乞う者たちへ…
春の学校行事で偶然出会ったモリスケは、夏になって親友シュンを通じて、とあるDiscordサーバーに招かれる。
そこにいたのは、技術に詳しく、サーバー運営を行う少年・イケニシ。
最初は軽いネット友達として交流が始まり、やがて現実でも顔を合わせる機会が訪れる。
しかしその関係は、**「金銭のやりとり」**をきっかけにゆっくりと、だが確実に崩れていく。
サーバー強化のためのパーツ購入、電子工作の依頼、マイクの購入代行、そして約束の果たされないラズパイの譲渡…。
一つひとつのやりとりが、友情の残り火を静かに焼き尽くしていった。
最終的に、モリスケとシュンはイケニシを完全にブロックする。
しかしそれは、誰かが「悪い」から起きた単純な話ではなかった。
欲しかったのは金か、助けか、繋がりか。それとも、ただの「声」だったのか。
やがて時が経ち、モリスケは偶然、SNSでイケニシの存在を再び見かける。
そこで彼は、もう一度問い直すことになる――
僕たちの友情は、最初から本物だったのか?
それとも、ただの乞いと与えの繰り返しだったのか?