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おれは生まれながらにして 力や能力等に恵まれていた

堕天使ベリアル様 直属の配下になり 以前よりも 一目置かれるようになったと思う

特に魅了させる能力が 秀でてるおかげで

他の悪魔とは違い 仕事をこなしてさえいれば 割りと自由にさせてもらっていた

牛沢

ねえ

夜道を歩く女性二人組に 声を掛ける

女性

え、カッコいい…//

女性

なんですか?//

牛沢

おれと遊ばない? ニコッ

女性

是非♡

女性

何して遊びます?//

二人の頬に触れる牛沢

牛沢

お人形さんごっこかな ニコッ

【従え…】

女性

……

女性

……

虚ろな目をして動かなくなる二人

牛沢

じゃあ、行こうか?

牛沢

魔界へ…

女性

はい♡

女性

どこへでもついていきます♡

牛沢

(直属の配下になると
取引以外の仕事も
やらなきゃだから
面倒くせぇな…)

おれの容姿に加えて 魅了させる能力は百発百中

相手が人間や天使だろうが 同族だろうが関係ない

掛かった者はみな おれの思い通りに動く人形と化す

牛沢

(さっさと魔界に連れてって
帰るか…)

今後もずっとこの能力で 苦労することなく やっていけると思っていた

レトルトに会うまでは…

ーレトルトと初めて会った日ー

レトルトに病室の中まで 送ってもらう

牛沢

(ここまでする先生
いねぇのに…
本当不思議な先生だな)

レトルト

それでは
これで…

牛沢

おう
ありがと…

牛沢・レトルト

…っ……

照明で 初めてお互いの顔が見える

レトルト

……

牛沢

……

今まで感じた事のない 強い感覚に襲われた

『愛おしい…』

初めて会ったのにも関わらず 何故そう思うのか 分からなかった

だが、無性に "この人間が欲しい" という願望で 頭がいっぱいになる

牛沢

(…今すぐ……)

レトルトの頬に触れる牛沢

【おれのものに…】

レトルト

っ…

牛沢

(あ、しまった…)

思わず能力を使った自分に 驚くと同時に 魅了により自分の思い通りなる 人形にしてしまった事に落胆する

牛沢

(…おれが望んだのは
人形じゃないのに……)

レトルト

……あ、あの

レトルト

これはどういう…?

牛沢

(……は?勝手に喋って…)

キョトンとした顔で牛沢を見ている

牛沢

(掛かってない…?)

頬から手を離す

レトルト

牛沢

ごめん…

レトルト

いえ…

牛沢

…もう、寝るから

レトルト

あ、おやすみなさい…

病室を出ていくレトルト

牛沢

(どういう事だ?)

牛沢

(おれの魅了が掛からないなんて…)

あれから毎日 レトルトと顔を合わせるうちに 仲良くなった

牛沢

(今日も可愛いな…)

レトルトの事を 好きだと自覚してから より一層 おれのものにしたくなった

だが、想いを伝えたとて おれのものになるはずがない

「人形でもなんでもいい おれのものになるのなら…」

そう思うようになり 会う度レトルトの頬に触れ 能力(術)を使ったが 一度も掛かることはなかった

レトルト

今日も体調良さそうだね

牛沢

まあな

レトルト

脈測るね

牛沢の手首に触れ 脈を測り始めるレトルト

牛沢

(これで掛けるのは
最後にしよう…)

レトルトの頬に触れる牛沢

レトルト

ビクッ

【おれのものに…】

レトルト

なに?w

牛沢

(…やっぱりだめか……)

大丈夫、相手は人間

生きてさえいてくれれば どうにでもなる

これからだって 今まで通り近くにいるんだ

この状況が続く限り 決して離れることはない

だけど、その考えは 見事に打ち砕かれた…

レトルト

……うっしー…?

牛沢

え……先生?

振り返ると 天使の持つ剣を持った レトルトが立っている

牛沢

(……は?)

レトルト

…あく、ま……?

牛沢

…その剣…もしかして……

レトルト

っ…!

剣を構えるレトルト

牛沢

(……マジ、かよ…)

牛沢

…はは……

牛沢

…まさか、天使とは……

レトルト

っ…ほん、とに……?

牛沢

…それは

牛沢

何の確認?

レトルト

…本当に、悪魔…なの……?

牛沢

…あぁ

レトルト

……

レトルトの剣を持つ手が震えている

牛沢

(怯えているのか…?)

牛沢

(そんなんじゃ
他の悪魔に殺される…
ちゃんと分からせないと…)

パチンッ

指を鳴らす牛沢

レトルト

っ!?

レトルトの体に 血の付いた鎖が巻き付く

レトルト

ゔっ

その場にひざまずくレトルト

牛沢

…だから言っただろ?

レトルトに近付く

レトルト

っ…

牛沢

隙があり過ぎるって……

牛沢を見つめているレトルト

牛沢

(っ……レトルト…)

レトルトの頬に触れる

レトルト

…ぇ……

牛沢

バレちゃったし

牛沢

もうここにはいられない…

牛沢

(…おれと、一緒に……)

ちゅっ…

レトルト

んっ…

牛沢

(……くそっ…)

牛沢

…なんで…天使なんだよ……

牛沢

(こんなに
レトルトのことが
好きなのに…っ)

レトルト

…うっしー……?

牛沢

(っ……これ以上
一緒にいたらだめだ……)

牛沢

(後戻り出来なくなる前に
早くここから……)

牛沢

……先生

牛沢

さようなら…

牛沢

(もう二度と会わない…)

牛沢

(会わなければ
この気持ちも
いつかは消えるはず……)

ー数十分前・建物の中ー

牛沢

今夜決行します

〈そうか〉

堕天使ベリアルの声が 牛沢の脳内に伝わる

〈報告、楽しみにしてるよ〉

牛沢

はい

ベリアルの気が消える

牛沢

(招集かけないとな…)

牛沢

っ…

牛沢の目が真っ赤に染まる

【おれのとこに来い…】

牛沢

…ふぅ……

今、ベリアル軍の勢力は 留まるところを知らず 他の軍を圧倒するほど 大きくなってきている

かといって天界を潰すには まだまだ勢力不足のため

「より多くの天使たちを堕天せろ」 と各配下に命令が下った

牛沢

(…手っ取り早く
天界付近に行くか…)

牛沢

……レトルトが
いなければいいが……

牛沢

(……っ)

牛沢

(…また、おれは
レトルトの事を……)

あれからずっと レトルトの事が 頭から離れなかった

天使だと知っても 剣を向けられても 愛おしい気持ちは変わらず…

牛沢

(どうする事も
出来ねぇのに……)

建物を出る牛沢

牛沢

(出来れば
今夜だけは
会いたくない…)

レトルトを堕天させることも 殺すことも……

レトルト

…うっしー……?

牛沢

…え?

牛沢

(この、声……)

レトルトが立っている

牛沢

(……レトルト…)

レトルト

……あ…えっと……

牛沢

(あの時と全く変わってない…)

牛沢

……久しぶり、先生

牛沢

いや、
もう先生じゃねぇか

レトルト

……

牛沢

よくここが分かったな?

レトルト

……気配が、して……

牛沢

あー…

牛沢

力を使ったからか

牛沢

(そろそろ
あいつらが来る……)

レトルトに近付く

レトルト

っ…来ないで……

牛沢

(早くレトルトを逃がして…
いや、もう間に合わない)

牛沢

(…顔さえ見られなければ
大丈夫か……?)

牛沢

ごめん
じっとしてて

レトルト

…え?

ぎゅっ

レトルトを抱きしめる

牛沢

(これでなんとか……)

レトルト

な、何を……

牛沢

いいから
動かないで…?

牛沢

(おれがレトルトを
守るから…)

悪魔たちが帰った後

牛沢

(……離したくねぇ…でも…)

レトルトを離す

牛沢

そういう訳だから
さっさと天界に帰って
報告して来いよ

レトルト

……一体、
何をする気なの…?

牛沢

天界に攻め込む

牛沢

天使を堕とす為にな

レトルト

っ…

牛沢

ほら、天界に帰りな?

レトルト

……やめて…

レトルト

そんなこと…
しないでっ…

牛沢

…その願いは
聞き入れられない

レトルト

……じゃあ、ここで…

光の剣を出すレトルト

レトルト

うっしーをとめる…

牛沢

(そんな弱々しい声で
何を言って……)

レトルト

行かせ、ない…っ

泣きそうな顔で牛沢を見つめる

牛沢

っ……

牛沢

(そんな顔すんな…っ)

ぐいっ

レトルト

…ぁ……

抱き寄せる牛沢

レトルトの手から剣が落ちる

レトルト

……

ぎゅ……

牛沢の服を掴む

牛沢

(っ…)

牛沢

……だからっ

牛沢

隙があり過ぎるんだって…

ちゅう…

レトルト

んぅ…

【お願いだから… おれのものになってくれ…っ】

牛沢

……レトルト

レトルト

…な、まえ……

牛沢

(っ……)

レトルトの頬に触れる牛沢

レトルト

ん…

牛沢

…なんで掛かんねぇんだよ……

レトルト

……なに、が…?

牛沢

(今すぐ連れ去りたい……)

牛沢

っ……

レトルトから離れ 背を向ける

レトルト

……うっしー…?

牛沢

次会った時は容赦しない

牛沢

堕天するか死ぬかの
どちらかだ…

レトルト

っ…

牛沢

じゃ、今夜な

これでいい

おれは悪魔だ

天使は全員 堕天させるか、殺すだけ…

堕天させられなかった時は おれがこの手で レトルトを……

永遠の愛を貴方にーゆびわー

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コメント

3

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素晴らしい作品を ありがとうございます 続きを楽しみにしてます

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