、ぼくの事を突き放す。
ふたりきりの世界なんて、やっぱり夢見が過ぎたんだよ。
綺麗なお城の地下室は、なんでこんなに綺麗なのだろうか。
どうせ、罪人しか訪れないというのに。
ハク
ボロボロな服、ボロボロな身体 この国では、皆が安心して眠っている。
ぼくみたいに、なるはずがなかった。
……この国で、たった1人の、儚い罪人。
イル
ハク
ハク
イル
イル
ハク
この世界は、実に残酷である。
こんなにも優しい王が、憎い。にくくて仕方がない。
彼が、彼が悪い。いいや、ちがう、違うんだよ
……でも、この国を政治しているのは、紛れもなく彼だ。
イル
ハク
沈黙。国中の皆が寝静まった夜
王が直々に、罪人の見張りをする。
イル
ハク
彼からの謝罪など、聞き飽きた。
それなのに未だ、涙は零れる。
ハク
イル
イル
か弱い声が、ぼくの脳まで響く。2人きり、冷たい床に座り込む。
近いのに、遠い。この檻の柵があるだけで、ぼくらの関係は王と罪人。
ハク
ハク
僕達は愛し合えないんだ
イル
ハク
君とは生涯を共にできない
イル
ハク
君と出逢ったときから、ぼくは分かっていたけれどね。
きみは、いつから分かっていた? ぼくが、魔女だと知った時からかな。
イル
ハク
ハク
イル
余裕のない表情が伺える。王もそんな顔するんだね
なんだか、ぼくが独り占めしているみたいだ。 それだけで、幸せを感じる。
ハク
イル
イル
ハク
イル
ハク
イル
ハク
イル
イル
ハク
仕方がない
ハク
どうしようもない
ハク
この結末が相応しい
ハク
運命に抗う事なんて出来ないんだよ
イル
ハク
そんな君が好きなんだ
イル
ハク
イル
ハク
イル
これが最後なんだね
これで終わりなんだね
ハク
イル
ハク
この時代が悪いんだよ
イル
ハク
ハク
こんな時代でなければ、僕らは今すぐにでも幸せになれたんだ。
ハク
イル
ハク
イル
うん、でも、今この時間は居心地が良い。
夜明けまで沈黙も楽しみつつ、君と居られることが幸せで仕方ないよ。
明日は怖いさ。でも、君がいるなら耐えられる気がするんだ。
うん、やっぱり僕はきみのことが――
イル
晴天の青空、綺麗な空気
そして君の顔。君の顔が見れるだけで幸せだと思える
思えるんだよ、本当に。
こんな日の、こんな姿でなければ。
イル
国民の声がうるさく耳に響く。
殺せ、殺せ、ころせ
魔女、魔女、魔女
何をそんなに吠えているんだと、内心呆れてしまう。
イル
対して大きくもない声で喋り出しても、国民は俺の事となれば直ぐに話を聞き出す。
イル
イル
お前の死へ、乾杯をしよう。
イル
嗚呼。嫌だ、時間よ過ぎないでくれ
頼む、どうか止まっておくれ。
ハク
ハク
ああ、
ハク
あぁ……
ハク
お別れなんて、あんまりだろう。
イル
彼は魔女なんかじゃない。魔法なんて使えない
同じ人間。だと言うのに、何故君らはそんなに声を荒らげて罵倒するのだろうな
イル
早く、彼をこの世界から救いたい。
終わらせたい。
イル
未練しかないな、お前に対して。
だから俺は、お前だけを逝かせる程優しくはないんだよ
イル
ハク
ハク
……
名は呼ぶなと、言ったのは何方だったか。
イル
最期だと言うのに、口付けすら許されないこの世界は、本当に。
ハク
国民の声が静まり返った刹那、俺の目には君しか見えない。
世界が君で染まっていく。
ゴーン、ゴーン
別れを、最期を告げる鐘が響く。
瞬時、彼の愛しい首元へ、刃が落とされる。
ハク
最期まで笑う君に、どれほど救われるか。
でも、でもだな……
俺の魂は救われないんだ。だから、一緒に逝こう。
イル
さらば、今世。
隠しておいたナイフを取り出し、お前の横に立てば心臓を射抜く。
イル
観客の声がうるさい
それすらも、心地の良い気がしてきた。
俺らの物語はこれからも続くんだ、当たり前のように。
最期くらい、いい夢見ような
あいしたおまえと。
これは、いつかの時代
王と魔女、傍に居れない関係性
彼らにとって、最期とは……
世界の終わりだと言っても、過言ではないのでしょう。