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更衣室。部活が終わり、誰もいなくなった静寂の中で、影山の声が低く響いた。
スマートフォンの画面をじっと見つめていた俺が、ビクッとして肩を揺らす。
俺は、いつも通り、覇気がある声のように頑張って自分を演じた。
その様子に、影山はさらに苛立ちを募らせた
影山side
俺は、声にいつもの張りがなく、どこか自分を避けているような、薄い膜を一枚隔てたような距離感。
それが、俺にはたまらなく不快だった。 日向という人間は、バレーボールのことだけを考え、自分に突っかかってきて、最高の笑顔でトスを呼ぶ。.....それが「いつも通り」のはずだ。
なのに、今は。 日向の視線は、自分ではなく、ポケットの中のスマートフォンや、廊下で行き交う他のクラスの連中に向けられている。
日向が、心配そうな顔で自分を覗き込んできた。 その表情は、いつもの「相棒」としての明るさを装っている。声のトーンも、動作も、傍から見れば「いつも通り」の日向翔陽だ。
だか、俺にはわかる。
一瞬だけ視線が泳ぐ癖。無理に口角を上げた時にできる、微かな頬の強張り。
何万回とトスを上げ、その一挙手一投足を網膜に焼き付けてきた影山にとって、日向がつく「大丈夫」という嘘は、ノイズ混じりの下手な演奏を聴かされているのと同じだった。
なんで、俺に相談言わねぇんだ。
その一言は俺にとってただ「自分だけが日向の特別ではない」という、正体不明の焦燥感に焼かれていた。
日向は、自分の心の傷を必死に隠しながら、あろうことか俺を気遣う。 その純粋すぎる献身が、今の俺には、自分を遠ざけるための拒絶にしか聞こえなかった。
気づけば、俺は日向の胸ぐらを掴み、後ろのロッカーに押し込んでいた。
ドゴオツ、と鈍い音が響き、日向が苦しげに目を細める。
俺の瞳は、暗く濁った独占欲で塗り潰されていた。
日向が必死に守ろうとしている「秒密」も、過去の傷も、そんなものは全部、自分が放つトスだけで上書きしてしまいたかった。
日向が何を言いかけ、何を飲み込んだのか。 夜の冷たい風が更衣室の窓から入り込み、二人の間を通り過ぎていく
俺は掴んでいた手を離す代わりに、さらに顔を近づけ、日向の耳元で呪文のように囁いた。
その言葉は、日向にあまりにも嫌な言葉として受け取られていたことは俺は知らなかった___。
日向side
昨夜の更衣室の熱が、まだ肌に張り付いている気がした。
俺は朝練習の準備をしながら、わざと影山と視線を合わせないように動いていた
危ねぇ、…あんなの、心臓止まるかと思った。
胸ぐらを掴まれ、至近距離で浴びせられた「俺だけを見ろ」という言葉。
それがバレーの相棒としての言葉なのか、それとも別の意味なのか、今の自分には判断がつかない。
ただ、あの時の影山の瞳は、今まで見たどんな試合の時よりも鋭く、何かを渇望しているように見えた。
でも、最後の言葉
「 バレーの調子… 落とすなよ? 」 その一言で、影山は俺をバレーの仲間として、見てるってわかった。
それが、俺にはちょー、嫌だったってことは、…影山は知らないと思う。
背後からかけられた低い声に、肩が大きく跳ねる。
振り返ると、そこには不機嫌な感じに見えたような顔の影山が立っていた。
俺は努めて明るく、いつもの「日向翔陽」を演じて見せた。
だが、影山の目は誤魔化せない。
影山は俺のわずかな震えや、一瞬だけ伏せられた睫毛の動きを、まるで見透かすようにじっと見つめている。
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