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運命

第9話 - 運命　その玖

152

2022年03月16日

#歴史

#恋愛

#明治

#呪い

#一次創作

その日の夜

町民の男性

花園屋の若女将について？

神宮寺雅秀

はい。

神宮寺雅秀

火事が起きる以前に何か気になる行動をとったりしてませんでしたか？

町民の男性

…うーん。

町民の男性

特にねぇな…若旦那の結婚でバタバタしていたくらいしか覚えてねぇや。

神宮寺雅秀

そうですか…。

町民の男性

すまんねぇ、役に立たなくて。

神宮寺雅秀

いえいえ、

神宮寺雅秀

貴重なお時間をいただきありがとうございました。ﾆｺｯ

町民の男性

おう、それじゃあな。頑張れよ。

町民の男性

神宮寺雅秀

…。

神宮寺雅秀

…全く新しい発見が見つからないな。

神宮寺雅秀

（このままだと、畳の血の謎や首吊りのことが追究されないままお涼さんが捕まってしまう。）

神宮寺雅秀

（警官として犯人は全てを明らかにしてから捕まえないといけないのに…）

神宮寺雅秀

はぁ、

神宮寺雅秀

もっと確証を集めてから上司に報告するべきだった…。

神宮寺雅秀

執事

！

執事

お疲れのようだな、神宮寺。

神宮寺雅秀

！

神宮寺雅秀

これはこれは、こんばんは。

神宮寺雅秀

こうして会うのはこれで2回目ですね。

執事

…。

ザッザッ（執事が雅秀に近づく）

神宮寺雅秀

？…

神宮寺雅秀

どうしたんですk

ガシッ！！

（執事が正秀の胸ぐらを掴む）

神宮寺雅秀

っ！？

神宮寺雅秀

なんですか、急に胸ぐらを掴んだりして…

執事

このクズ男がッ！！！

神宮寺雅秀

っ？

執事

お嬢様がお前をお呼びだ。

執事

ついて来い。

執事

神宮寺雅秀

…。

神宮寺雅秀

（一体なんなんだこの執事、急に掴みかかってきて…。）

執事

お嬢様、お連れしました。

茜

…。

神宮寺雅秀

茜さん！

茜

…。

くるっ、

（茜が振り返る。）

神宮寺雅秀

！

茜

ありがとう、執事。

茜

もう下がってていいわよ。

神宮寺雅秀

…。

神宮寺雅秀

茜さん…？

神宮寺雅秀

（顔色が悪い、それに前より痩せたように見える…一体どうしたんだろう。）

執事

かしこまりました。

スタスタ（執事が茜の家の中に入る）

茜

…。

神宮寺雅秀

あ、茜さん…？

茜

…。

茜

神宮寺さん。

茜

ッ、

神宮寺雅秀

？

茜

ッ…。

茜

…。

（茜が暗い顔をしてうなだれる。）

神宮寺雅秀

！

神宮寺雅秀

茜さん…？

茜

じ、神宮寺さん…わ、私は…。

茜

っ…。

神宮寺雅秀

！

神宮寺雅秀

大丈夫、大丈夫ですよ…。

茜

！

茜

（神宮寺さん…）

茜

（肩をさすってくれるなんて最後まで優しいお方なのね…。）

神宮寺雅秀

茜さん…大丈夫ですよ。

茜

…。

茜

（でも、）

茜

（この優しい嘘で固められた姿勢に、私は騙されてきたのね。）

茜

はぁ…。

茜

（頑張れ、私）

茜

（この男を断ち切るのよ！）

神宮寺雅秀

茜さん、

神宮寺雅秀

僕と会わない間に、何かあったんですか？

神宮寺雅秀

そんな風に目を逸らして、泣きそうな顔をするなんて…

神宮寺雅秀

もし、何あるならこの僕に聞かせてください。

茜

…。

茜

パシッ！

（茜が雅秀の手を払う）

茜

よッ！

神宮寺雅秀

っ？

茜

よくも…！

茜

よくも私を騙してくれたわね、神宮寺雅秀！

神宮寺雅秀

！？

神宮寺雅秀

えっ…

神宮寺雅秀

あ、茜さん…？

神宮寺雅秀

どうしたんですか？

茜

ふふっ、

茜

あらあらあらあら、

茜

神宮寺さんって、とぼけた演技もお上手なのね。

茜

でも残念、私は何もかも知ってるのよ。

茜

貴方が私にくれた言葉は全部嘘で、

茜

貴方は私をひとつも愛していないことを！

神宮寺雅秀

！？、な、え…？

神宮寺雅秀

ちょっと待ってください、茜さんが何を言ってるのか僕にはさっぱり…

茜

うるさい！触らないで！

茜

それ以上喋るのなら、呪いをかけてやるわ！

神宮寺雅秀

！…

茜

イギリスの女が自分の掌で転がってさぞかし面白かったでしょうね？

茜

婚約者の死につけ込んで、私を騙していた貴方なんて…大っ嫌いよ！

神宮寺雅秀

！…

神宮寺雅秀

だ、大っ嫌い…？

茜

ええ、大っ嫌いよ！

神宮寺雅秀

！…

神宮寺雅秀

っ…。

茜

はぁっ、はぁ…

茜

…これ、お返しするわ。

茜

貴方の本当に好きな人に渡して差し上げて。

スッ（茜が雅秀にかんざしを渡す）

神宮寺雅秀

？…

神宮寺雅秀

（これは…かんざし？）

神宮寺雅秀

なんですかこれは、僕は知りませんよ。

神宮寺雅秀

何を勘違いしてるのかはわかりませんが

神宮寺雅秀

僕の好きな人は茜さんだけです！

神宮寺雅秀

だから、一旦落ち着いてください。

茜

！…。

神宮寺雅秀

茜さん、

神宮寺雅秀

神に誓って、僕は貴方だけを愛しています。

神宮寺雅秀

貴方以上に僕を魅了する女性はいませんし、

神宮寺雅秀

貴方のためなら僕はなんだってします。

神宮寺雅秀

だから…大っ嫌いなんて言わないでください。

茜

！

茜

神宮寺さん…。

神宮寺雅秀

茜さん…。

茜

…。

茜

ふ、

茜

ふふふっ…

神宮寺雅秀

？

茜

うふふっ、ふふ…あははっ！！

茜

貴方は、

茜

また貴方はそうやって嘘をつくのね！！

神宮寺雅秀

！

茜

ねぇ、

茜

なにを目当てに貴方は私を口説いたの？

茜

お金？

茜

イギリス人への恨み？

茜

…それとも遊び？

茜

もう聞き飽きたわよ、愛してるなんてでたらめな言葉。

茜

…もう知らないわ。

茜

貴方に少しだけときめいた私が、恥ずかしくって嫌になっちゃう。

神宮寺雅秀

あ、

神宮寺雅秀

茜さん、ちょっと待ってください！

茜

いいえ、

茜

もう待たないわ。さようなら。

茜

See you never！

茜

神宮寺雅秀

！

神宮寺雅秀

茜さん、待って！行かないで！

神宮寺雅秀

僕の話を聞いてください！

神宮寺雅秀

茜さん！！

バタンッ！

（茜が家の中に入る）

茜

はぁっ…はぁっ。

茜

…。

茜

（やっと…終わったわ。）

茜

「僕の好きな人は茜さんだけです。」

茜

…あの人

茜

また嘘をついてたわ。

茜

あんなに優しい瞳に私は何回も騙されていたのね…。

茜

はぁ、

茜

…ｯ、ｸﾞｽッ、

茜

ッ、少し…疲れたわ。

茜さん！！

茜

…。

茜

（神宮寺さん…。）

茜

…ううん。

茜

これでいいのよ、きっと。

つづく

運命

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