日本愛され

リビング、寝室、これらを見れば出てくる答えはただ一つ

正論を突かれてしまうと何も言い返せない

気まずくなった私は逃げる様に目線をイタリアさんから外し、部屋を横目で見渡す

たまに使われているのか、折りたたみ式の椅子だけが数個重ねられている

部屋を見回しているうちに窓上の時計が目に入った

時計の針は、午後一時前を指している

「そっか」と言いながら、少し気の抜けた目が私を注目する

ガチャ

あれから急いで日本に届けようとしたけれど、行ってしまった様で日本の姿は無かった

流石にバックの中を漁る者はいないだろう

しかし念のため、バックの内ポケットに入れ、見つからないことを祈った

写真に夢中ですっかり忘れていた、ドイツがキレる前に急いで行かないと

イタリアが中々に来ないものだから自分の方から来たが…

どうやら入れ違いが起こってしまった様だ

イタリアを呼んだ理由は資料に関して

頼んでおいた資料を確認させて欲しいのだが…

資料確認という事すらを忘れて手ぶらで来る

バックを漁ると、謎のキーホルダーやら小物やらが無限に出てくる

プライバシーの損害に反している気がするが、これに関してはイタリアが悪い

バックの中を掻き分けていく内に、一つの内ポケットが目に入る

膨らみを持った内ポケットに無意識に手が伸びてゆく